政経演習05 平和主義と自衛隊

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 日本の安全保障をめぐる法制度や政策についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 2014年に政府が決定した防衛装備移転三原則によれば,武器や関連技術の輸出は全面的に禁止されている。
② 自衛隊の最高指揮監督権は,防衛大臣が有している。
③ 2015年に成立した安全保障関連法によれば,日本と密接な関係にある他国に対する攻撃によって日本の存立が脅かされ,国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合でも,武力行使は禁止されている。
④ 安全保障に関する重要事項を審議する機関として,国家安全保障会議を内閣に設置している。

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解答④ 【解説】④2013年末に設けられた外交・防衛政策を決める閣僚会議。①安倍晋三政権が閣議決定した新たな武器輸出原則であるが、条件付きで移転することを認めている。②防衛大臣ではなく内閣総理大臣。③この文章のような状況で、共同して作戦行動をとることが可能となった。この権限を集団的自衛権と呼ぶ。

問2 日本の安全保障についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 連合国軍総司令部の最高司令官マッカーサーは,日本政府に対して自衛隊の創設を指示した。
② 自衛隊をモザンビークでの国連平和維持活動に派遣するため,テロ対策特別措置法が制定された。
③ 日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の策定とその改定により,日米間の防衛協力体制が強化されてきた。
④ サンフランシスコ平和条約の締結と同時に,日米相互協力及び安全保障条約(新安保条約)が結ばれた。

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解答③ 【解説】①マッカーサーが指示した結果できたのは警察予備隊。②テロ対策特別措置法は2001年の同時多発テロ後における戦争に向けて、日本が後方支援することを規定したもの。④サンフランシスコ平和条約は、1951年に日本が連合国側と締結した講和条約。これと同時に日米安保条約が締結されているが、問題文は新安保条約なので1960年である。

問3 自国の安全保障のために定められた法制度の例である次のA~Cと,それらの内容についての記述ア~ウとの組合せとして正しいものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

A 新日米安全保障条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)(1960年)
B 新ガイドライン(新日米防衛協力のための指針)(1997年)
C 有事関連7法(2004年)

ア 日本への武力攻撃時における,国民の保護や米軍の行動の円滑化などについて定めた。
イ 日本の施政の下にある領域における,日米どちらかへの武力攻撃に対して,日米が共同で防衛することを定めた。
ウ 日本周辺地域における日本の平和および安全に重要な影響を与える事態(周辺事態)での日米間の協力推進を定めた。

① A―ア B―イ C―ウ  ② A―ア B―ウ C―イ  ③ A―イ B―ア C―ウ
④ A―イ B―ウ C―ア  ⑤ A―ウ B―ア C―イ  ⑥ A―ウ B―イ C―ア

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解答④ 【解説】A:新日米安保条約では「共同防衛義務」が規定され、この規定により平和主義の原則が崩れることを懸念した反対派によりデモ活動が起こった。これを安保闘争と呼ぶ。B:ウの周辺事態が決定的なヒントとなる。日米共同対処のあり方をまとめた新ガイドラインを決定し、これを受けて1999年に周辺事態法が成立した。C:有事関連7法は武力攻撃事態法や国民保護法、米軍行動円滑化法など、戦時を想定した法律をまとめたものである。 

問4 PKOへの自衛隊の参加についての説明として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① PKO協力法の制定により,PKOへの自衛隊の参加が可能になった。
② テロ対策特別措置法の制定により,PKOへの自衛隊の参加が可能になった。
③ イラク復興支援特別措置法に基づき,PKOとして自衛隊がイラクに派遣された。
④ 海賊対処法に基づき,PKOとして自衛隊がソマリア沖に派遣された。

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解答➀ 【解説】PKO協力法は自衛隊の海外派遣へ道を開いた法律で、1992年に成立した。②自衛隊のPKO参加はPKO協力法によるもの。③この法により自衛隊がイラクやクウェートへ派遣されたことは間違いないが、PKO活動としてではない。④③と同様、派遣されたことは正しいが、PKOとしてではない。

問5 日米安全保障条約についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 砂川事件において,最高裁判所はこの条約が憲法に違反すると判断した。
② 当初の条約を,現行条約である「新安保条約」(日米相互協力及び安全保障条約)へ改定する際には,安保闘争と呼ばれる反対運動が起こった。
③ 現行条約では,日本の領域内において日本,アメリカの一方に対する武力攻撃が発生した場合,日米両国が共同で対処すると規定されている。
④ 日本による在日米軍駐留経費の負担は,「思いやり予算」と呼ばれている。

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解答➀ 【解説】砂川事件は日米安保条約について判断されたものであるが、最高裁では司法の範囲外として憲法判断は避けている。その他、恵庭事件・長沼ナイキ基地訴訟・百里基地訴訟なども自衛隊について憲法判断を実施した判例だが、いずれも最高裁で違憲判決は出ていない。

問6 日本の安全保障に関する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 人道復興支援活動を行うことなどを目的としてイラクへの自衛隊の派遣が検討されたが,派遣は見送られた。
② 北朝鮮による核実験をうけて,日本は非核三原則の放棄を宣言した。
③ 最高裁判所は,日米安全保障条約が憲法に反すると判断したことはない。
④ 国務大臣は原則として文民でなければならないが,防衛大臣に関しては必ずしも文民である必要はない。

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解答③ 【解説】①批判はあったものの、イラク復興支援特別措置法に基づいてイラクへ派遣された。②非核三原則の放棄はしていない。④軍隊の最高決定権は政治家にある文民統制を実現させるため、内閣総理大臣を始め、防衛大臣やその他の大臣、国会議員なども文民である必要がある。

問7 自衛隊について争われた裁判の例として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。 

① 恵庭事件   ② 砂川事件   ③ 長沼ナイキ基地訴訟   ④ 百里基地訴訟

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解答② 【解説】問5の解説を参照。砂川事件のみは日米安全保障条約について争われた。

問8 集団的自衛権についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 国際連合が行う武力制裁(軍事的強制措置)は,集団的自衛権に基づくものである。
② 国際連合が行うPKO(平和維持活動)は,集団的自衛権に基づくものである。
③ 地域的集団防衛体制であるNATO(北大西洋条約機構)は,集団的自衛権に基づくものとされている。
④ 日本が湾岸戦争後に行った掃海艇のペルシャ湾への派遣は,日本政府の説明では集団的自衛権に基づくものとされている。

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解答③ 【解説】③NATOは北大西洋間の集団安全保障に向けて組織されたが、目的の一つとして加盟国間の集団的自衛権の発動が含まれている。①国連が行う武力制裁は、集団安全保障に基づくものである。④国連による平和協力の一環として実施された。ペルシャ湾にまかれた機雷を除去する任務を全うした。

問9 国連の活動への日本の参加・協力についての説明として最も適当なものを,次のうちから一つ選べ。

① PKO協力法(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)の制定により,自衛隊が国際平和協力業務を行うことが可能になった。
② 日米安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)の改正により,国連PKOへの自衛隊の参加が可能になった。
③ ソマリア復興支援のために,自衛隊が派遣された。
④ ボスニア・ヘルツェゴビナ復興支援のために,自衛隊が派遣された。

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解答➀ 【解説】②日米安保条約とPKO参加は関係ない。③④ソマリア復興支援やボスニアヘルツェゴビナで自衛隊が派遣された事実はない。

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