政経講義13 新しい人権をわかりやすく

政経

本単元のポイント
①新しい人権とは何か
②判例を基に権利を理解

今回は新しい人権について。今回は多くの権利が出てくるので、判例を基に一つ一つ丁寧にポイントをまとめていきます。

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…共通テスト頻出の最重要単語

黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

▼新しい人権とは

日本国憲法は、制定後70年を過ぎた現在においても、内容が全く変わっていない。しかし、社会は大きく変化しており、新たに保障すべき権利が生まれるのは当然のことである。新しい人権とは、そんな時代の変化に伴って、新たに主張されるようになった権利のことを指します。

つまり、新しい人権は憲法に明記されていない権利になるため、元々ある権利を根拠として主張されている。例えば、環境権は「人間らしい生活環境を享受できる権利」だが、憲法には書かれていない。
そこで、その権利に近い幸福追求権(第13条)や、生存権(第25条)を根拠として、環境権を保障するよう主張されている。「憲法には幸せを求める自由が保障されているよね、文化的で最低限度の暮らしも保障されているよね」→だったら「人間らしい生活環境で暮らす権利も当然保障されるべきだ!」という流れで新たな権利を主張していくイメージ。

今回は判例と共に各権利がどのような背景で主張され、どのような内容になっているかを抑えていく。

▼新しい人権の判例

環境権とは

まずは、上の例にも挙げた環境権から。

環境権とは

その名前の通り、良好な生活環境を享受できる権利だが、背景は1960年代以降の公害問題である。高度経済成長の下で発生した環境破壊により、人間の健康への被害が生じたことから主張されるようになった。以下に示す大阪空港公害訴訟が有名だが、景観権が争点となった「鞆の浦景観訴訟」や、騒音が争点となった「名古屋新幹線騒音訴訟」も抑えておきたい。

関連法令:建築基準法、環境影響評価法、健康増進法、景観法

環境権の判例

知る権利とは

知る権利とは

知る権利とは、国家が持つ情報が集中する一方で、国民に対しては十分知らされていないこともあるのではないか?という主張が発端。主権者である国民が政治的な意見を判断できるよう、必要な情報が知りたい時に知れるよう、知る権利が保障されてきた。一方で、例えば国防やテロ防止に関する情報など、ある程度秘密にしなければならないものもある。どんな情報でも公開した場合に不都合が生じることもあり、その基準が争点となる。

関連法令:情報公開法、特定秘密保護法

知る権利の判例

プライバシー権とは

プライバシー権

プライバシー権は、有名人の私生活暴露が問題となったことから主張されるようになり、現代では一般人にも同様に適用されるようになっている。また、情報化が進み個人情報の流出が問題となった近年では、「自己の情報をコントロールする権利」としても把握されるようになっている。

関連法令:マイナンバー制度、個人情報保護法、通信傍受法

プライバシー権の判例

自己決定権とは

自己決定権とは、自分のことを自分の意思で決める権利。特に妊娠や出産、医療拒否や尊厳死など、医療現場で主張されることが多い。この他にも、髪型や服装などの身近な事項にも適用される。

自己決定権とは

関連法令:臓器移植法、母体保護法(人工妊娠中絶の制約)、未成年者喫煙禁止法など

自己決定権の判例

アクセス権とは

アクセス権とは

アクセス権とは接近権といわれるように、一般市民がマスコミに接近する権利を指す。メディアに対して反論記事の掲載などを求めることができる。しかし、あまりにもこれを許容してしまうと、メディアの表現の自由を制限し兼ねない問題や、近年はインターネットやSNSの普及で、一般市民の情報発信ができるようになっていることもあり、触れられることは少なくなっている。

アクセス権の判例

以上の5つが主な新しい人権。各判例や関連法案をセットで抑えていくと、根本的な理解に繋がっていくので、是非参考にしてください。

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一問一答はコチラから!→一問一答06.基本的人権
問題演習はコチラから!→政経演習09新しい人権

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