今回は自由権について。自由権にはどのような権利が存在するのか、またそれぞれの権利における判例などを紹介していく。
▼自由権で保障される権利
まずは自由権を細分化してまとめたものを見て欲しい。
上記のように、自由権は3つの自由に分けられる。今回はこの中で「精神の自由」についてポイント解説をしていくが、「精神の自由」の中でもいくつかの権利に分類される。特に信教の自由に関する部分は、入試でも頻出となっているため、主要判例をピックアップしていこうと思う。
▼信教の自由
第20条では、信教の自由が明記されている。また、この第1項の中で、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と記されているように、政治は宗教に干渉すべきでないとする「政教分離の原則」が定められている。この政教分離に関する判例が多いので、詳しく説明していく。
津地鎮祭訴訟(1977最高裁判決)
三重県津市が市立体育館の建設に際し、神道形式の地鎮祭を主催した。しかし、これを公金(税金など)から支出したことに対して、特定の宗教的行事に公的なお金を使っていいのか?という訴訟が起きた。
名古屋高裁では違憲判決が出ているものの、最高裁では合憲判決。地鎮祭は一般慣習の儀式に過ぎず、宗教的意味合いが強い行事ではないと判断され、ここへの公金支出は政治と宗教の繋がりとまでは言い難いとなった。
愛媛玉ぐし料訴訟(1997最高裁判決)
同様の判例をもう一つ。
愛媛県が靖国神社などに対し、合計16万円程度の玉ぐし料を公金(税金など)から支出して奉納したことに対して、特定の宗教に公的なお金を使っていいのか?という訴訟が起きた。
この判例では、最高裁で違憲判決が出されている。先ほどの津地鎮祭訴訟と内容は大きく異ならないが、支出先の靖国神社が争点となった。靖国神社とは、戦没者やA級戦犯を祀った神社であり、軍国主義を象徴する神社である。つまり、一般的な神社とは違い、特別な意味合いを持つ神社であったため、特定宗教への援助と判断された。
砂川政教分離訴訟(空知太神社)(2010最高裁判決)
こちらも最高裁で違憲判決が出ているので、要チェックです。
以上の判例のように、どこまでの行為が政治と宗教の繋がりと捉えられるかが、難しい問題となっている。直近では自民党議員と旧統一教会との繋がりが指摘されているが、他にも公明党と支持母体の創価学会、幸福実現党と幸福の科学の関わり方など、政治と宗教の線引きをどうしていくかについては、今後も議論され続けるテーマになる。
▼精神の自由に関わる判例
最後に精神の自由に関する判例を紹介して、この単元を締めくくる。身体の自由については、次回の解説にて扱う予定です。
判例:思想良心の自由
判例:表現の自由
信教の自由を中心に、判例をしっかりと覚えておきましょう!
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