政経講義55 日本の外交と領土問題をわかりやすく

政経

本単元のポイント
⑴ 各国との国交回復の条約を抑える
⑵ 領土問題と対象となる国を抑える

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…入試頻出の最重要事項
黄蛍光ペン…抑えておくべき重要事項

今回は外交・領土問題について。現在の日本は、先進国の1つとして政治面や経済面で世界を引っ張る立場にあります。しかし、第二次世界大戦直後は、敗戦国として世界の中心からは遠い存在として扱われており、そこから各主要国との国交回復に向けた努力、さらには国の成長によって自らの立ち位置を押し上げてきました。

つまり、今回の内容は戦後~現代の間の出来事が中心となります。どんな背景・過程によって、国交回復が実現したかを確実に抑えていきましょう。

また、近隣諸国との領土問題も現代の大きな課題の1つです。なぜそのような問題が起きているのか、どの国とどの領土について争っているかなどが、抑えるべきポイントとなります。

▼国交回復のあゆみ

戦後、日本は主権すら奪われた状態でした。それが回復して独立を実現したきっかけが1951年のサンフランシスコ講和条約。翌年に条約が発効したことで、日本は国際社会に復帰することとなりました。しかし、この会議には中国は招かれず、ソ連も除かれており、両国との国交回復はお預けとなっています。それぞれの国交回復がどのような順序で実現したか、以下の年表で確認しておきましょう。

▼各国との関係

アメリカとの関係

アメリカと日本は切っても切れない強い関係性があります。戦後日本の基礎となった憲法をはじめ、今の日本にはアメリカの影響を受けたものが数多くありますし、防衛政策や経済政策において密接な関係を築いてきました。一見良好な関係の両者ですが、1980年代以降の貿易摩擦問題については別物。どのような問題か、またその時系列などを抑えておきましょう。

貿易摩擦とは

日本は技術水準の高さを武器に、輸出が盛んになり、当時最大の取引国であったアメリカに対しても一方的な黒字状態が続きました。このアンバランスな状態が引き起こす衝突を貿易摩擦といいます。1950年代~継続的に貿易摩擦が生じており、自主規制や法改正・協定の締結などで改善を図ってきましたが、1980年代には衝突が特に激化し、貿易面以外のあらゆる経済面で衝突する経済摩擦まで引き起こしました。

上記の通り、1980年代頃から生じる摩擦が特に大きなものであり、法制定や協議へ繋がっている。80年代後半の動きが特に頻出なので、年表で流れを抑えておきましょう。

80年代頃には日本車が売れすぎた関係で、アメリカの自動車産業に多大な影響を与えました。その結果、日本車の打ち壊しが起こるまでになっています。

この摩擦を抑えるための対策として、アメリカでは包括通商法(通称スーパー301条)が制定されています。不公正な貿易への報復措置を定めた内容ですが、実質日本を標的にしたものと言われています。その後の協議内容についても、以下の図を参考にしてください。

中国との関係

中国は現在世界2位のGDPを誇り、アメリカとともに世界経済の中心となっています。日本の貿易相手としても、中国の割合が増加しており、輸入・輸出のいずれも、全体の2割程度の取引が中国で占められています。

中国との国交回復について補足をしておくと、先ほどの日中共同声明の前にも「日華平和条約(1952)」という条約を締結しています。しかし、この相手は中華民国(台湾)であり、中華人民共和国とは別物です。2つの中国が混同しないように気を付けましょう。

その他の国との関係

先ほどお預けとなっていたソ連との国交回復は、1956年の日ソ共同宣言によって実現しています。(鳩山一郎内閣) ここで争点となったのが北方領土(歯舞群島・色丹島・国後島・択捉島)で、日本としては4島の一括返還を交渉していました。結局2島返還の妥協案で国交回復が成立し、歯舞群島と色丹島は平和条約を締結した後に返還するという話で落ち着きました。しかし、平和条約はいまだに締結されておらず、残り2島の返還も実現していません。

もう一点抑えるべきポイントとして、この日ソ共同宣言によりソ連の支持を受けられるようになったことで、日本は国連に加盟することができました。(80番目の加盟国)

また、韓国との国交回復は1965年の日韓基本条約(佐藤栄作内閣)で実現。国交回復が進んでいない北朝鮮とは、2002年の平壌宣言(小泉純一郎×金正日)で歩み寄りを見せたものの、国交回復とまではいっていない状況です。

▼日本の領土問題

先ほどの単元で登場したものもありますが、主にロシア・韓国・中国との問題が重要です。

ロシアの北方領土問題は、先ほどの説明を参考にしてください。現在も日露間で平和条約が締結されていないため、歯舞群島・色丹島ともに返還が未達成となっています。

韓国との領土問題は竹島問題です。韓国名では独島(ドクト)といい、島根県の北あたりに位置しています。2012年に韓国大統領が上陸したことを受けて、日本は国際司法裁判所へ提訴しましたが、韓国側がそれに応じないため審理できない状況となりました。現在は実質上、韓国が支配しています。

中国との領土問題は尖閣諸島で、台湾や香港も巻き込んだ形での問題となっています。2010年には中国漁船が尖閣諸島の領海を侵犯したり、2012年には中国の活動家が上陸し逮捕されるなど、たびたび衝突が発生しています。実効支配しているのは日本です。

外務省ホームページより引っ張ってきた地図を載せておきます。位置関係も把握しておきましょう。

外務省ホームページ:日本の領土をめぐる問題

▼まとめ

以上が外交・領土問題についてのポイントになります。入試の出題分野であるだけでなく、時事問題や国際政治関係の小論文などにおいても、必ず抑えておきたい基本的な内容です。取りこぼしが無いように気を付けてください。

読んでいただきありがとうございました。

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