政経講義03 社会契約説をわかりやすく

本単元のポイント
①3人の主張・キーワード
②3人の思想が与えた影響

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…共通テスト頻出の最重要単語

黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

今回は社会契約説について。3人の思想の比較がよく出るので、それぞれの主著やキーワード、思想が与えた影響などを抑えていきましょう。順番にポイントを解説します。

社会契約説を提唱した3名

▼社会契約説の主張は3段階でまとめる!

3人の思想家に共通して言えるのが、3段階で主張をまとめられるということです。

1→人間はどんな存在か
2→そんな人間が集まるとどんな国になるか
3→いい国にするためにはどうすればいいか

この3段階で思想を整理していくと、わかりやすいです。2のように、放置した場合に国がどうなるかを表したものを自然状態と呼ぶので、知っておいてください。

▼ホッブズの思想

彼の主張を上の3段階で表すとこうなります。

ホッブズの主張

彼は強い権力者による統制が、最も国を安定させると考え、結果的に、当時の絶対王政を認める形になりました。ただし、従来は王権神授説のもとで「王は神様同然だ!」という強引な主張であったのに対し、ホッブズは理論的に王による支配を正当化している点が、決定的に異なります。「色々考えたけれど、1周回って王政がベストだね」という感じでしょうか。王権神授説と混同させないようにしましょう。主著である『リヴァイアサン』、自然状態を表現した「万人の万人に対する闘争」というキーワードも頻出となっているので、確実に抑えましょう。

▼ロックの思想

ホッブズと同様に3段階でまとめていきます。

ロックの主張

ここからわかるように、そもそも人間に対する考え方が真逆となっていますね。人間そのものの分析が違うので、当然、自然状態の分析も大きく異なっています。

ロックのポイントは、理想的な国を目指すうえで、国民の代表となる機関を必要としたことで、それが議会です。権限を取りまとめる機関として議会を組織し、国民の総意の基で政治を行うことを理想としました。また、万が一議会が暴走した場合は、国民が抵抗権(革命権)を行使することができるとしたことも、大きなポイントです。のちの市民革命も、ロックの思想によって正当化されることになりました。以上のような、議会を通して政治を動かす「間接民主制」を推進した人物として有名です。

▼ルソーの思想

最後にルソーの思想についてです。彼の人間観はどちらかといえばロックに近いといえますが、理想とする政治は大きな違いがあります。

ルソーの主張

彼は、争いが生まれる原因を文明の進化によるものとしました。逆に、人間が本来の在り方で生きることができれば、平和な世界が実現できるとして「自然に帰れ」という言葉を残しています。例をあげれば、田舎で自給自足の生活をしていれば、格差も争いも生まれないというイメージです。

人々が本来持っている素質を評価した彼は、人間には皆自分たちが幸せになりたいという共通の意思をもっていると考えました。これを一般意志と呼び、この意思が集まれば理想的な国が実現すると説きました。皆が集まって、皆で幸せを目指す。政治制度としては直接民主制を理想としており、その点に関してはロックとは正反対となっています。注意してください。

応用になりますが、ロックの主張は、後のアメリカ独立革命に影響を与え、ルソーの主張はフランス革命に影響を与えました。プラスαで覚えておきましょう!

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