政経演習07 基本的人権 自由権

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 日本における自由権の保障をめぐる記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 最高裁は,三菱樹脂事件で,学生運動に関わった経歴を隠したことを理由とする本採用の拒否を違憲と判断した。
② 日本国憲法が保障する経済活動の自由は,公共の福祉との関係で制約に服することはない。
③ 最高裁判所は,津地鎮祭訴訟で,公共施設を建設する際に行われた地鎮祭の費用を地方自治体が支出したことについて違憲と判断した。
④ 日本国憲法が保障する表現の自由は,他人の権利との関係で制約に服することがある。

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解答④ 【解説】①この裁判では最終的に企業側が勝訴しており、違憲判決は出ていない。②制約されることがむしろ多いといえる。③津地鎮祭は宗教的行事というよりも伝統行事の意味合いも強く、この行為が政治と宗教の癒着とまでは言い難いと判断された。合憲判決が出されている。

問2 日本国憲法が保障する表現の自由および通信の秘密に関する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 『チャタレイ夫人の恋人』という小説の翻訳が問題となった刑事事件で,最高裁判所は,わいせつ文書の頒布を禁止した刑法の規定は表現の自由を侵害するので違憲とした。
② 通信傍受法は,組織犯罪に関して捜査機関が電話を傍受する際に裁判所の発する令状を不要としている。
③ 『石に泳ぐ魚』という小説のモデルとされた女性がプライバシーを侵害されたとして小説の出版差止めを求めた事件で,最高裁判所は,表現の自由を侵害するとして出版差止めを認めなかった。
④ 特定秘密保護法は,日本の安全保障に関する情報で特定秘密に指定された情報の漏洩を禁止している。

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解答④ 【解説】①合憲判決となり、出版の取り締まりも認められるとした。翻訳者と出版社は有罪判決が出ている。②犯罪捜査のために通信を傍受することは認められているが、裁判所の令状は必要である。③表現の自由を侵害するとして、出版差し止めを認めた。

問3 表現の自由に関連する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 表現の自由のほかに,通信の秘密が,憲法に規定されている。
② 報道の自由とプライバシーの権利とは,衝突することはない。
③ 知る権利が,情報公開法上,明文で保障されている。
④ 最高裁では,出版の差止めが認められたことはない。

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解答➀ 【解説】②むしろ衝突しやすい権利である。報道を深くしていくことは個人情報を追求することに繋がりやすい。③知る権利は新しい人権の1つであり、憲法では保障されていない。④『石に泳ぐ魚』訴訟では小説の出版差し止めが認められている。

問4 日本における身体の自由についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 何人も,現行犯で逮捕される場合を除き,検察官が発する令状によらなければ逮捕されない。
② 何人も,自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には,有罪とされることも刑罰を科せられることもない。
③ 何人も,法律の定める手続によらなければ,生命や自由を奪われることも刑罰を科せられることもない。
④ 何人も,実行の時に犯罪でなかった行為について,その後に制定された法律によって処罰されない。

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解答➀ 【解説】令状を発行するのは検察官ではなく裁判官(裁判所)。警察や検察と間違いやすい部分なので注意する。

問5 日本における財産権の保障についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 海賊版の映像や音楽については,個人で使用するためのダウンロードが刑事罰の対象とされている。
② 知的財産に関する事件については,これを専門的に取り扱う知的財産高等裁判所が設置されている。
③ 憲法は,国民に認められる財産権の内容が,公共の福祉に適合するように法律で定められることを規定している。
④ 憲法は,すべての国民が最低限度の財産を所有できるよう,国がそのために必要な政策を行うことを規定している。

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解答④ 【解説】財産権とは私有財産(知的財産権なども含む)を侵してはならない権利であり、最低限度の財産を与える規定ではない。

問6 刑事手続についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 被疑者の取調べは,憲法上,録音・録画が義務づけられている。
② 検察官の強制による被疑者の自白も,裁判上の証拠として認められる。
③ 最高刑が死刑である殺人罪については,時効が廃止されている。
④ 現行犯逮捕の場合にも,憲法上,令状が必要とされる。

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解答③ 【解説】①取り調べの録画録音は一部の事件で導入されている。②検察官の強制であれば、自白は証拠にならない。また被疑者の自白が唯一の証拠の場合、有罪にはならないという規定もある。④現行犯逮捕の場合は令状は不要。

問7 日本における精神的自由の保障に関する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 最高裁判所は,三菱樹脂事件で,学生運動の経歴を隠したことを理由とする本採用拒否は違法であると判断した。
② 最高裁判所は,愛媛玉串料事件で,県が玉串料などの名目で靖国神社に公金を支出したことは政教分離原則に反すると判断した。
③ 表現の自由の保障は,国民のプライバシーを尊重するという観点から,マスメディアの報道の自由の保障を含んでいない。
④ 学問の自由の保障は,学問研究の自由の保障のみを意味し,大学の自治の保障を含んでいない。

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解答② 【解説】①三菱樹脂訴訟では企業側が勝訴した。③知る権利があるため、一定の範囲で報道の自由が認められている。④大学の自治保障も含んでいる。

問8 日本国憲法は,A「適正な手続によらなければ刑罰を科すことはできないということ」と,B「どのような行為が犯罪を構成しそれに対してどのような刑罰が科されるかはあらかじめ法律で定められていなければならないという罪刑法定主義」とを要請する。刑事手続に関する日本国憲法の条文である次の①~④を,A,Bの要請のいずれか一方に分類した場合に,Bに分類されるものを,一つ選べ。

① 何人も,理由を直ちに告げられ,且つ,直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ,抑留又は拘禁されない。
② 公務員による拷問……は,絶対にこれを禁ずる。
③ 何人も,自己に不利益な供述を強要されない。
④ 何人も,実行の時に適法であつた行為……については,刑事上の責任を問はれない。

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解答④ 【解説】④は遡及処罰の原則と呼ばれるもの。その時の法によって刑罰が科されるという点が理解できれば、Bに分類できるとわかる。

問9 刑事裁判に適用される原則についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 裁判によって無罪が確定するまで,被告人は無罪であると推定されることはない。
② ある犯罪についてひとたび判決が確定したときは,再びその行為を同じ罪状で処罰することはできない。
③ 犯罪事実の有無が明らかでないときには,裁判官は,被告人に無罪を言い渡さなければならない。
④ これまで犯罪でなかった行為は,後で法律を定めてその行為を犯罪としても,さかのぼって処罰されない。

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解答➀ 【解説】逆に無罪が確定するまでは無罪と推定されなければならない。冤罪を防止するため、疑わしきは罰せずの原則で刑事裁判が行われる。

問10 個人の権利や自由についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 日本国憲法は,学問の自由などの精神の自由を明文で保障している。
② 日本国憲法は,犯罪被害者が公判に参加する権利を明文で保障している。
③ 明治憲法は,法律の留保なしに表現の自由を保障していた。
④ 明治憲法は,教育を受ける権利などの社会権を保障していた。

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解答➀ 【解説】②被害者参加制度は近年始まった制度であるため、憲法には明記されていない。③法律の留保のもとで自由を保障していた。④明治憲法では社会権は保障されていなかった。

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