共通テスト政経過去問06 基本的人権 平等権

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 外国人の権利に関連する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。


① 最高裁は,国政選挙権を一定の要件を満たす外国人に対して法律で付与することを,憲法は禁じていないとしている。
② 指紋押捺を義務づける外国人登録制度が,実施されている。
③ 最高裁は,憲法上の人権保障は,性質上日本国民のみを対象とするものを除いて外国人にも及ぶとしている。
④ 外国人が給付を受けることのできる社会保障制度は,実施されていない。

解答解説 click↓
解答③ 【解説】➀参政権は国民(国籍保持者)に認められるとされている。②かつては外国登録法により指紋押捺が強制されたが、犯罪者扱いだと批判的な声も多くこの制度は廃止された。2006年に出入国管理及び難民認定法改正により、テロ対策として入国外国人に対して指紋などの情報提供が義務付けられている。④年金や介護保険など、多くの制度が定住外国人には認められている。

問2 外国人に関連する日本の現在の状況についての次の記述A~Cのうち,正しいものはどれか。当てはまる記述をすべて選び,その組合せとして最も適当なものを,下の①~⑦のうちから一つ選べ。

A 外国人も,中央省庁の行政文書に関して,情報公開法に基づいて開示を請求することができる。
B 最高裁判所は,永住資格を有する在日外国人には,地方参政権が憲法上保障されていると判断した。
C 地方公務員採用試験に関して,日本国籍を受験条件としない地方公共団体もある。

① A     ② AとB    ③ C      ④ AとB
⑤ AとC   ⑥ BとC    ⑦ AとBとC

解答解説 click↓
解答⑤ 【解説】B:最高裁は「憲法は国民にのみ地方選挙権を保障しており、外国人には保障していない」と述べている。

問3 日本における施策についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 一定割合以上の障害者を雇用するよう求める法定雇用率に関する制度は,民間企業を対象としていない。
② アイヌの人々を法的に民族として認めその文化の振興などを図るために,アイヌ施策推進法が制定された。
③ 公共施設などにおけるバリアフリー化を促進するために,地域保健法が制定された。
④ 地方公務員の採用において,国籍条項の緩和や廃止をする地方自治体は出てきていない。

解答解説 click↓
解答② 【解説】②アイヌ施策推進法は2019年に施行されたもの。この施行に伴い、従来あったアイヌ文化振興法は廃止されている。①民間企業も対象とされている。義務付けられているという点もポイント。③地域保険法は保健所の設置などを定めている。④地方や職種によっては、国籍条項を緩和している自治体もある。

問4 平等について,原則として,すべての人々を一律,画一的に取り扱うことを意味するとの考え方がある。また,そのような意味にとどまることなく,現実の状況に着眼した上で,積極的な機会の提供を通じて,社会的な格差を是正しようとする意味もあるとの考え方がある。後者の考え方に沿った事例として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 法律において,男女同一賃金の原則を定めること。
② 大学入試の合否判定において,受験者の性別を考慮しないこと。
③ 民間企業の定年において,女性の定年を男性よりも低い年齢とする就業規則を定めた企業に対して,法律で罰を科すこと。
④ 女性教員が少ない大学の教員採用において,応募者の能力が同等の場合,女性を優先的に採用するという規定を定めること。

解答解説 click↓
解答④ 【解説】前者の考えを形式的平等、後者の考えを実質的平等(積極的差別是正措置)という。①②は前者の考えに沿ったものであり、③は差別をなくす措置に過ぎない。④のように、弱者を優遇する措置こそが今回の解答に合致する。

問5 以下の会話文中の〔 ア 〕に当てはまる法律の名称として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

「嫡出でない子の相続分を嫡出である子の2分の1とする〔 ア 〕の規定でしょ。
1995年の合憲判断を2013年に違憲と変更したのよ。」

① 刑 法    ② 民 法    ③ 財政法    ④ 国籍法

解答解説 click↓
解答② 【解説】民法は相続や債権、親族など社会生活の基本ルールをまとめた法律。

問6 憲法は国家と私人との関係を規定するものであるから,人権の制限は,第一次的には国・地方自治体と私人との関係で問題となるが,私人相互の関係でも問題となることがある。人権の制限の例のうち,私人相互の関係で問題となっているものとして最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① たばこ会社の製造するたばこのパッケージに,喫煙が健康を損なうおそれがある旨の記載をしなければならないと,法律で定められた。
② 市の設置・運営する市民会館に,市民団体から利用申込みがあったが,市長を批判する集会の開催であるとして申込みを拒否された。
③ 県立高校の校則において,担任は生徒の持ち物検査を,随時行うことができると規定された。
④ 出版社の発行する週刊誌において,犯罪事件の被疑者の子どもの私生活に関する記事を,無断で掲載された。

解答解説 click↓
解答④ 【解説】私人とは、公人の対義語 で、公務員などの公の職業に従事する者を除いた者の総称。①は国、➁は地方(市)、③は県立学校(公的機関)が関わっているため、不正解。④は公的機関でない企業と一般人との間の話であり、私人相互の関係といえる。

問7 マイノリティの人々が受けることのある差別や不利益を解消するための法律・条約に関する記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。 

① 1997年に制定されたアイヌ文化振興法では,アイヌ民族の先住民族としての権利は明記されなかった。
② 障害者雇用促進法は国・地方公共団体が障害者を雇用する義務を定めているが,企業の雇用義務については明記されなかった。
③ 部落差別問題に関して,同和地区住民への市民的権利と自由の完全な保障を求めた審議会答申に基づき,同和対策事業特別措置法が制定された。
④ 人種差別問題に関して,国際的な人権保障の一環として,国際連合で人種差別撤廃条約が採択された。

解答解説 click↓
解答② 【解説】②強力な措置として制定された法であり、国や地方公共団体に限らず、企業へも雇用義務を明記している。令和3年以降、企業には2.3%、国や地方公共団体には2.6%の法定雇用率を定め、達成できなかった場合は罰則があることもポイント。※2024年に改正され、法定雇用率は段階的に引き上げられている! ①問3にもあるようにこの法律はアイヌ施策推進法施行に伴い廃止されている。アイヌ施策推進法は、アイヌ民族を初めて「先住民族」と明記した法律。アイヌ民族の文化伝承や観光振興を後押しするための交付金の創設や、伝統儀式に必要な水産物や林産物をとりやすくするための規制緩和なども行われている。

問8 次のA~Cのうち,最高裁判所が不合理な差別であるとして違憲や違法の判断を下したことがあるものとして正しいものを,下の①~⑦のうちから一つ選べ。

A 結婚していない日本人父と外国人母との間に生まれた子について,認知のほかに父母の結婚を届出による日本国籍の取得の要件とする国籍法の規定
B 尊属殺人について普通殺人の場合よりも著しく重い刑を定める刑法の規定
C 女性であることのみを理由として,男性よりも低い年齢を定年とする企業の就業規則

① A     ② B    ③ C      ④ AとB 
⑤ BとC   ⑥ AとC  ⑦ AとBとC

解答解説 click↓
解答⑦ 【解説】AとBはいずれも法の下の平等に反するとして、最高裁にて違憲判決が出されている。Cは労働基準法第4条に記されている「男女同一賃金の原則」であり、使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならないと規定される。

問9 外国人に関する現在の日本の制度や状況についての記述として誤っているものを,次のうちから一つ選べ。


① 日本を訪れる外国人観光客を倍増させようとする政策の流れのなかで,観光庁が設置された。
② 衆議院議員選挙での選挙権を定住外国人に認めることができるように,公職選挙法が改正された。
③ 日本政府は,経済連携協定(EPA)に基づいて協定相手国から看護師・介護福祉士の候補者を受け入れた。
④ 一般行政職の公務員採用試験において,一部の地方公共団体は受験要件としての国籍条項を外した。

解答解説 click↓
解答② 【解説】②外国人の選挙権に関しては、永住や定住に限らず一切認められていない。一部の地域のみで実施される投票については、特別に認められることもあるが、国政選挙や地方自治体の議会議員や首長を決めるものについては不可となる。

問10 いじめやセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)に対応するための,日本の法制度やその運用についての説明として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。


① 企業における上司の部下に対する命令は,それが業務上のものであると認められる限りは,人権侵害としてのいじめにはならない。
② 企業がセクハラの防止に努めることは,法律上の義務ではなく,社会的マナーの一環として要請されている。
③ 企業は,従業員が上司のいじめによって精神的に打撃を受けた場合には,その従業員に対して損害賠償責任を負うことがある。
④ セクハラが違法行為と認められた場合でも,加害者は,損害賠償責任を負うだけであって刑事罰を受けることはない。

解答解説 click↓
解答③ 【解説】①業務上のものであっても精神的負荷を与えるものであればいじめとなることもある。②1997年の男女雇用機会均等法改正により、セクハラ防止が義務化された。④損害賠償を負うケースが多いが、刑事罰になることも当然起こり得る。

Follow me!

コメント

  1. はるさん より:

    問3、問7のアイヌ文化振興法ですが、現在廃止済みのようなので、注釈を追加するのが良いと思われますm( _ _ )m

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました