共通テスト政経過去問44 貿易と国際収支⑵

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 国際的な経済取引の結果を帳簿の形で記録したものが国際収支である。次の国際収支の項目A~Cと,その説明ア~ウとの組合せとして正しいものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

A 経常収支   B 資本移転等収支   C 金融収支

ア 社会資本整備を支援するための外国での無償資金協力などからなる。
イ 直接投資,証券投資,外貨準備などからなる。
ウ 貿易収支,サービス収支,第一次所得収支,第二次所得収支からなる。

① A―ア  B―イ  C―ウ  ② A―ア  B―ウ  C―イ
③ A―イ  B―ア  C―ウ  ④ A―イ  B―ウ  C―ア
⑤ A―ウ  B―ア  C―イ  ⑥ A―ウ  B―イ  C―ア

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解答⑤ 【解説】それぞれの項目を覚えているかどうか。

問2 経常収支についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 経常収支には,旅行や輸送によって生じる収支が含まれる。
② 経常収支に,雇用者報酬は含まれない。
③ 経常収支に,消費財の無償援助は含まれない。
④ 経常収支には,直接投資が含まれる。

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解答➀ 【解説】①旅行や輸送によって生じる収支は、経常収支の中の貿易・サービス収支である。②雇用者報酬は、経常収支の第一次所得収支に含まれる。③消費財の無償援助は、経常収支の第二次所得収支に含まれる。④直接投資は金融収支の一部。

問3 次の図は,アメリカ,EU,中国,中東,その他の地域に対する日本の地域別貿易収支の推移を示したものである(縦軸の正値は貿易黒字額,負値は貿易赤字額を示す)。一方,下のア,イは,2012年のアメリカおよび中国に対する日本の貿易動向について説明した文章である。図中の国名A,Bと説明ア,イの組合せのうち,中国に該当するものとして正しいものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。

ア ここで発生した経済危機から景気が底入れし,この国への自動車および自動車部品の輸出が増加した。
イ この国の実質GDP(国内総生産)成長率は2012年に8パーセントを下回り,日本からこの国への一般機械の輸出が減少した。

① A―ア   ② A―イ  ③ B―ア   ④ B―イ

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解答④ 【解説】アメリカとは貿易摩擦もあったように、輸出が輸入を上回っている黒字状態が続いている。一方、中国との貿易は90年代後半以降から急増しているものの輸入が非常に多く、貿易収支としては赤字になる。これを踏まえるとAはアメリカ、Bは中国と判断できる。

問4 次の図は,日本の貿易収支,サービス収支,第一次所得収支,第二次所得収支の推移を示したものである。図中のA~Dのうち第一次所得収支を示すものとして正しいものを,下の①~④のうちから一つ選べ。

① A ② B ③ C ④ D

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解答② 【解説】ポイントを整理していく。2011年以降に大きく下落しているAは、東日本大震災の原発停止に伴い、原油の輸入が急増した影響が関連している。基本は黒字ながら、2011~15年に赤字を記録したことからもAは貿易収支。右上がりのBは第一次所得収支。海外への子会社建設や海外証券への投資による黒字が拡大している。わずかな赤字を継続させているCはサービス収支。2010年以降は観光客の増加により赤字幅が改善されていくが、コロナ禍により訪日外国人が激減し、赤字幅を広げている。

問5 日本に住む学生が,外国のサービスを日本で購入する例として最も適当なものを,次のうちから一つ選べ

① 卒業旅行のために,マレーシアの航空会社の航空券を,その会社のホームページで買った。
② 通学のために,イタリアのメーカーの自転車を,郊外のショッピングモールで買った。
③ フランス語習得のために,フランスで出版された童話の本を,市内の書店で買った。
④ 一人暮らしのために,タイで製造された掃除機を,近所の家電販売店で買った。

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解答➀ 【解説】①はマレーシアの航空会社の商品を購入した事例で、問題文に適する。②イタリアのメーカーであっても、学生が購入した先は国内のショッピングモールである。③④も➁と同様に、購入したのは国内の店舗であり、学生本人が外国のサービスを直接購入したわけではない。

問6 直接投資についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。(2011本試験を改題)

① 投機目的の資本移動の増加は,直接投資額の増加を意味する。
② 企業の自国内での設備投資は,直接投資である。
③ 資本を回収する場合は,証券投資の方が直接投資よりも困難である。
④ 直接投資は,均衡状態から対外直接投資が増えると黒字になる。

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解答④ 【解説】直接投資とは、海外支店や工場の設置など、直接経営支配することを目的とした投資のこと。この場合、投資額ではなく移動した資本(資産と負債)の増減で収支を計算する。例えば、海外へ工場のために1億円支払った場合は、1億円の赤字ではなく、1億円の工場を獲得したと考え黒字とする。④のように対外投資が増えて資金が流出した場合、直接投資は黒字となる。①投機目的の資本移動は、経常収支の第一次所得収支。

問7 短期の資本移動に関連する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 短期の資本移動の中には,ヘッジファンドの急激な流入・流出のように世界経済を不安定化させるものがある。
② 短期の資本移動が大量に発生したために,1980年代にアメリカは財政赤字と経常収支赤字が併存する「双子の赤字」に陥ったことがある。
③ 短期の資本移動を規制するために,GATT(関税及び貿易に関する一般協定)のウルグアイ・ラウンドが開始された。
④ 短期の資本移動が投機的利益を追求してなされる場合には,商品の価格変動に影響を与えない。

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解答➀ 【解説】ヘッジファンドとは、多様な金融商品を分散して収益を目指す投資。市場が下落する場合も空売りという手法で利益を狙い、どんな市場でも大きなリターンを目指す代わりに、リスクや高い手数料が設定されている。市場が揺れ動く方がリターンを得られるチャンスなため、急激な資金流動を引き起こすこともある。②双子の赤字の要因は、日本との貿易摩擦と、冷戦による軍事費が主である。

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