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今回は裁判所についての続きで、現代における司法の課題について解説していきます。細かい内容まで問われる単元なので、ちょっとマニアックな部分まで触れていこうと思います。
▼司法権の課題まとめ
司法制度の課題
2000年頃より、司法制度の課題を受けて新たな改革が進められてきた。主に以下のような批判が為されており、各項目に分けて対応策を紹介していく。
➀裁判に時間がかかりすぎる
➁被害者の権利が軽んじられている
③法曹人口が少ない
④市民の司法参加が少ない
➀裁判の迅速化
裁判の判決までに時間や費用がかかる点が課題として挙げられ、その改善案として頻出の事項を紹介する。

➁被害者の権利が軽んじられている
これまで、被害者が法廷に参加することはできず、被害者の権利が軽んじられていると批判されてきた。法廷が報復の場にならないか、感情に流され冷静な判断が難しくなるのでは、といった懸念はあるが、被害者の司法参加が認められてきている。

③法曹人口が少ない
法曹人口とは、裁判官や検察官、弁護士などの法に関わる人を指すが、日本は欧米諸国に比べて極端に少ないという現状がある。
2006年に法科大学院が開校し、法曹人口の増加を目指した。しかし、実態は合格率が低迷し志願者が減少したため、募集停止や撤退が相次いだ。合格の近道として司法試験予備試験の利用が増えている。
④市民の司法参加が少ない
これについての改善案として「裁判員制度」や「検察審査会」などの制度が整えられてきたが、頻出分野なので次の部分で詳しく解説していきます。
▼裁判員裁判
裁判員裁判の開始
裁判員裁判は、市民の司法参加を促すために2009年から導入されている。有権者から無作為に選ばれた6名の裁判員と、3名の裁判官(プロ)の9名で審議を行い、有罪・無罪かどうかと量刑の判断を行う。

(ⅰ)死刑や無期懲役などの重い刑罰の事件が対象
(ⅱ)刑事裁判の第一審のみで行われる
(ⅲ)有罪無罪+刑罰の内容を全員で判断する
▼検察審査会
検察審査会とは
検察は、犯罪の疑いがあるものを捜査し、起訴するかどうかを決定する役割を担う。つまり、起訴において検察が全ての権限を握っており、万が一その決定が不適当だった場合に実施されるのが検察審査会である。いわば、検察の判断を監視する役割をもっている。
検察審査会の最大のポイントは、審査する人が有権者であるということ。裁判官や弁護士といった専門家ではなく、一般市民から抽選で選ばれている。
もう一つのポイントは、審議の結果「起訴すべき」という判断が2度繰り返された場合には、必ず起訴しなければならない。(=強制起訴) このような強制力を持っていることも併せて抑えておきましょう。
検察審査会の実例
具体例を1つ紹介し、この単元を締めくくる。
事故発生後の2012年、福島県の住民グループが東京電力の経営陣に刑事責任を求める告発を行う。翌年の2013年に東京地検が全員不起訴処分を下すが、その決定を不服として検察審査の申し立てを行った。
2014年に元会長ら3名を「起訴すべき」と議決し、東京地検は再度不起訴処分とするが、2度目の検察審査会で「起訴すべき」という判断が下され強制起訴となった。
2019年に地裁、2023年に高裁で共に無罪判決が下されたが、2023年2月現在上訴中となっている。
裁判所についてのポイントは以上。過去問等でアウトプットのトレーニングもしていきましょう!
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