政経講義59 EU成立をわかりやすく

政経

本単元のポイント
⑴ EU設立の背景を抑える!
⑵ EUにおいて、統合が深まった過程を抑える!

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…入試頻出の最重要事項
黄蛍光ペン…抑えておくべき重要事項

今回はEUの成立について。政経講義58で紹介した地域経済統合の、最も深く規模の大きな統合と言っても過言ではないのが、EUこと欧州連合です。経済統合の中でもEUに関する出題は別格で多く、さまざまな頻出部分があります。必ず理解できるようにしましょう。

▼EU成立の歴史

EU成立の歴史を整理すると、1950年代にまで遡ります。2つの世界大戦により多くの国が被害にあい、終結後もアメリカ・ソ連のトップ2が覇権争いをしていく中で、ヨーロッパは共同体としてまとまる必要があると考えます。戦争に使用される石炭・鉄鋼を欧州全体で統合することを目的とし、1952年に欧州石炭鉄鋼共同体が設立。さらに原子力エネルギー部門の統一を目的とした欧州原子力共同体(1958)、経済協力を目的とした欧州経済共同体(1958)が設立されました。これらの共同体を統合して、1967年にEC(欧州共同体)が発足しました。原加盟国は以下の通りです。ざっと目を通しておいてください。

ECの段階で、関税同盟や共同農業政策について実現していましたが、さらに通貨統合を目指すために新たな組織結成へ動くことになります。

▼成立後の進展

90年初頭には、ドイツ再統一や東欧革命が起こり、旧東側国も取り込む形で共同体の拡大を目指せるようになりました。1992年のマーストリヒト条約に基づき、EU(欧州連合)の設置が決まります。加盟国はEC12カ国がベースにはなりますが、徐々に加盟国が増加していきました。2004年にはかつての社会主義国が加わり、東欧拡大が進んでいます。

1999年には、単一通貨ユーロに通貨統合を果たし、中央銀行をECB(欧州中央銀行)に一本化しました。これにより、金融政策もEU全体として実施できるようになりました。ここで気を付けたいのが、ユーロはすべての加盟国が使っているわけでは無いということ。イギリスやスウェーデン、デンマーク等は、自国通貨を使用しています。後にイギリスはEUを離脱することになりますが、この頃から距離を置いていたのがわかります。

さらにEUは、通貨統合にとどまらず政治統合も目指していきます。アムステルダム条約や、後継となるニース条約により、共通の安全保障政策や外交政策を盛り込んでいきました。ついに2009年にリスボン条約が発効し、EU大統領の創設や欧州議会の権限強化などが盛り込まれました。

早い時期から共同体として連携を深めたEUは、貿易額も非常に多く国際的な発言力も強まっています。一方で、経済統合の弊害が表面化した事例もあります。2010年ごろ、ユーロを使用していたギリシャの財政赤字を発端に、同様に財政赤字を抱えるポルトガル・イタリア・スペインなどにも悪影響が伝播する「ユーロ危機」が発生します。ギリシャを除くユーロ圏15カ国や、国際通貨基金(IMF)が緊急支援を行いましたが、ユーロの価値は急落することになりました。

▼イギリスの離脱問題

このような財政負担も一つの要因として、イギリスがEU離脱を検討し始めます。他にも移民によって職を失うことやそれに伴う低賃金化、EU拠出金の負担が多いことなどを背景に議論が起こり、2016年には国民投票にて離脱派多数となりました。政府・議会が対立し停滞した時期もありましたが、結果的に2020年1月イギリスは初めてのEU離脱国となりました。時事問題やグローバル化の是非を問う小論文テーマとしても理解が必要な部分なので、丁寧に抑えておきましょう。

▼まとめ

以上がEUについてのポイントになります。特に頻出なのは、条約とその結果どんな統合が実現したかを一致させる問題なので、マーストリヒト条約・リスボン条約・アムステルダム条約などの区別がつけられるようにしておきましょう。

読んでいただきありがとうございました。

過去問演習にチャレンジ!→政経演習47地域経済統合
一問一答問題にチャレンジ!→ 一問一答国際12地域経済統合
授業プリントはコチラから!→ プリントダウンロード

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました