政経演習23 金融のしくみ

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 次の表のように,銀行Aが2,000万円の預金(本源的預金)を受け入れ,支払準備率を20パーセントとして企業に賃し出すとする。この貸出金は,企業の取引の支払いに充てられ,支払いを受け取った別の企業によって銀行Bに全額,預金されるとする。銀行Bはこの預金をもとに企業への貸出しを行い,同様の過程を経て,銀行Cに預金がなされる。銀行の支払準備率をすべて20パーセントで一定とすると,この過程が次々と繰り返された場合,信用創造で作り出された銀行全体の預金の増加額として正しいものを,下の①~④のうちから一つ選べ。

① 4,000万円  ② 4,880万円 
③ 8,000万円   ④ 9,600万円

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解答③ 【解説】預金総額=最初の預金額÷預金準備率で算出できる。これを当てはめると2000万÷0.2=1億円となる。元々の預金が2000万円なので、1億円ー2000万円=8000万円が新たに信用創造された額となる。

問2 金融に関連する記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① デリバティブは,株式や債券から派生した金融商品で先物取引やオプション取引がある。
② ヘッジファンドによる短期の国際的な資金移動は,為替レートを変動させる要因となる。
③ 日本銀行の量的緩和政策は,金融政策の主たる誘導目標を政策金利として金融緩和を進めようとするものである。
④ 日本の短期金融市場には,金融機関がごく短期間の貸借で資金の過不足を調整するコール市場がある。

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解答③ 【解説】③量的緩和政策は、金融政策の目標を日銀の預金残高に目標を定めたもの。その前にゼロ金利政策という操作目標を金利に置いた政策を行っていたが、成果が不十分であり新たな策として実施された。

問3 金融についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 日本では,家計の金融資産のうち現金・預金の占める割合が最も大きい。
② 日本では,グローバル化をうけて直接金融から間接金融への移行が進んでいる。
③ ノンバンクとは,預金業務と貸出業務を行う金融機関である。
④ 信用創造とは,企業が金融機関に債務を滞りなく返済することで追加的な資金調達が可能になることをいう。

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解答➀ 【解説】②グローバル化を受けて外国人からの株式投資が増加している。株式による資金調達は直接金融に該当する。③ノンバンクとは預金等は受け入れず、貸出業務のみを行う金融機関。④信用創造とは、銀行への預金を他の企業などに貸し出すことを繰り返し、帳簿上の預金額を増やしていくこと。

問4 貨幣に関連する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 貨幣には,取引の仲立ちを行う価値貯蔵手段としての機能がある。
② マネーストックとは,中央政府が保有する貨幣残高のことである。
③ 管理通貨制度の下では,通貨発行量は中央銀行の保有する金の量によって制限されない。
④ 預金通貨は,財・サービスの対価の支払手段として用いられることはない。

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解答③ 【解説】①価値貯蔵手段は価値を手元に残したり貯蔵できるということ。取引の仲立ちを行う機能は交換手段という。②マネーストックは企業や個人、地方公共団体などが保有する通貨量を計算したもの。④預金通貨からカード決済などで支払うこともあり、文章は誤り。

問5 中央銀行が実施する政策や業務についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① デフレーション対策として,国債の売りオペレーションを行う。
② 自国通貨の為替レートを切り下げるために,外国為替市場で自国通貨の売り介入を行う。
③ 金融緩和政策として,政策金利を高めに誘導する。
④ 金融機関による企業への貸出しを増やすために,預金準備率を引き上げる。

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解答② 【解説】①デフレーション対策としては、資金量を増加させることが必要になる。売りオペを行った場合、市中銀行から資金を吸収することになり(金融引き締め)、逆効果となる。③政策金利を高めに誘導した場合、資金の貸し出しが停滞することに繋がる。これは金融引き締め政策である。④預金準備率とは、市中銀行の預金に対して日銀へ預ける預金準備金の比率を指す。これが上がればより多くの準備金を預けることになり、市中銀行の資金量は減少する。企業への貸し出しも減少することに繋がる。

問6 日本銀行についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 日本銀行は,発行した日本銀行券と金との交換を保証している。
② 日本銀行は,金融政策を通じて物価の安定を図る。
③ 日本銀行は,「最後の貸し手」として金融システムの安定を図る。
④ 日本銀行は,「政府の銀行」として国庫金の管理を行う。

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解答➀ 【解説】①日本銀行券とは一般的な紙幣のことであるが、現在は金との交換を保証していない。(不換紙幣)金との交換を保証する兌換紙幣が発行されていた時期もあるが、主に戦前に発行されていた。

問7 金融政策に関連する記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 基準割引率および基準貸付利率は,公開市場操作の手段として用いられる金利である。
② マネーストックとは,金融機関を除く経済主体が保有している通貨量のことである。
③ 信用創造とは,市中金融機関が貸付けを通じて預金を創出することである。
④ 量的緩和は,買いオペレーション(買いオペ)によって行われる政策である。

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解答➀ 【解説】①公開市場操作は、国債などの商品を売買することによって資金量を調整するもの。貸付利率の操作は以前行われていたが、1994年に金利の自由化が実現したことで効果を発揮しなくなり、近年は変動していない。

問8 売買に用いられる貨幣は,価値尺度・交換手段・価値貯蔵手段・支払手段としての機能を果たす。これらの各機能に関係する文のうち,価値尺度機能に関する事例として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 資産の一部を生鮮食料品で保持していたAさんは,腐敗による価値の目減りを恐れて,それを貨幣のかたちでもちたいと考えた。
② Bさんは,Cさんのサンマとの物々交換を望んだが,Cさんに断られたため,まず自分のバナナを売って貨幣を手に入れることにした。
③ Dさんは,後払いの約束でEさんからリンゴ10個を買い,後日,代金をEさんに渡して約束を果たした。
④ 綿布を製造しているFさんは,製造費用や市況などを考慮して,綿布1メートル当たり100円の価格をつけた。

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解答④ 【解説】価値尺度機能とは、モノやサービスの価値を通貨量で置き換え、価値比較できる機能を指す。①は価値貯蔵機能、➁は交換手段、③は支払手段の説明。

問9 金融の仕組みや制度についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① BIS規制では,国内業務のみを行う銀行は,国際業務を行う銀行よりも,高い自己資本比率が求められている。
② 日本のペイオフ制度では,金融機関が破綻した場合に,預金保険機構によって,預金の元本のみが全額払い戻される。
③ 銀行による信用創造で創出される預金額は,資金の需要が一定であるならば,支払準備率が小さいほど大きくすることができる。
④ 企業が社債を発行することにより,金融市場で資金調達を行うことは,間接金融の方式に当たる。

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解答③ 【解説】①BIS規制は、国内業務よりも国際業務を行う銀行の方がハードルが高い。②ペイオフ制度では、金融機関が破綻した場合に1000万円とその利息を保護することになっている。④社債を発行して資金調達を行うことは、直接金融である。

問10 日本銀行が行う金融政策についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 日本銀行が行う金融政策は,財政政策などとのポリシー・ミックスの観点から,憲法上国会の議決を必要としている。
② 日本銀行が行う金融政策は,金融制度に備わっている,景気の自動安定装置(ビルト・イン・スタビライザー)を利用して行われている。
③ 預金準備率操作は,金融引締めのために準備率の引下げを行い,金融緩和のために準備率の引上げを行うものである。
④ 公開市場操作は,金融引締めのために売りオペレーションを行い,金融緩和のために買いオペレーションを行うものである。

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解答④ 【解説】①国会の議決は必要ない。②元々財政政策で備わっているのが、景気の自動安定装置であり、金融政策ではない。③預金準備率を引き下げた場合、銀行に残る資金量が増えるため、金融緩和に繋がる。文章の説明は逆の意味になっている。

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