政経演習45 円高円安の問題

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 為替レートの決まり方を説明する考え方の一つとして,購買力平価説がある。購貫力平価説によれば,仮に2国を取り上げた場合,この2国通貨間の為替レートは,どちらの通貨を用いても同一商品を同じだけ購買できるような水準になる。ここで,日本とアメリカで販売されている同一のスマートフォンが当初日本では1台9万円,アメリカでは1台900ドルで販売されていた。その後,価格が変化して,日本では8万円,アメリカでは1,000ドルになった。このスマートフォンの価格に関して購買力平価説が成り立つ場合,円とドルとの為替レートはどのように変化したか。正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 当初1ドル=100円だった為替レートが1ドル=80円となり,円高ドル安となった。
② 当初1ドル=100円だった為替レートが1ドル=80円となり,円安ドル高となった。
③ 当初1ドル=100円だった為替レートが1ドル=125円となり,円高ドル安となった。
④ 当初1ドル=100円だった為替レートが1ドル=125円となり,円安ドル高となった。

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解答➀ 【解説】元々9万円の商品が900ドルで販売されていたことから、1ドル100円だった為替レートが、価格の変化によってどうなったかを考える問題。8万円の商品が1000ドルで買うことができるということは、1ドル80円のレートであり、この変化は円高ドル安である。

問2 国際収支と外国為替相場についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 自国の通貨高を是正するために通貨当局が為替介入を行うことは,外貨準備の増加要因になる。
② 自国の通貨高は,自国の輸出を促進する要因になる。
③ 貿易収支の黒字は,自国の通貨安要因になる。
④ 自国への資本流入が他国への資本流出を上回るほど増加することは,自国の通貨安要因になる。

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解答➀ 【解説】①自国の通貨高を是正するためには、自国の通貨を売りに出して価値を下げる介入を行う。自国の通貨を売れば売るほど、外貨は増える訳で、外貨準備の増加に繋がる。②自国を日本で例えると、円高が起こった場合を指す。下の図を参考に考えると、同じ100円の商品でも円高が進むと相手国の負担が上がり、輸出は不利になる。③貿易収支が黒字になるということは、支払の際に外貨を自国の通貨に交換する方が多いということ。つまり、自国の需要が上がり通貨高要因となる。④も理論的には③と同じ。説明が分かりにくい場合は、「政経講義64円高円安の演習」を参照してください。

問3 他の状況が一定であるという仮定の下で,アメリカの通貨であるドル,イギリスの通貨であるポンド,韓国の通貨であるウォンの関係についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① イギリスの対アメリカ輸出が増加すると,ドル高ポンド安となる。
② 韓国の対イギリス輸出が減少すると,ウォン高ポンド安となる。
③ ドル高ウォン安になると,アメリカの韓国からの輸入品のドル建て価格は下落する。
④ ウォン安ポンド高になると,イギリスの韓国からの輸入品のポンド建て価格は上昇する。

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解答③ 【解説】ポンドやウォンに馴染みが薄いだけで、問われていることは基本的なパターン。①イギリスの対米輸出が増加すると、ドルをポンドに交換することが増える。ポンドの需要が高まるため、ドル安ポンド高となる。②も理論は➀と同様。③1ドル100ウォンが1ドル200ウォンになる変化がドル高ウォン安である。元々韓国で100ウォンの価値を持つ商品が輸入された場合、1ドルから0.5ドルになるため、ドル建て価格は下落するという説明は正しい。

問4 円高についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 1985年のプラザ合意をきっかけにして円高が急速に進み,輸出依存の日本経済は一時的に不況に陥った。
② 円高・ドル安は,アメリカ国内での,日本からの輸入品のドル建て価格の低下につながる。
③ 1985年のプラザ合意をきっかけにして円高が急速に進み,海外への直接投資が増加した。
④ 外国為替市場で,各国通貨に対する需要と供給によって為替レートが決まり,ドルより円に対する需要が多ければ円高・ドル安となる。

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解答② 【解説】②円高ドル安は、例えば1ドル100円が1ドル50円になった時の動きを指す。100円の商品を日本から輸入したとすると、1ドルだったドル建て価格が2ドルへ変化する。つまりドル建て価格は上昇する。

問5  日米貿易における外国為替相場の影響について考える。いま,日本で生産・販売されている商品がアメリカに輸出され,為替レートでドル換算された金額で販売されると想定する。国内価格1900円,1ドル=100円の為替レートで輸出されている状況が,国内価格1800円,1ドル=90円の為替レートに変化した場合についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 円高ドル安であり,アメリカでの販売価格が上がる。
② 円高ドル安であり,アメリカでの販売価格が下がる。
③ 円安ドル高であり,アメリカでの販売価格が上がる。
④ 円安ドル高であり,アメリカでの販売価格が下がる。

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解答➀ 【解説】まず、1ドル100円が1ドル90円のレートに変化することは円高ドル安である。国内価格1900円を1ドル100円に換算すると19ドルとなるが、1800円を1ドル90円で換算すると20ドルとなる。つまり、アメリカでの販売価格は上がっており、➀が正答となる。

問6 同じ商品でも,外国での価格を為替レートで円換算した額と,日本の国内価格の間で相違がみられることがある。ある人が日本からアメリカに旅行したところ,日本ではいずれも2000円で販売されている商品Aおよび商品Bが,アメリカにおいては商品Aは10ドル,商品Bは15ドルで販売されていることを見いだした。ここで次の図は1980年から1990年にかけての米ドルの対円相場の推移を示したものである。商品Aおよび商品Bについて,日本での価格と,アメリカでの価格を為替レートで円換算した額を比較した結果の記述として誤っているものを,下の①~④のうちから一つ選べ。

① 旅行をしたのがアの時点ならば,商品Aは日本での価格の方が安い。
② 旅行をしたのがアの時点ならば,商品Bは日本での価格の方が安い。
③ 旅行をしたのがイの時点ならば,商品Aは日本での価格の方が安い。
④ 旅行をしたのがイの時点ならば,商品Bは日本での価格の方が安い。

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解答③ 【解説】商品Aは10ドルで売られ、商品Bは15ドルで売られていたことは事実なので崩さないこと。①ア地点ではレートは1ドル250円なので、10ドルの商品Aは2500円と換算される。日本での価格(2000円)の方が安い。②ア地点ではレートは1ドル250円なので、15ドルの商品Bは3750円と換算される。日本での価格(2000円)の方が安い。③イ地点ではレートは1ドル150円なので、10ドルの商品Aは1500円と換算される。日本での価格(2000円)の方が高い。④イ地点ではレートは1ドル150円なので、15ドルの商品Bは2250円と換算される。日本での価格(2000円)の方が安い。よって③だけが誤となる。

問7 変動為替相場制の下で,ある国の為替レートの下落を引き起こす当該国の要因として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 中央銀行による高金利政策
② 経常収支の黒字
③ 政府による外国通貨の売却
④ 物価水準の上昇

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解答④ 【解説】ある国の為替レート下落を日本と例えると、円安ということ。①高金利政策を採った場合、日本円で投資をする人が増加し、円高の要因となる。②経常収支が黒字の場合、外貨を日本円に交換することが増えるため、円高の要因となる。③外国通貨を売却した場合、その分自国の通貨を購入することになるため、円高の要因となる。④物価水準が上昇したからといって、為替レートへの影響するものではないため④が不適当。逆に円安になった場合、輸入品の価格が上昇することから物価水準が上昇することはある。

問8 円高の進行によって,日本企業の海外への事業展開は拡大した。その理由として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 海外へ投資する際にかかるコストが低下した。
② 海外からの輸入が減少した。
③ 海外へ輸出する際にかかるコストが低下した。
④ 海外からの投資が増加した。

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解答➀ 【解説】下の表を参照すると、円高が進行した場合には同じ日本円でも高い価値を持つことがわかる。つまり、海外への投資コストは低下することになる。

問9 ドルに対する円の為替相場を上昇させる要因として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 日本からアメリカへの輸出が増加する。
② アメリカの短期金利が上昇する。
③ 日本銀行が外国為替市場で円売り介入を行う。
④ 投資家が将来のドル高を予想して投機を行う。

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解答➀ 【解説】円相場を上昇させる=円高要因を探す問題。円の需要が上がる選択肢を選べばよいので、➀が正解。日本からアメリカへの輸出が増加すると、アメリカ側はドルを円に換えて支払いをするため、円の需要が上がり円高になる。

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