政経演習43 貿易と国際収支⑴

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 国際分業に関する基礎理論である比較生産費説について考える。次の表はA国,B国で,電化製品と衣料品をそれぞれ1単位生産するのに必要な労働者数を示している。現在,A国とB国は,ともに電化製品と衣料品を1単位ずつ生産している。A国の総労働者数は50人,B国の総労働者数は10人である。これらの生産には労働しか用いられないとする。また,各国の労働者は,それぞれの国のこの二つの財の生産で全員雇用されるとし,両国間で移動はないとする。この表から読みとれる内容として正しいものを,下の①~④のうちから一つ選べ。

① いずれの財の生産においても,A国に比べてB国の方が労働者一人当たりの生産量は低い。
② いずれの国においても,衣料品に比べて電化製品の方が労働者一人当たりの生産量は低い。
③ A国が電化製品の生産に特化し,B国が衣料品の生産に特化すれば,特化しない場合に比べて,両国全体で両財の生産量を増やすことができる。
④ A国が衣料品の生産に特化し,B国が電化製品の生産に特化すれば,特化しない場合に比べて,両国全体で両財の生産量を増やすことができる。

解答解説 click↓
解答④ 【解説】少ない人数で生産ができる=生産効率がよいと考える。A国は衣料品・B国は電化製品が効率よく生産できるものであり、それぞれが特化して生産することで両国の合計生産量が増える。④の説明が正しい。

問2 経済発展の過程において,遅れて工業化を目指す国は自国の幼稚産業の育成のために保護貿易政策をとる必要がある,と『経済学の国民的体系』で説いた経済学者は誰か。正しいものを,次から一つ選べ。

① ガルブレイス   ② ケネー
③ マルサス     ④ リスト

解答解説 click↓
解答④ 【解説】保護貿易といえばリストのキーワード。他の3人はややマニアックではあるが、リストは頻出人物なので覚えておこう。①ガルブレイスは『ゆたかな社会』「依存効果」がキーワード。依存効果とは、消費者が企業の働きかけによって消費を喚起される現象のことで、人々の消費欲が企業の宣伝・販売活動に依存していることを指す。②ケネーは「重農主義」「自由放任主義」がキーワード。③マルサスは『人口論』がキーワード。

問3 比較生産費説に基づいて自由貿易を主張した人物として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① アダム・スミス  ② ケネー  
③ リカード     ④ リスト

解答解説 click↓
解答③ 【解説】③リカードは自由貿易を主張し「比較生産費説」を唱えた。主著は『経済学および課税の原理』。

問4 次の経済学者A~Cと,その主張の内容ア~ウとの組合せとして最も適当なものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

A フリードマン  B リスト  C リカード

ア 自由貿易を行えば,国際分業を通じてすべての貿易参加国が利益を得る。
イ 物価の安定と市場機能の保全のため,通貨の安定的供給が必要である。
ウ 自国内の幼稚産業を育成するため,保護貿易政策を行う必要がある。

① A―ア B―イ C―ウ  ② A―ア B―ウ C―イ
③ A―イ B―ア C―ウ  ④ A―イ B―ウ C―ア 
⑤ A―ウ B―ア C―イ  ⑥ A―ウ B―イ C―ア

解答解説 click↓
解答④ 【解説】B・Cに関しては、問2・問3の解説を参照。Aのフリードマンは通貨供給量を経済成長に合わせて増やす「マネタリズム」を主張した。

問5  自由貿易と国際分業とに関する基礎理論である比較生産費説について考える。次の表は,A国,B国における小麦と鉄を,それぞれ1単位生産するために必要な労働者数を示している。これらの財の生産には労働しか用いられず,各国内の労働者は,この二つの産業で全員雇用されるとする。また,両国間では,小麦2単位に対して鉄1単位の比率で交換できるとする。この表から読みとれる内容として正しいものを,下の①~④のうちから一つ選べ。

① いずれの財の生産においても,A国よりもB国の方が労働者一人当たりの生産可能な量が少ない。
② いずれの国においても,小麦よりも鉄の方が労働者一人当たりの生産可能な量が多い。
③ A国が,小麦1単位の減産に代えて増産する鉄をすべてB国の小麦と交換すれば,A国の小麦の量は減産しない場合よりも増える。
④ B国が,鉄1単位の減産に代えて増産する小麦をすべてA国の鉄と交換しても,B国の鉄の量は減産しない場合と変わらない。

解答解説 click↓
解答③ 【解説】日本語を理解するのが若干難しいが、丁寧に読み解こう。③A国が小麦を1単位減産するということは、6人の労働者が減り、鉄の生産に代わることで鉄1単位が増産する。両国間で小麦2単位と鉄1単位が交換できると問題文に書いてあるため、A国の2単位の鉄をB国へ輸出する代わりに、4単位の小麦が輸入されることになる。減産前よりも小麦の量は増えることになる。

問6 経済学について,経済学者は資本主義経済の仕組みを分析すると同時に,自らが生きる時代の社会問題を念頭において考察を行ってきた。次の経済学者A~Cと,それぞれの代表的な主張・提言をもたらす契機となった社会状況ア~ウとの組合せとして最も適当なものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

A マルクス  B リカード  C リスト

ア 作業場で労働者に過酷な労働条件が強制され,資本家による労働者の搾取が問題視された。
イ 国の保護貿易政策によって,その国の人々が,自由貿易政策をとった場合よりも高い価格で商品を買わざるをえなくなった。
ウ 工業化の段階にさしかかった国の国内工業の育成が,先発の工業国と自由貿易を行ったことによって阻害された。

① A―ア B―イ C―ウ  ② A―ア B―ウ C―イ 
③ A―イ B―ア C―ウ  ④ A―イ B―ウ C―ア 
⑤ A―ウ B―ア C―イ  ⑥ A―ウ B―イ C―ア

解答解説 click↓
解答➀ 【解説】ここまでの解説を参照。キーワードを確実に抑えよう。

問7 国際分業のメリットを説明する比較生産費説について考える。次の表はA,B各国で,工業製品と農産品をそれぞれ1単位生産するのに必要な労働者数をあらわす。これらの生産には労働しか用いられないとする。また,各国内の労働者は,この二つの産業で全員雇用されるとする。この表から読みとれる内容について,下の文章中の ア , イ に入る語句の組合せとして正しいものを,下の①~④のうちから一つ選べ。

いずれの産業においてもA国はB国よりも労働生産性が ア 。ここで農産品の生産をA国が1単位減らしB国が1単位増やすとする。すると生産量の両国の合計は,農産品では変わらないが工業製品は イ 増える。

① ア 高 い  イ 1.5単位 
② ア 低 い  イ 1.5単位
③ ア 高 い  イ 0.5単位 
④ ア 低 い  イ 0.5単位

解答解説 click↓
解答➀ 【解説】A国が農産品の生産を1単位減らした場合、4人の労働者が2単位の工業製品を生産する。また、B国が農産品の生産を1単位増やした場合、6人の労働者が工業製品から農産品へ移動するため、農産品は0.5単位しか生産できなくなる。A国による工業製品(2単位)とB国による農産品(2単位)+工業製品(0.5単位)が合計の生産となる。

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました