政経講義32 日銀の役割をわかりやすく

政経

本単元のポイント 日本銀行の役割は3つ

本まとめの用語表記

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黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

今回は日本銀行についての解説です。正直、入試によく出るという範囲ではありませんが、銀行やお金に対しての興味が湧くような話ができればいいなと思います。ポイントは日銀の役割は3つあるということ。内容とともに抑えていきましょう。

▼日本銀行とは

日本銀行、通称日銀は、その名の通り日本を代表する銀行です。日本国内に1つしかなく、銀行のトップとして政府や各銀行との取引を行います。一方で私たち一般人との取引はできません。給料が入る口座に設定したり、預金を引き出すこと、ネットショッピングの支払い口座に設定することなどは一切できないということです。

日銀は東京にあり、建物としては本館(旧館)の方が有名です。明治時代の近代洋風建築を代表する建築作品で、1974年には国の重要文化財にも指定されました。真上から見ると、漢字の「円」の形に見えることも、遊び心があって面白いですよね。

日銀の外観

▼日本銀行の役割

さて、今日の本題である「日本銀行の役割」について説明していきます。まず役割は3つ。それぞれの項目を覚えておきましょう。

➀発券銀行
➁銀行の銀行
③政府の銀行

➀発券銀行

「紙幣」を発行するのが日本銀行1つめの役割です。100円玉や500円玉は「硬貨」と呼ばれるものであり、これは政府が発行しています。なぜそうなっているかは諸説ありますが、個人的にしっくり来たものを紹介します。

昔、国が発行する貨幣のみで取引を行っていました。しかし、これが貯まっていくと置き場所に困る富裕層が現れてきます。持ち運ぶのも大変です。皆さんも、世の中のお金が硬貨だけになったら…と想像してみてください。月に20万入ってくる給料が全て500円玉だとしたら、400枚の硬貨で配付されることになります。家の中が貨幣でいっぱいになりますよね。そんな人たちのために、お金を預けられる場所を作り、一定数の貨幣と紙の預かり証を交換できるビジネスを始めました。これを両替商といいます。

次第にその預かり証が価値を持つようになり、貨幣と同様の扱いをされるようになります。これが紙幣の起源であり、その紙幣を発行していた両替商が銀行として大きくなっていったことで、紙幣=銀行が発行するものという定義が定着したそうです。

調べてみるとさまざまな説があるため、興味がある人は調べてみてください。とにかく日本銀行は紙幣を発行する、政府が貨幣を発行するということは区別して覚えておきましょう!

➁銀行の銀行

日本銀行は私たち一般人とは取引を行いませんが、金融機関を相手にお金のやり取りをしていきます。日本銀行は1日に平均して約4500億円分のお金が出入りするそうです。

また、市中銀行(一般的な金融機関のこと)とお金のやり取りをすることで、私たちの社会全体に影響を与える働きがあります。何度も言うように、日銀は一般人との取引はできませんので、直接社会全体にお金を投入したり吸収したりは出来ません。

社会全体にお金を回していきたい場合は、市中銀行へ積極的に資金を貸し出していきます。資金に余裕が出来た市中銀行は、社会全体への貸し出しも積極的に行うことができるという流れです。このように、日銀が間接的に社会全体の資金量を調整することを、金融政策と言います。

日本銀行と市中銀行の関係性

金融政策の詳しい話については、次の解説「政経講義33金融政策」にて説明していきますので、そちらを参考にしてください。

③政府の銀行

最後に、政府の銀行と呼ばれる役割について。これはシンプルに皆さんの財布と同じような役割と思ってもらえばよいです。国の財布=日本銀行であり、国が企業や家計から預かった税金を預金したり、必要な資金を払い出したりする役割があります。

また、国の財布とはいっても政府の言いなりになっている訳ではありません。1998年の日銀法改正により、内閣・財務省からの独立性が高まり、独自の判断で金融政策を実施しています。

▼まとめ

以上が日本銀行の役割についてです。入試の頻出部分は金融政策や金融改革についてなので、まだ序章に過ぎませんが、金融の基礎として今回の話も覚えていただけるといいかと思います。読んでいただきありがとうございました。

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