今回は国会の基本について。国会は国の機関で最も重要とされており、主権者である国民の意見を直接代表する機関である。その国会が内閣や裁判所とどのように関わっているか、衆議院と参議院がどのように関わり合っているかなどがポイントになる。
▼国会の権限
憲法41条 国会は「国の唯一の立法機関」であり、「国権の最高機関」である。
憲法にも記されているように、主権者である国民の代表として立法を担い、国の機関で最も重要とされる。この国会に立法権、内閣に行政権、裁判所に司法権を帰属させ、互いが抑制・均衡し合う三権分立を定めている。
特に、内閣との関わりについては混合して覚えにくい部分もあるので、表でまとめた。区別して抑えよう。
ポイント★1 法律案は議員だけでなく、内閣も提出する!
法律案の作成は、議員によるもの(議員立法)だけでなく、内閣も提出する。議員の法律案は野党議員からのものが多く、国会では多数決で敗れてしまい、成立しないことがほとんどである。一方、内閣は国会の多数派で構成されているため、そのまま国会でも成立することが多い。
ポイント★2 条約の承認は事後でも可能!
「条約の承認」と聞くと、事前に調査し承認した後で締結しないとといけないと思われるかもしれないが、実は事後の承認でも可能。
ポイント★3 弾劾裁判は国会の仕事! ※超頻出
弾劾裁判とは、裁判官を罷免するかどうかを決定する裁判。裁判といわれると司法権を想像してしまうので、国会の仕事であることをしっかり覚えておこう。弾劾裁判では、衆参両院から7名ずつの計14名が国会の代表者として選出され、裁判の業務にあたる。過去に数件事例もあり、2013年には電車内で女性を盗撮をした裁判官がこの弾劾裁判により罷免された例がある。
ポイント★4 国政調査権は国会の仕事!
先ほどの弾劾裁判と同じく、国政調査権も内閣の業務と混同しやすい。この権限は、各議院が国の政治を調査するために、証人を出頭させたり証人喚問の実施、証拠の提出などを求めたりできる。衆議院と参議院のどちらの院にもこの権限はあることも注意!
▼衆議院の優越
国会は衆議院と参議院の二院制となっている。明治憲法下では、衆議院と貴族院という二院制であったが、日本国憲法で改められた。
上に示したように、任期や解散の有無に違いがあるが、いずれも衆議院の方が短期間で任期を終えるしくみとなっている。(ほとんどの場合、任期満了までに解散をしてしまうパターンがほとんどなので、4年以内に任期を終えてしまう)
その一方、衆議院は参議院よりも強い権限を与えられており、これを衆議院の優越という。
衆議院の優越には3つの権限がある。1点目は「予算の先議権」で、その名の通り予算案を先に審議することができる。衆議院の多数派から内閣は構成されるため、内閣が作った予算案は衆議院ではすんなり通過する。2点目は「内閣不信任決議権」で、この権限は参議院には無いものである。先ほど述べたように、内閣と衆議院は仲間同士であるが、まれに仲間割れを起こすこともある。この場合に、衆議院が内閣不信任決議を行う。逆に、内閣が衆議院を解散させる権限もあるので、お互いの関係をリセットすることができるようになっている。
3点目が少し複雑なので要注意。様々な議決を行う国会だが、衆参で議決が異なる場合もある。この場合に、衆議院の議決を優先させることが定められているが、議決の内容によって対応が異なるため注意しよう。
以上の内容が国会の基本。実際にどのような審議を行っているのかや、近年の課題等は次の投稿でまとめていこうと思います。特に衆議院の優越は頻出なので、表をまるごと覚えましょう!
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