今回は裁判所について。内容が多い単元なので、入試の頻出ポイントに絞って解説していきます!
▼司法権の独立
公正な裁判が行われるように、憲法では法以外の何にも拘束されないことが定められている。様々な権利があるが、今回は入試でよく出るポイントのみ紹介する。
裁判所の独立
日本では最高裁判所を頂点として、地方裁判所や家庭裁判所などの下級裁判所でのみ司法権を行使すると定められている。つまり、その他の機関で司法権を行使することはできず、別の裁判所を設置することはできない。(=特別裁判所設置の禁止) 大日本帝国憲法下では、軍法会議や行政裁判所といった特別裁判所は存在していたので、区別して覚えておこう。
裁判官の独立
裁判官は特別な理由なしに辞めさせられないとなっている。逆に罷免される例はわずかしかないので、ここが狙われるポイントとなる。
1点目は、心身の故障によって、職務に支障をきたすと裁判で判断された場合。やはり正当な判断ができない状態では裁判官は務まらない。同様に、定年に達した場合も辞めることになっており、最高裁・簡易裁判所は70歳、他の裁判所は65歳となっている。
2点目は弾劾裁判による罷免。裁判官が裁判の対象となった場合に、国会で開かれる弾劾裁判では、国会議員14名が審議を行う。3分の2以上の同意があれば罷免されるが、過去にも7人罷免された事例がある。(2023年1月現在)
3点目は、最高裁判所限定であるが、国民審査による罷免。初めて任命された後の衆院選の投票日に実施しており、その後は10年経った後の衆院選で実施する。過半数×があった場合罷免となるが、2023年1月現在で前例はない。
▼裁判所の種類
刑事裁判と民事裁判の違い、三審制などの知識は基礎なのでここでは割愛する。被告と被告人の違いや、検察官の役割などがわかっていればOKです。では狙われるポイントを紹介していきます。
再審制度
裁判は慎重に実施するために、原則3回まで受けられる。これを三審制というが、例外となるやり直しの裁判を再審という。再審とは、確定した判決について重大な誤りが発覚した時に、当事者の請求によって行われる裁判のこと。
ここで間違えないで欲しいのが、再審は冤罪防止のための制度であるということ。つまり、有罪判決の者が何かの間違いで無罪の可能性が出た場合に、再審は実施される。逆に、無罪が確定した後に有罪を決定づける新たな証拠が出たとしても、再審は実施されない。この違いに注意しましょう。
裁判を受ける順番
裁判所は最高裁判所の他に、高等・地方・家庭・簡易の4種類があるが、1回目の裁判は地方・家庭・簡易のいずれかとなる。少年の保護事件や家庭に関する事件・調停は家庭裁判所、罰金以下の刑や訴額の低い民事裁判は簡易裁判所、その他の多くの事件は地方裁判所で実施される。
▼違憲法令審査権
法律や命令、規則、処分などが憲法に合致するかを審査する権限を違憲法令審査権という。特に、最終審を行う最高裁判所は「憲法の番人」と呼ばれる。
過去に最高裁で違憲判決が出た事例は全部で13種類となっているので、全て知っておいてもいい。以下に簡潔にまとめたものを載せていくので、事例とざっくりした内容を確認しておきましょう。
見てわかるように、「法の下の平等」や「一票の格差」、「政教分離」など同じようなパターンで判決が出ているものが多い。一方で、平和主義(日米安全保障条約や自衛隊)に関する判例で最高裁の違憲判決は出ていない。高度に政治性のある行為として、司法審査の対象外となっている(統治行為論)。
また、違憲審査をする際は、何かしら具体的な事件の裁判が必要となることもポイント。つまり、「自衛隊は憲法9条に反しているんじゃないの…?」という主張や意思だけでは、裁判所は動かない。何かしら自衛隊が関わる事件が起き、その事件の裁判を通して、関連する範囲で違憲審査を行うことができる。このような違憲審査の方法を、付随的違憲審査制という。アメリカ、日本、カナダなどで採用される方法である。
ドイツやスペイン、ロシアなどでは具体的な事件が無くても違憲審査ができ、この方法を抽象的違憲審査制という。ちょっと応用分野になるので、頭の片隅に入れておきましょう。
一旦今回はここまで。次回の投稿でも引き続き裁判所についてのポイントをまとめていきます。
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