政経講義51 国際紛争をわかりやすく

政経

本単元のポイント
⑴ 争いのきっかけ・発生場所
⑵ ユーゴスラビア紛争
⑶ 近年の地域紛争

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…入試頻出の最重要事項
黄蛍光ペン…抑えておくべき重要事項

今回は国際紛争について。地域紛争と言うこともありますが、中身は同じです。規模の違いと思ってください。戦争と紛争の違いも基本は規模の大きさ表現が異なっているだけなので、特に気にする必要はありません。

発生が増加したのは主に冷戦終了後で、米ソの大国に隠れて世界各地で燻っていた民族や宗教、領土をめぐる争いが、表面化していきます。数は限られているので、各紛争の原因、起きた場所、結果などをセットで覚えていきましょう。

▼世界で発生した国際紛争

国際紛争は全て丸暗記しようとすると大変です。種類ごとや地域ごとなど、ある程度分類して覚えていきましょう。ひとまず紛争の種類で分けて紹介していきます。

(ⅰ)宗教的対立による紛争

紛争の原因として非常に多いのが、宗教的対立を背景とするものです。今回は主に宗教的対立がある2つの紛争をこのカテゴリーに含めましたが、他の紛争でも宗教が絡んでいるものは沢山あります。宗教に寛容な日本ではあまり考えにくいかもしれませんね。

カシミール紛争印パ紛争ともいいます。インドVSパキスタンの紛争なので、後者の呼び方も覚えておくことを薦めます。隣り合う両国の国境付近にある地域(カシミール地方)をめぐる争いに、イスラム教VSヒンドゥー教という宗教対立も相まって大きな紛争となりました。

この両国を見て何か別のことに勘づいた人は立派です。わかりましたか…???この2国は世界でも数少ない核実験を行った国です。この紛争の武力衝突が続く過程で、1998年に核実験を行いました。現在でも核保有が分かっている国は、米露英仏中のNPT核保有国と今回のインド・パキスタンだけです。(※事実上保有していると言われるイスラエル、疑いがあるイラン・北朝鮮も覚えておきましょう!)

下にあるパレスチナ問題は、多くの内容を含むものなので別のページで解説しています。「政経講義52パレスチナ問題」を参考にしてください。

(ⅱ)独立・自治を求める争い

次に、独立・自治を求める争いです。かつて植民地支配にあった場合や、異なる人種が同じ国に括られている場合など、要因は争いによって多種多様となっていますが、特定の領土や国からの独立を目指している点はどれも同じです。

チェチェン紛争は頻出ですが、場所を見るとロシアの最西端あたりになります。入り組んだ場所でヨーロッパのどこかかな?と勘違いしやすい場所ですが、気を付けましょう。後から載せる地図を確認しておいてください。

東ティモール紛争もよく出てくる地域紛争の1つです。こちらも東南アジアの島国という地理的特徴が強い地域なので、地図上の選択問題としても狙われやすい場所です。

ユーゴスラビア紛争は他の紛争に比べて長期化・大規模化した戦いになるため、後ほど改めてまとめたいと思います。

下2つに示したチベット民族・ウイグル民族はいずれも中国の少数民族です。私たちがぱっとイメージする中国人は漢民族と言われる民族で、大多数を占めています。しかし、他に55の少数民族が公式に認められているように、多くの民族が入り混じる地域もあります。上海や北京といった大都市は東部にあり、少数民族が集中する西部との経済格差も問題となっています。

こうして見てみると、独立を望む勢力と、それを阻む大国という構図が多いですね。

(ⅲ)国内での争い

最後に国内での勢力争いをまとめたものを紹介します。

特にアフリカのルワンダ内戦は頻出なので要チェックです。ツチ族とフツ族という言葉も宗教も変わらない民族にもかかわらず、分類した統治が実施されたことで対立してしまった。フツ派の過激派が80~100万人もの人を虐殺するというショッキングな争いとなっている。

▼紛争の発生場所

続いて、これまで紹介した紛争を、地域ごとにまとめたものを紹介します。旧センター試験の時代から、地域紛争の場所を問う問題は何度が出題されていました、共通テストになってから地図こそ出ていないものの、いつ出てもおかしくない部分です。

▼ユーゴスラビア紛争について

最後にユーゴスラビア紛争についてです。まずはこの地図をご覧ください。

ヨーロッパの西部に位置する国で、ギリシャやイタリアなどとも接するエリアです。黄色で囲われた部分が旧ユーゴスラビア連邦としてかつて1つにまとまっていました。しかし、中身は複雑で「7つの国境・6つの共和国・5つの民族・4つの言語・3つの宗教・2つの文字・1つの国家」と表現されるように、さまざまな要素が入り混じる国でした。

冷戦の終結とともに連邦制の崩壊が始まり、91年にはクロアチアとスロベニアが独立を宣言。これを認めないセルビアとの戦いとなりました。その後も、92年にボスニア・ヘルツェゴビナが独立を宣言し紛争が拡大、94年にはNATOがセルビアを標的に空爆を行うなど、泥沼化していきました。

コソボ紛争はNATOの空爆なども相まって、激しい戦いとなり、多くの死者や難民が発生しました。以後、独立が徐々に認められたものの、2008年に独立したコソボはいまだにセルビアに認められておらず、国連に加盟できていません。現代においても、親ロシアの立場を取るセルビアに対しコソボは欧州との連携を深めたい立場で、ウクライナ戦争のような対立が生まれています。いつ民族紛争が起きてもおかしくない状態と言えるでしょう。

▼まとめ

以上が主要な国際紛争のポイントになります。それぞれの紛争・問題の背景原因を合わせて覚えていきましょう!時事的な内容に繋がる単元でもあり、私大入試での出題率が高い分野だと思います。今回紹介したユーゴスラビア紛争や、次のまとめで解説する「政経講義52パレスチナ問題」は、根本的な部分から理解して欲しいですね。読んでいただきありがとうございました。

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