政経演習36 社会保障問題

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 次の図は,北欧型の社会保障制度に分類されるスウェーデン,大陸型の社会保障制度に分類されるドイツとフランス,そのほかに日本とアメリカという,5か国の租税負担率と社会保障負担率を比較したものである。図中のA~Cに当てはまる国名の組合せとして正しいものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

① A アメリカ   B スウェーデン C フランス
② A アメリカ   B フランス   C スウェーデン
③ A スウェーデン B アメリカ   C フランス
④ A スウェーデン B フランス   C アメリカ
⑤ A フランス   B アメリカ   C スウェーデン
⑥ A フランス   B スウェーデン C アメリカ

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解答⑥ 【解説】このような国民負担率を問うグラフ問題は頻出。アメリカに関しては低負担の国であり、容易にCと判断できる。北欧は高負担・高福祉のイメージがあり、Aがスウェーデンと思い込みやすいが、ひっかけ。国民負担率の高さは、フランスが非常に高いことを覚えておこう。また、税負担が多い点は北欧の特徴でもある。消費税を例にしても、日本は10%であるのに対し、欧州諸国は20%前後、北欧諸国は25%程度となっている。

問2 日本の社会保障制度に関する記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 年金財政を長期的に安定させるため,高齢者の生活を支える基礎年金の国庫負担割合が2分の1に引き上げられた。
② 疾病や負傷,出産などに必要な給付を行う医療保険では,疾病保険法の全面改正によって国民皆保険が実現した。
③ 地域住民の健康の増進や公衆衛生の向上などを図るため,地域保健法により保健所や保健センターが設置される。
④ 生活困窮者に対して最低限度の生活を保障し,自立を助けることを目的とした仕組みとして,生活保護制度がある。

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解答② 【解説】疾病保険法は、19世紀後半にドイツで制定された、世界初の社会保険制度。日本とは関係ない。日本の国民皆保険制度は、1961年から実現している。

問3 社会保障制度に関連する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① ILO(国際労働機関)は,フィラデルフィア宣言で,社会保障の範囲の拡大に貢献した。
② 個人が就労している時期に納めた保険料によって,自らの年金受給を賄う方法を賦課方式という。
③ 日本の社会保障費の中で最も大きな割合を占めている項目は,生活保護費である。
④ ドイツの宰相ビスマルクは,「ゆりかごから墓場まで」をスローガンに,社会保険制度を整備した。

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解答➀ 【解説】②この方式は積立方式。③最も大きな割合を占めているのは、年金や医療保険等の、社会保険費である。④ビスマルクは疾病保険法を制定し、社会保険制度を整備した。「ゆりかごから墓場まで」のスローガンは、イギリスのベバリッジ報告によるもの。

問4 社会問題に対処するための公的な施策の一つである日本の社会保障制度に関する記述として正しいものを,次から選べ。

① 国民健康保険は,職域ごとに分かれていた公的医療保険を統合する制度である。
② 公的介護保険は,市町村と特別区が運営主体となっている。
③ 厚生年金保険は,その保険料の全額を事業主が負担している。
④ 国民年金は,在職中に受け取った各人の報酬に比例した額を支給する制度である。

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解答② 【解説】①健康保険は職域ごとに分かれたままで、健康保険や共済組合保険、国民健康保険などに分類される。③年金保険は被保険者本人が保険金を負担している。④国民年金は全ての人が加入する。公務員やサラリーマンは厚生年金を追加で支給される。

問5 社会保障についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 住民の健康増進や生活環境の改善を目的として,疾病予防のサービスや上下水道の整備を行うことを,公的扶助という。
② 社会的に弱い立場にある者への生活援助や自立支援を目的として,サービスの提供や施設の整備を行うことを,社会福祉という。
③ 朝日訴訟最高裁判決では,厚生大臣が定めた当時の生活保護基準が憲法に違反すると判断された。
④ 堀木訴訟最高裁判決では,生存権保障のための具体的な立法について国会の裁量の範囲は狭いと判断された。

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解答② 【解説】①は公衆衛生に関する説明。③憲法に違反するとは判断されていない。憲法25条は方針を示したにすぎず、具体的な権利を付与したものではないとする「プログラム規定説」を示した。④むしろ、具体的な立法については、国会の広い裁量に委ねられると判断された。

問6 社会保障の発展に大きな影響を与えた法律や報告A~Cと,その内容に関する説明ア~ウとの組合せとして正しいものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

A エリザベス救貧法(イギリス)
B 社会保障法(アメリカ) 
C ベバリッジ報告(イギリス)

ア 大恐慌を契機に高齢者や失業者を対象とした社会保険制度を整備した。
イ ナショナル・ミニマム(国民の最低限度の生活水準)の保障を求めた。
ウ 公的扶助の先駆けといわれている。

① A―ア  B―イ  C―ウ  ② A―ア  B―ウ  C―イ
③ A―イ  B―ア  C―ウ  ④ A―イ  B―ウ  C―ア 
⑤ A―ウ  B―ア  C―イ  ⑥ A―ウ  B―イ  C―ア

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解答⑤ 【解説】社会保障法は1935年に制定されたものであり、文中の大恐慌は1929年の世界恐慌を指している。「ビスマルクによる疾病保険法」や「ILOによるフィラデルフィア宣言」も抑えておきたい。

問7 日本の社会保障制度をめぐる記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 国民健康保険法の全面改正(1958年)により,国民全員が公的医療保険の対象となる国民皆保険の体制が整えられた。
② 児童手当法(1971年)が制定されたことで,所得による制限を設けることなく児童手当が支給されるようになった。
③ 公的年金制度は,厚生年金を基礎年金としている。
④ 雇用保険制度の保険料は,被用者がその全額を負担する。

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解答➀ 【解説】①日本の国民皆保険制度は、1961年から実現している。②児童手当には所得の制限がある。③基礎年金は国民年金である。④雇用保険の保険料は、被用者(労働者)と事業主がそれぞれ負担する。

問8 セーフティネットの日本における事例についての説明として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 雇用保険に加入した被用者は,失業すると,一定の条件の下で失業給付を求めることができる。
② 破綻した銀行の普通預金の預金者は,その預金元本については,いかなる場合でも全額払戻しを受けることができる。
③ 介護保険に加入した者は,介護が必要だと認定されると,訪問介護やショートステイなどのサービスを受けることができる。
④ 経済的に困窮した国民は,一定の条件の下で,生活保護給付を求めることができる。

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解答② 【解説】セーフティーネットとは、病気・事故や失業などで困窮した場合に、憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障する制度。②はペイオフ制度の説明であるが、払い戻しが保障されるのは「預金1000万円とその利子まで」としている。

問9 日本の社会保障制度についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 医療保険と年金保険については,国民健康保険法の改正と国民年金法の制定とを経て,国民皆保険と国民皆年金が実現した。
② 老人保健制度は,老人医療費の増大に対処するために,後期高齢者医療制度に代わって導入された。
③ 介護保険の保険料は,20歳以上の被保険者から徴収されている。
④ 雇用保険の保険料は,その全額が事業主から徴収されている。

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解答➀ 【解説】②1982年の老人保健法により、高齢者医療費の自己負担が復活した。問題文の後期高齢者医療制度は、2008年から施行されており、選択肢の内容は矛盾が生じる。③介護保険の保険料は40歳から払い始める。④雇用保険の保険料は、労働者と事業主からそれぞれ徴収する。労災保険は事業主が全額負担している。

問10 2000年以降の日本の少子高齢化の動向や国の対応策についての記述として最も適当なものを,次の①~④から一つ選べ。

① 待機児童の問題を解決するため,認可保育所の定員拡大を図った。
② 高齢社会から高齢化社会へ移行した。
③ 合計特殊出生率は,低下し続けている。
④ 現役世代の保険料負担が過重にならないように,公的年金の保険料を段階的に引き下げる仕組みが導入された。

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解答➀ 【解説】②日本は超高齢社会へ突入している。そもそも、高齢化率が低い順に並べると、高齢化社会(7%)→高齢社会(14%)となる。③合計特殊出生率は2005年に1.26で最低となったが、以降はやや持ち直した。④保険料を引き下げる仕組みは導入されていない。年金の受給年齢を引き上げる取り組みは実施されている。

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