政経講義21 政党と政治史をわかりやすく

政経

本単元のポイント
①55年体制から現在までの政党史
②政治の課題解決に向けた施策

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…共通テスト頻出の最重要単語

黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

今回は、政党と政治史についてのポイントまとめを書いていきます。戦後政治において、どんな政党が政権を担ってきたのか、どんな課題を抱えているのかなどが頻出ポイントとなる。

▼戦後の政治史

まず戦後~現代の政治史について。大まかな年表をまずは確認してもらいたい。

55年体制から現在の政治史

表からわかる通り、自民党こと自由民主党が政権を担う時期が多く、今回の表では赤色で示している。一方、自民党以外が政権を担った場合は青色で示している。

⑴55年体制の始まり

戦後の混乱期を経て、1955年から二大政党制が成立した。分裂していた社会党の右派・左派が統一されて日本社会党が誕生し、それに対応する形で、日本民主党と自由党が合同して自由民主党が誕生した。この二大政党制を、生まれた年から取って55年体制という。

二大政党制と言われると、2つの強い勢力がバチバチやり合う印象を持つかもしれない。しかし、実際には自民党の方が勢力は圧倒的に大きく、比率としては1:1/2であった。この状態を皮肉るように、「二大政党制」ではなく「1と1/2政党制」と呼ばれていた。つまり、55年体制=自民党による一党優位のはじまりと捉えておきましょう。

55年体制時の議席

⑵自民党一党体制の弊害

55年体制から始まった自民党一党優位体制。自民党政権は続いたものの、他の勢力が出てこなかった訳ではない。1960年代からは、自民党・社会党のいずれにも不満を持つ人々を対象に、中道政党が誕生した。公明党や民社党、新自由クラブなどが一例である。

また自民党内においても、内部の派閥争いが激化していく。次の首相はどの派閥から出すのかという争いに始まり、同じ選挙区に複数の候補者を出すこともあった。こうなると、多額な政治資金が必要になり、政治とカネの問題を引き起こすことになる。

⑶55年体制の崩壊

自民党への不信感や、野党が協力して連立政権を目指す中で、1993年の衆院選で自民党が失速。「非自民8党」が連立政権を形成し細川護熙内閣が成立した。これを機に、これまで着手できなかった選挙制度改革や政治資金改革を行っていった。公職選挙法改正により、中選挙区を廃止し、小選挙区比例代表並立制の導入が決定したのもこの時のこと。しかし、8つの政党での連立を存続させることは難しく、1年後には社会党との連立政権として自民党が復帰する。

55年体制崩壊時の議席

⑷民主党による政権交代

90年代はバブル崩壊による経済不安で「失われた10年」と言われ、それを背景に00年代は小泉純一郎内閣による行政改革が進められた。この改革は小さな政府への移行を掲げ、郵政民営化を争点とした選挙では自民党が圧勝した。一定の成果は得られた一方で、この改革により格差が広がったとする批判もあった。小泉内閣の後、安倍晋三・福田康夫・麻生太郎と続いた首相が1年ごとに交代し、短命な内閣が続くことになり、07年以降は野党が多数派となる「ねじれ国会」の状態にもなった。不安定な政権運営の中で、ついに09年の衆院選で自民党が敗れることになる。

この選挙で圧勝したのが民主党であり、一党で過半数を獲得する大差を付けた。国民新党と社民党の3党で連立政権を形成し、戦後初めて本格的な政権交代となった。

2009年の政権交代時の議席

民主党を中心とする政権が誕生したのもつかの間、リーマンショックによる経済不安や、東日本大震災の原発事故対応などで後手に回り、元々掲げていたマニフェストの達成ができなかった。国民からの支持が得られず、2012年に自民党が政権復帰することになる。

以上のように、戦後70年の政治史は、ほとんどの時間が自民党による政権だったことがわかる。一党優位であることにより安定した運営ができる一方で、不満が高まった時はそれに代わる勢力が必要になる。現在の日本には、そのような野党が存在しない。力のある野党が生まれ、政治論争が活性化されるとき、投票率の低下や政治的無関心の課題も 一気に解決するかもしれない。

▼政治とカネの問題

政治活動にはお金がかかる一方、党費だけではまかなえない。足りない資金は外部に依存しており、個人や企業、団体からの政治献金が存在する。しかし、この使い道に疑惑が存在していることや、報告義務を怠るなどの問題点がある。 行き過ぎると賄賂や不正給付に繋がるものであり、対応策として法改正が進んでいる。

政治資金規正法(1994年改正)

政治団体や政治家の政治資金収支報告書の提出義務、献金(寄付)の制限を定めた法律

政治資金規正法のポイント

表のように、金額の制限が出来たことに加え、企業・団体から政治家個人に対する献金が禁止された。この内容は入試でもよく出るので、丁寧に理解しましょう。

※2023.11.06 資金管理団体と書くべき部分が政治資金団体となっているミスがありました。上にあるのは訂正した表になります。ご迷惑おかけしました。

以上のような制限をかけるばかりでは、必要な政治資金が捻出されないとして、同年に成立したのが政党助成法である。この法により、国民の税金を政党に交付することが決定し、人口×250円の資金を配分するとした。どんな政党でも受け取れるわけではなく、①国会議員が5人以上 or ②直近の選挙で全国得票率2%以上という条件もあるので注意。余談ですが、日本共産党は政党交付金を拒否しており、全く受け取っておらず、その分は他の政党に交付されている。

政党についてのまとめは以上。政治史については、経済史などとも関連付けながら整理していくといいのでは。入試でよく出る分野なので、過去問等でアウトプットのトレーニングもしていきましょう!

授業プリントはコチラからダウンロード→プリントのページ

一問一答はコチラから!→一問一答11.政党・選挙

過去問演習はコチラから!→政経演習14.政党政治と選挙制度

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