政経演習29 日本経済史⑵

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 経済のサービス化に関連する用語A~Cとそれらについての記述ア~ウとの組合せとして最も適当なものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

A ペティ・クラークの法則
B 経済のソフト化
C 六次産業化

ア 多くの産業において知識と情報の役割が重要になり,それらの生産が拡大していく。
イ ある国における就業人口の比重が,経済発展に伴って,第一次産業から第二次産業へ,第二次産業から第三次産業へと移行する。
ウ 第一次産業の事業者が,第二次産業と第三次産業の両方に参入したり,それらの産業の事業者と連携して事業に取り組んだりする。

① A―ア  B―イ  C―ウ  ② A―ア  B―ウ  C―イ
③ A―イ  B―ア  C―ウ  ④ A―イ  B―ウ  C―ア
⑤ A―ウ  B―ア  C―イ  ⑥ A―ウ  B―イ  C―ア

解答解説 click↓
解答③ 【解説】それぞれの説明とキーワードを抑えておく。経済のソフト化の「ソフト」は、柔らかいという意味だと連想しにくいが、「ゲームソフト」で覚えておくとよい。switchやPS5のようなゲーム本体はハードウェアというのに対し、内部に情報が集約しゲームを動かすものをソフトウェアという。

問2 不況期には経済成長率の低下がみられる。次の図は1970年から2010年にかけての日本の実質経済成長率の推移を示したものである。A~Dの時期に生じた出来事についての記述として最も適当なものを,下から一つ選べ。

① Aの時期に,土地や株式の価格が暴落したことにより,不良債権を抱えた金融機関が相次いで破綻した。
② Bの時期に,円高・ドル安が急速に進んだことにより,輸出産業が打撃を受けた。
③ Cの時期に,アメリカでサブプライム・ローン問題が生じたことをきっかけに,金融不安が拡がった。
④ Dの時期に,原油価格が上昇したことをきっかけに,スタグフレーションが生じた。

解答解説 click↓
解答② 【解説】知識とグラフ読解の組み合わせ問題。①の説明はバブル崩壊後の説明であり、Cの時期が適当。②円高不況と呼ばれるもので、Bの時期はちょうどプラザ合意(1985)による円高不況が起こっている。③サブプライムローン問題によるリーマンショックは、2008~09年頃に発生しており、グラフの時期ならDが適当。④この説明は石油危機に関するもので、Aの時期が適当。

問3 経済学の理論や法則についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① ぺティ・クラークの法則によれば,一国の経済は発展するにつれて,第一次産業の比重を低下させる。
② リカードは,発展段階の異なる国家間では,自由貿易を行うべきではないということを明らかにした。
③ フリードマンは,不況が有効需要不足から生じることを明らかにし,政府による市場への積極的な介入の必要性を唱えた。
④ キチンの観察によれば,企業が行う設備投資の動向に規定されて,40か月程度の周期で景気変動が生じる。

解答解説 click↓
解答➀ 【解説】①第一次産業の比重が低下し、第三次産業の比重が上昇する。②リカードは比較生産費説を提唱し、自由貿易を推奨している。③ケインズの説明に近い。フリードマンはマネタリズムを提唱し、景気安定は通貨量の調整によるとした。有効需要の創設だけでは一時的であるとして、ケインズを批判している。④40か月ほどの周期で景気変動が起こる事は間違いないが、要因は在庫投資によるもの。設備投資を要因とした景気変動は、ジュグラーの波と呼ばれる。

問4 バブル経済についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 日本銀行による高金利政策の採用が,景気を過熱させた。
② 企業や家計の余剰資金が株式や土地などへの投機に向けられた。
③ 資産価格が上昇しただけでなく,消費や設備投資が拡大した。
④ リゾート開発への投資が増加した。

解答解説 click↓
解答➀ 【解説】①低金利政策を行ったことで資金の循環が活性化し、土地や株への投資が過熱した。

問5 高度経済成長期以降の産業構造の変化に関連する記述として最も適当なものを,次のうちから一つ選べ。

① 高度経済成長期における活発な設備投資を背景に,国内製造業の中心は,重化学工業から軽工業へと変化した。
② 二度の石油危機をきっかけに,エレクトロニクス技術を利用した省資源・省エネルギー型の加工組立産業が発展した。
③ プラザ合意後の円高不況と貿易摩擦の中で,国内製造業においては,労働力をより多く用いる労働集約的な生産方法への転換が進んだ。
④ バブル経済期の低金利と株価上昇を受けて,第二次産業就業者数が第三次産業就業者数を上回った。

解答解説 click↓
解答② 【解説】①高度経済成長期は、安価な石油を大量消費することができたことで、重化学工業が進んだが、石油危機により産業の転換を余儀なくされ、軽工業中心へと変化した。③知識集約型の産業へ転換を図っており、労働集約とは逆の考えになる。④バブル期においても第二次産業が3割、第三次産業が6割の比重で、文章のような事実はない。これが現代ではさらに第二次産業2割、第三次産業7割と変化している。

問6 1980年代までの日本経済を支えてきたものに日本的経営があるといわれている。その特徴として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 従業員や消費者よりも株主を重視した経営戦略
② 経済のグローバル化に対応した管埋機能の海外移転
③ 持株会社を中心にしたグループ全体での新規事業開発
④ 長期間の雇用を保障した終身雇用制

解答解説 click↓
解答④ 【解説】終身雇用制は日本的経営の代表的な例。他にも、年功序列型賃金も同様の例。

問7 次のア~ウは戦後の日本に生じた経済環境の変化についての記述である。これらについて,年代の古い順に配列されているものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

ア プラザ合意に基づくドル安誘導策による急激な円高をきっかけに輸出産業が不振となり,円高不況が生じた。
イ OPEC(石油輸出国機構)による原油価格の引上げをきっかけに第一次石油危機が生じ,高度経済成長が終わった。
ウ 長期の経済停滞を経験し,経営の悪化した銀行への公的資金の投入や特殊法人の廃止などの構造改革が進められた。

① ア―イ―ウ  ② ア―ウ―イ  ③ イ―ア―ウ
④ イ―ウ―ア  ⑤ ウ―ア―イ  ⑥ ウ―イ―ア

解答解説 click↓
解答③ 【解説】ア:プラザ合意は1985年に起きた。イ:第一次石油危機は1973年。ウ:構造改革は小泉内閣によるもので、2000年代前半になる。ア・イは年号ごと暗記しておくべき重要事項。

問8 バブル経済の崩壊を促した要因として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 日本銀行による数次にわたる公定歩合の引上げ
② 大蔵省による不動産関連融資の総量規制の実施
③ 金融機関の監督・検査を行う金融監督庁の設置
④ 土地資産などに対する新たな税(地価税)の導入

解答解説 click↓
解答③ 【解説】③金融監督庁は金融機関の検査・監督機能を分離・独立させて1998年に発足した組織。時期が異なる。過熱する景気を抑えるため、①にあるような金利の引き上げや➁④にある土地資産への規制を行った結果、地価や株価が暴落しバブルが弾けた。

問9 1970年代以降の日本経済についての記述として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 第一次石油危機の影響もあり,1974年の実質経済成長率は戦後初めてマイナスを記録した。
② 第二次石油危機の影響もあり,1980年代前半の実質経済成長率はマイナスを続けた。
③ 1985年のプラザ合意により円高が急速に進み,日本経済は円高不況に見舞われた。
④ 1990年代には株価や地価が下落し,日本経済は長期にわたる不況に陥った。

解答解説 click↓
解答② 【解説】②第一次石油危機により戦後初のマイナス成長を記録したが、その反省を生かし第二次石油危機ではさほど影響を受けなかった。80年代は安定成長期という時期で、緩やかな経済成長を続けている。

Follow me!

コメント

  1. Take より:

    いつも教材研究で貴サイトを活用しております。

    政経演習29 日本経済史⑵ の問2ですが、提示するはずの図(おそらくグラフ?)が載っていません。

    • keni より:

      いつもありがとうございます。グラフを追加させていただきました。いつもご指摘いただいてありがとうございます。

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました