共通テスト政経過去問22 物価の動き

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 次の図は,1965年から2000年までの日本の消費者物価指数と企業物価指数の変動率(いずれも対前年比)の推移を示したものである。この図から読みとれる内容として正しいものを,一つ選べ。

① プラザ合意後の円高不況の期間には,消費者物価指数の変動率が企業物価指数の変動率を下回ることがあった。
② 平成不況と呼ばれる景気が悪化した期間には,企業物価指数の変動率はマイナスになることがあった。
③ スミソニアン協定が締結された年には,消費者物価指数の変動率は3パーセントよりも低かった。
④ 第二次石油危機の翌年には,消費者物価指数と企業物価指数の変動率はともに10%よりも高かった。

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解答② 【解説】経済史に関する知識とグラフの読解を組み合わせた問題。①プラザ合意は1985年。この後の期間ではしばらく➀のような状況にはなっていない。②平成不況とはバブル崩壊後の91~93年や97~99年の時期を指す。そのあたりのグラフを見ると、点線が0を下回る部分が多い。③スミソニアン協定が締結されたのは1971年のことであり、この時代は5%付近に位置している。④第一次石油危機が1973年頃、第二次石油危機が1979年頃の話。第一次の際は日本にも混乱が起こり大きく物価の上昇が生じているが、第二次では第一次ほどの影響がなかった。

問2 物価の変動に関する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① スタグフレーションとは,不況とデフレーションとが同時に進行する現象のことである。
② デフレスパイラルとは,デフレーションと好況とが相互に作用して進行する現象のことである。
③ コスト・プッシュ・インフレーションは,生産費用の上昇が要因となって生じる。
④ ディマンド・プル・インフレーションは,供給が需要を上回ることにより生じる。

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解答③ 【解説】①スタグフレーションは、不況とインフレーションが同時に進行すること。停滞を意味するスタグネーションから作られた造語である。②デフレスパイラルはデフレと不況が連続して進行すること。④ディマンドとは需要を意味する英単語であり、需要が増加することによって引き起こされるインフレーションをディマンド・プル・インフレという。

問3 物価に関連する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① インフレーションの下では,貸幣の価値は上昇する。
② デフレーションの下では,債務を抱える企業や家計にとって債務返済の負担は重くなる。
③ 自国通貨の為替相場の下落は,国内の物価を引き下げる効果をもたらす。
④ デフレスパイラルとは,景気後退と物価上昇が相互に影響し合って進行する現象をいう。

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解答② 【解説】①インフレーションの下では、物価が上昇するため、同じお金で買えるものが少なくなる。つまり、貨幣の価値は下落するといえる。③自国通貨の為替相場の下落とは、日本で言えば円安ということになる。1ドル100円が1ドル150円へ動くのが円安であり、これまで1ドルの商品が100円で輸入できていたのが、150円に値上がりすることになる。輸入品の値上がりは国内物価の上昇に繋がるため、③も誤り。④デフレスパイラルは物価の下落と不況が連鎖することを指す。

問4 物価に関連する記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① インフレーションの原因の一つは,総供給が総需要を上回っていることである。
② 消費者物価指数とは,消費者が購入する財・サービスの価格水準の変動を示す指標である。
③ デフレスパイラルとは,物価の下落と不況とが相互に作用し,悪循環に陥っている状態のことである。
④ 内外価格差の生じる原因の一つは,国内外で流通機構に違いがあるため,コストが国によって異なることである。

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解答➀ 【解説】①供給が需要を上回るということは、商品が売れ残っている状態になる。売れ残りを解消するために値下げをするため、デフレーションの原因となる。

問5 物価の変動についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 物価が下落すると,負債金額が実質的に減少するので資金の貸し手は損失をこうむる。
② 物価が持続的に上昇すると,実質経済成長率は名目経済成長率よりも高い値になる。
③ 物価水準の持続的な上昇を防ぐ手段の一つとしては,売りオペレーションによる金融引締め政策がある。
④ 労働生産性の上昇率が賃金の増加率を下回る場合には,国内の物価水準は下落しやすい。

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解答③ 【解説】①物価が下落すると貨幣の価値は上がる。これまで100円で売られていたものが50円になった場合、同じお金でもより多くのものを買うことができるからだ。しかし、負債は物価と違って、借りた額をきっちり返す必要がある。世の中の物が安くなっても負債は変わらないため、実質的に増加するといえる。資金の貸し手は得をする。②物価が上昇すると、同じ生産量でもGDPは高くなる。つまり名目経済成長率が高くなる傾向にある。③売りオペを行うと市中銀行の資金量は減少し、貸出量も抑制される。④作られる商品の量よりも、賃金の上昇が多くなるということであり、売り切れ状態を引き起こしやすくなる。これにより物価の上昇が起こりやすくなる。

問6 景気の波や物価の変動をめぐる記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 短期間に急激に物価水準が上昇する現象は,デフレスパイラルと呼ばれる。
② 生産コストの上昇分が製品価格に転嫁されたために生じる物価水準の上昇は,コスト・プッシュ・インフレーションと呼ばれる。
③ 景気停滞と物価水準の持続的な下落が同時に起こる現象は,スタグフレーションと呼ばれる。
④ 景気循環において好況期から後退期へと変わる局面は,景気の谷と呼ばれる。

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解答② 【解説】①ハイパーインフレやギャロッピングインフレと呼ぶ。③景気停滞と物価水準の上昇が同時に起こることをスタグフレーションという。④好況から後退への転換点は景気の山である。

問7 バブル崩壊後の時期には,物価の下落傾向がみられた。継続的な物価下落の一般的な影響についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 為替相場が変化しなければ,輸出品の価格は上昇する。
② 金利(利子率)が変化しなければ,資金の借り手の負担は重くなる。
③ 実質経済成長率が変化しなければ,名目経済成長率は高くなる。
④ ある人の収入が変化しなければ,その人の購買力は低下する。

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解答② 【解説】①為替相場が変化していないのであれば、国内で値下がりしたものを輸出しても同様に価格は減少する。③物価が下がっているのにも関わらず実質経済成長率が変化していないのであれば、名目経済成長率は低くなるはずである。④収入が変わらず物価が下がれば、購買力は上がる。

問8 1990年代末に,日本で消費者物価の水準が低下した理由として適当でないものを,次のうちから一つ選べ。

① 中国などアジア諸国から輸入される製品が増えた。
② 生産能力に比較して,有効需要が不足していた。
③ 情報技術の利用や大量仕入れなどにより,費用削減が図られた。
④ 高金利政策により,設備投資や住宅投資が抑制された。

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解答④ 【解説】④高金利政策によって投資が抑制されたのは、バブル期の話。過熱しすぎた消費や投資を抑えるために実施したこの政策により、バブルが崩壊し、平成不況へと進んでいった。

問9 物価水準に関連する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。 

① 日本では,二度の石油危機が生じた1970年代を通じて,消費者物価指数は卸売物価指数より高い対前年比上昇率を示した。
② 日本では,1980年代後半に株価や地価が高騰したが,それらと比べて消費者物価は比較的安定していた。
③ 賃金の引上げにより増加した人件費が製品価格に上乗せされたため生じた物価水準の上昇は,ディマンド・プル・インフレーションと呼ばれる。
④ 物価水準の持続的な下落と景気の停滞とが同時に起こる現象は,スタグフレーションと呼ばれる。

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解答② 【解説】③供給側の事情によって起こる物価上昇は、コストプッシュインフレという。④スタグフレーションは物価上昇と景気停滞が同時発生する現象。

問10 インフレーションが経済活動に及ぼす影響についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 自国通貨の対外価値が上昇するため,輸入品の国内価格が下落する。
② 実質賃金が上昇するため,労働者の購入する商品の量が増加する。
③ 借金をしている人の実質的な返済の負担が減少する。
④ 資産を土地で保有するよりも,現金や預貯金で保有する方が有利になる。

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解答③ 【解説】③物価が上昇して世の中の基準が引き上げられたとしても、借金額は変わらないため、返済負担は減少する。極端な例を挙げると、りんご一個1万円、お弁当は5万円のような物価が当たり前になったとしたら、賃金もそれに合わせて上昇することが考えられるため、額面が変わらない借金は負担が軽くなる。

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