政経講義48 国際連合の組織をわかりやすく

政経

本単元のポイント
⑴ 安全保障理事会の決議
⑵ 緊急特別総会の開催

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…共通テスト頻出の最重要単語

黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

前回は国際連合の成立までの過程や、主な役割について紹介してきましたが、今回は詳しい組織についての解説です。どちらかと言えば前回よりも今回の方が入試には出る部分となりますので、細かい内容まで抑えておきましょう。

▼安全保障理事会

国連の組織

上の図のように、国連には様々な組織がありますが、最もよく出る組織が「安全保障理事会」である(通称:安保理)。一応世界中の国が集う総会は最高機関であるが、先に安保理について知ってもらった方が総会の解説もしやすいため、まずは安保理の解説からしていきます。

安全保障理事会について

安全保障理事会とは、紛争処理を担当する機関で、5つの常任理事国と10の非常任理事国から成る組織である。常任理事国がいわゆる戦勝国の五大国であり、アメリカ・ロシア(元ソ連)・イギリス・フランス・中国の5つである。この国は固定なので暗記しておきましょう。非常任理事国は2年を任期として、各地域から代表国が選出されている。ちなみに日本は非常任理事国として、加盟国中最多の12回選出されています。(2023年現在)

拒否権について

安保理の常任理事国には拒否権が与えられており、重要事項に関して発動される。つまり、この5カ国のうちどこか1つだけでも反対をした場合、物事が進んでいかないというものであり、非常に大きな権限となる。冷戦時などは米ソの拒否権発動によって安全保障機能が働かなかった過去もある。

拒否権の発動回数

このグラフは各国の拒否権行使回数を表したものです。米ソが圧倒的に多いのが読み取れますね。また時期にも注目してみてください。ソ連の行使が多い時期は、冷戦真っただ中の頃。米英仏が西側諸国としてソ連と対立していたことから、欧米の決定を阻止するための拒否権行使が頻発していました。また、アメリカの回数がかさんだ時期は、パレスチナ問題に関係するもの。イスラエルを批判する決議に対し、同国を支持するアメリカが拒否権行使を繰り返していたことが原因です。パレスチナ問題については、別単元で解説します。(政経講義52パレスチナ問題をわかりやすく)

平和のための結集決議

このシステムで、常任理事国が戦争を起こしたらどうなるでしょうか?例えばアメリカと中国が戦争を起こした場合、どんな提案があっても都合の悪い国が拒否権を発動すれば、安保理は機能しなくなりますよね。この場合、安保理の代わりになるのが「総会の緊急特別総会」です。「安保理のうち9カ国以上」か「総会の過半数以上」の要請があった場合に召集され、安保理の代わりに軍事的措置の勧告ができる。過去に10回程度開催されたことがあり、近年では11回目の緊急特別総会として、ウクライナ侵攻でロシアを非難する決議が行われました(2022)。まさに先ほど例に挙げた、常任国が当事者になった場合だったわけです。

実は総会の決定には法的拘束力が無く、今回のウクライナ侵攻の非難決議も「ロシアの撤退や民間人の保護」を勧告したに過ぎません。しかし、国連の多くの国が賛成を投じたことで、ロシアの国際的孤立が進んだという点で、意義のある決議だったといえるでしょう。

最後に、安保理についてのポイントを改めて以下の図で確認しておきましょう。

安全保障理事会について

▼その他の国連の組織

総会

全加盟国で構成され、一国一票をもつ。通常総会に加え、安保理や加盟国の要請によって開催される特別総会、前述した緊急特別総会などがある。国際連盟のように全会一致制の決議方法ではないことを区別しておきましょう。

総会によって設立された組織もいくつかあり、有名どころは以下の図にまとめた通りです。

総会によって設立された機関

経済社会理事会

国際的な経済・文化・保健などの分野で調査を行う組織。国連から自立した専門機関がいくつかあり、それらの機関との連携をとることもある。

+α 国連から独立した主な専門機関
・国連教育科学文化機関(UNICEF)
・世界保健機関(WHO)
・国際労働機関(ILO)
・国際通貨基金(IMF)  など

信託統治理事会

漢字の意味を考えてもらえばイメージしやすいと思いますが、この組織は政治が不安定な地域を監督する役割をもち、統治が必要と指定された国で活動を行う。当初は11地域あったものの、1994年にパラオが独立したことで指定された全ての国が独立を完了しました。役目を終えたことで94年から活動停止となっている点が、入試問題でも見かけるポイントなので覚えておきましょう!

国際司法裁判所(ICJ)

国家間の紛争を審理する裁判所で、国連憲章を根拠とする。この裁判のポイントは「双方の同意があって初めて審議が開始する」という点。つまり。訴えられた側が同意する必要があり、都合の悪い内容であれば「同意しなければいいだけ」になってしまう。例えば、日韓の竹島問題についても、日本が起こした訴えに対して韓国側が拒否した事例があります。

ここで出た判決には法的拘束力があることもポイント。覚えておきましょう。

▼まとめ

国連と言ってもさまざまな組織があり、それぞれで決議方法や参加国数、法的拘束力の有無などが異なっていく。混同しないように抑えていくことが大切です。特に安保理については絶対に理解すべき頻出部分です!以下にある演習チャレンジを活用し、実戦力を身につけてください。読んでいただきありがとうございました。

過去問演習にチャレンジ!→政経演習37国際社会と国際法
             政経演習38国際連合の役割
一問一答問題にチャレンジ!→ 一問一答国際02国際連盟と国際連合
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