偉人を教材化!vol,02 杉原千畝

教員向け投稿

はじめに

イメージとしては倫理の哲学の授業に近いですが、関心のもちやすい偉人を取り上げ、そこから学ぶ授業(教材)を作成してみました。倫理の授業だけでなく、公共の余った時間や総合的な探究の時間などにも応用出来る内容かと思います。学力レベルが高い学校であれば、生徒が偉人を取り上げそこから学べることをプレゼンするなんて授業も面白いかもしれません。参考になれば幸いです。

偉人設定の背景

今回取り上げた偉人は杉原千畝。近年国際情勢のトピックとして頻出の「パレスチナ問題」に関連して、ユダヤ人の歴史について学ぶためにも適任だと思います。長く対立が続くイスラエルとパレスチナの対立も、かつてのユダヤ人迫害について学ぶことで新たな視点が生まれるでしょう。また、この世界大戦において、命を救うために自分の身を捧げた日本人がいたことを、多くの人に知ってもらいたいという思いから教材化してみました。国際紛争・パレスチナ問題の導入、人権保障について深める際にも活用できると思います。

授業の流れ

プリントを見ていただければ、ざっくりした流れは分かると思います。以下のボタンより、ダウンロードしてみてください。完全無料なのでダウンロードはどうぞご自由に。(※無断転載は禁止です)

➀杉原千畝の生涯・功績

杉原千畝は、外交官として第二次世界大戦の真っただ中にヨーロッパで生きた人物です。戦場の中心部で活動する中で、ユダヤ人が国外へ避難するためのビザを発行し、多くの命を救いました。同じく多くのユダヤ人を救済したシンドラーという人物になぞらえて、「東洋のシンドラー」と呼ばれています。

日本ではそこまで知られていませんが、ユダヤ人にとっての日本人といえば「センポ」(ちうねという発音が珍しく、音読みのセンポが愛称であった)であり、ユダヤ人国家のイスラエルでは高く評価されています。

「外交官としての立場」と「目の前で救いを求めるユダヤ人」のどちらを選ぶべきか…という葛藤を乗り越え、日本へのビザを手書きで書き続けました。その地を離れるまでに合計2139枚を発行し、約6000人の命を救うことになりました。その後、彼の領事館周辺も激戦区となり、ビザがなければ数千人が迫害を受けていたかもしれません。しかし杉原は、ビザの発行を悩んだ2日間があれば、もっと多くの人を救えたのに…と一生後悔していたそうです。

数十年後、あるユダヤ人が杉原のもとを訪ねました。彼のビザによって救われた人物です。「あの時あなたがいなければ今の私はいません」と涙ながらに感謝を伝える姿を見て、長年後悔し続けていた辛労が報われたそうです。

イスラエルにとって杉原千畝は特別な存在であり、その心は現在まで引き継がれています。主な例としては、東日本大震災の際にいち早く日本へ駆けつけた海外医療チームがイスラエルであったこと。彼らの心には今もなお杉原千畝が生き続けていると思うと、同じ日本人として誇らしい気持ちになりますね。

➁ユダヤ人の歴史

そもそもなぜユダヤ人は迫害を受けたのか?という疑問に立ち返り、ユダヤ人の歴史について学んでいきます。

プリントの一部を抜粋して掲載していますが、迫害の背景には以上のような理由が含まれています。国を追われた過去から育まれたハングリー精神を基に、キリスト教文化で汚いとされていた金融業にも尽力し、経済力を高めていきました。結果ユダヤ人には裕福な人や優秀な人材に恵まれるようになり、ますます嫉妬の対象となっていきます。そんなユダヤ人を受け入れたのがアメリカであり、現在のアメリカでは経済界や政界、芸能界などの重要なポストにユダヤ人が一定数存在し、彼らの勢力が影響力を与えています。だからこそ、アメリカはユダヤ人を無下に扱うことはできず、ユダヤ人国家であるイスラエル側についている訳です。

③パレスチナ問題

ここからは政経に登場するパレスチナ問題の内容です。詳しい講義は「政経講義52パレスチナ問題」を読んでいただければと思います。時間があれば、導入としてここまでの内容に触れてから「パレスチナ問題」を紹介してもいいかもしれませんね。

時事テーマとしても外せない部分なので、公共・政経に限らず一般常識として知っておいてもらいたいです。どうすれば平和になるのか?解決手段はあるか?という問は、歴史的背景を考えれば考えるほどわからなくなるような問題ですが、そんな時は杉原千畝のシンプルな言葉に立ち返るといいかもしれません。

゛正しいことをしよう。正しいのだから。”

人の命を守ることは最も大切で最も正しいことです。宗教的対立や歴史的背景、領土争いや国同士の権力争いなんてものは二の次。正しいことを実現するために何が出来るか、それを最優先に人々が動くことが出来ない限り、解決には向かわないでしょう。

まとめ

50分授業を想定したプリントです。よかったら試してみてください!質問等ありましたら、お気軽にコメント欄へお書きください。またこんな偉人を教材化してみたら?というアイデアがありましたら、ご意見いただけると嬉しいです。生涯が魅力的か、またその生涯から学べることがあるかという2点を兼ね備えてくれていれば、教材に出来るはずです!

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