政経講義30 予算・租税をわかりやすく

政経

本単元のポイント
⑴ 国家予算の内容を理解
⑵ 租税の種類や歴史を理解

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…共通テスト頻出の最重要単語

黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

今回は財政問題についての解説。財政とは何か・予算・租税・景気安定など、さまざまな頻出分野があるため、2回に分けて解説をしていきます。

▼財政の機能

財政の機能、つまり政府が行う経済活動は大きく分けて3つある。

➀資源配分の調整
➁所得の再分配
③景気の安定化

➀は民間では供給されにくい、道路や港などの公共財や、警察や教育などの公共サービスを政府が供給し、適切な資源配分を実現すること。ここはあまり問題になることはない。

➁の所得再分配については重要な部分なので、理解しておきたい。自由競争で生じる所得格差を、少しでも是正できるような制度がいくつかある。

累進課税制度

歳入面では累進課税制度を採用し、より高所得者に高い税負担を求める。上の表は所得税に採用されている税率であるが、相続税や贈与税にも累進課税が採用されている。こうして集めた資金を、社会保障を通じて低所得者の保護に使うことで、所得の再分配を実現している。

所得税の所得再分配効果

これは、実際にどの程度所得再分配が実施されているかを示したグラフである。上の給与所得者は、それぞれの所得層における割合。例えば年収1000万円以上の人は、全体の13%という意味である。下の税額は、どの所得層の人がどの位の税額を負担しているかを表している。つまり、年収1000万以上の人々が全体の8割程度の所得税を負担していることになる。高所得者がいかに所得税の税収を支えているかがわかる。

③の景気安定化については、次の解説で扱いますので、今回は省略します。

▼国家の予算

財政において、頻出なのが国家予算について。予算の中でも一般会計予算について問われることが多く、大体の内容は暗記しておいても損は無い。グラフの読解問題等でも出題されることがあり、知っていれば読解にかかる時間も短縮できる。

基本は最新のデータが出題されるので、今回は2023年のものを紹介する。

日本の歳入

2023年一般会計予算(引用:NHKニュース「令和5年度(2023年度)予算 子ども・子育て支援 コロナ対策 防衛費|NHK」)

まず歳入のポイントは税収の3トップ!消費税増税の影響もあり、近年は消費税がトップ。それに続いて所得税、法人税と続く。年によっては所得税の方が上回ることもあるため、「消費税・所得税の2トップ+3位の法人税」と覚えておこう。

2つめのポイントは公債金(建設公債+特例公債)。つまり借金をどの程度しているかだが、「借金は全体の30%程度」と覚えておきましょう。

国家予算 歳入の推移

推移を見ても租税で賄える分が減少し、その分借金に依存していることが分かる。

日本の歳出

2023年一般会計予算(引用:NHKニュース「令和5年度(2023年度)予算 子ども・子育て支援 コロナ対策 防衛費|NHK」)

歳出のポイントは何といっても「社会保障費」。高度経済成長期あたりでは全体の15%程度しか占めていなかったが、少子高齢化の進行や景気停滞などに伴い増加傾向にある。近年は3分の1を占めるようになっている。「社会保障は全体の3分の1」と覚えておこう。

それがゆえに、公共事業や教育にかけられる予算は少なくなっている。過去の借金返済に該当する国債費も20%~25%で推移している。

国家予算 歳出の推移

30年前との比較であるが、社会保障費は倍増しており、その影響で公共事業や教育、地方交付税など全体的に減少傾向となっていることを抑えておきましょう。

▼日本の租税

上の歳入でも少し登場した租税について、ポイントを深掘りしていきます。

租税の種類

高校生であっても物を買えば消費税を納め、アルバイトをすれば所得税を納めるように、税は私たちの身近にある。しかし、社会に出れば「こんなに税金って存在するの!?」と驚くほど、さまざまな税金を課されることに気づく。以下の表に代表的なものをまとめてみた。

直接税と間接税の分類

まず個人の収入に課税される所得税、会社などの法人が得た利益に対しての課税である法人税、個人や法人が自分の住んでいる都道府県や市町村に納める住民税などが有名どころ。その他にも、土地や建物を所有することに対する固定資産税、自動車を乗ることに対する自動車税、購入した時に発生する酒税・タバコ税・ガソリン税などは、今後皆さんが関わっていく可能性が大きいものである。

租税は2通りの分類ができ、まずは税金がどこに集められるのかによる分類。全て国へ入る訳ではなく、項目により国へ入るものと、地方自治体へ入るもので分かれている。これはそのまま「国税」「地方税」と分類される。

もう一つが納め方による分け方。自分で直接納付するものを直接税、税を払った人と納める人が異なるものを間接税という。例えば消費税で説明すると、みなさんはコンビニで商品を買う時、税込み価格で支払いをしますよね。つまりこの時点で税を支払っています。しかし、税金はコンビニが受け取る訳ではありません。当然国や地方に払うものであり、その役目をコンビニがまとめてやってくれているんですね。税負担者は客、納税者はコンビニというように異なるため、消費税は間接税である。

直接税の方が納税の管理がしやすく安定する性質があるため、日本は1949年のシャウプ勧告の影響から直接税中心のスタイルをとってきた。しかし、近年の消費税増税に伴い、間接税の比率がどんどん高くなっており、現在は5分5分程度の比率となっている。貯巻比率の推移もよく出るので、覚えておきましょう。

直間比率

消費税の歴史

最後に消費税の歴史について紹介しておきます。消費税は私たちにとって最も馴染みがあるといっても過言ではない税金ですが、意外とその歴史は浅い。かつては消費税が無くても財政が安定していたため、消費税は存在していなかったんです。

導入が決まったのが1989年(竹下登内閣)からで、この時は3%という税率であった。これが97年に5%、2014年に8%とじわじわ上昇し、2019年から現在の10%となっている。消費税は、誰からも集められる点で安定性がある反面、低所得者にとって負担が重い逆進性をもつ。金持ちにとっては5%も10%もどうでもいいと思えるかもしれないが、生活に精いっぱいの人にとって消費税が数%上がるのはしんどいよね。いわば弱者に優しくない性質が消費税のデメリットであり、増税反対を掲げる政治家がいる要因でもある。

消費税のポイント

▼まとめ

以上が予算や租税についてのポイント。内容は多いかもしれないが、覚えれば解けてしまう問題も多い。しっかり復習しておきましょう!次は景気安定について解説していきます。読んでいただきありがとうございました。

過去問演習にチャレンジ!→ 政経演習25財政・予算
過去問演習にチャレンジ!→ 政経演習26財政・租税
一問一答問題にチャレンジ!→ 一問一答経済06財政
授業プリントはコチラから!→ プリントダウンロード

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました