政経講義27 GDPをわかりやすく

政経

本単元のポイント
⑴各指標を整理して覚える
⑵名目GDPと実質GDPを理解

⑶三面等価の原則

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…共通テスト頻出の最重要単語

黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

体力を調べるときには持久走やシャトルラン、学力を調べるときには偏差値といった指標を参考にするが、国の経済力を調べるときにはどうしたらいいのか?この単元では、そんな経済規模を表す指標について紹介する。

▼GDPなどの指標

ストック・フローの考え方

そもそも、経済力を表す方法は2通りある。蓄積を表すストックと一定期間に生み出されたものの合計を表すフローである。ストックの例としては国富(土地や住宅の資産)、フローの例としては国内総生産(GDP)などがある。いずれも経済力を表す指標である。

身近な例で例えると、日本の長者として有名な柳井さんの経済力を考えるとした場合、彼がもっている資産で考えるのなら「ストック」、今年1年の年収で考えるのなら「フロー」の考え方となる。

ストック・フローの考え方

GDPなどの指標

入試頻出なのがフローの考え方であり、代表されるのがGDP(国内総生産)である。GDPとは、1年間に新たに生産された生産物の総額であり、より多くの生産をした=経済力が大きいという判断がされる。

GDPランキング(2022) 何個わかるかな?

GDPを順位付けすることで、世界における経済力の力関係が見えてくる。入試に直接出ることは少ないかもしれないが、知識として役に立つこともあるので覚えておこう。

GDPランキング(2022年)
解答はこの中に click↓

やや脱線しましたが、このGDPが最もシンプルでよく使われる指標になる。一方で、生産額の総計だけではデータとして不十分であるとして、より細かく考えた指標がいくつかある。大学入試レベルでよく出るのは4種類で、算出方法まで理解する必要がある。

GNP(国民総生産)

まず、GNP(国民総生産)。これはGDPから海外からの純所得を除いたもの。グローバル化に伴い、海外にて利益をあげる日本人や、日本国内で働く外国人が増えたため、その収支を計算に加えた。GDPは国内、GNPは国民となっているので、その違いからイメージをしていくと覚えやすい。

GDPとGNPの違い

NNP(国民純生産)

次にNNPについて。生産に関する指標を出す際に、より純粋に生産物のみの数字を考えられるように、生産をするための工場や機械などの設備費やそのメンテナンス費(減価償却費や固定資本減耗)を除くという考え。企業では、必ず必要になる設備にかかる費用を売り上げから支払っているため、これを除くことでより生産物の売り上げが鮮明になる。

NI(国民所得)

生産物の売り上げを考えるときに、当然市場価格が使われることになるが、市場での値段には消費税や酒税、ガソリン税などが含まれている。また、特定の業種や企業には政府が補助金を支払って支援していることもあり得る。この税や補助金のように政府が関連する分を除くことで、より正確に新たに生産された価値の金額を出すことができると考えられた指標がNI(国民所得)である。

以上の4つが頻出となるので、内容までしっかり理解しておく必要がある。グラフにまとめるとこの関係が分かりやすいため、最後に示しておく。

GDPなどの指標まとめ

▼名目GDPと実質GDP

前の単元で示したように、GDPの数値を比較することで各国の経済力を比較できる。また、昨年と今年のGDPを比較することで、経済成長率を測ることも可能になる。実際に、この成長率の数字によって株価や外国為替に影響を与えることもあり、経済状況を知るために重要な指標となる。

ここで考えなければならないのが、「物価の変動」である。GDPとは生産力を測るものであるが、金額=生産力とはならない。例えば、ある果物屋さんで昨年りんごが100万円売れたとする。それが今年は200万円売れましたとなれば、「去年の2倍の量売れたじゃないか!」と思うでしょう。しかし、今年は深刻なりんご不足により、価格が2倍で売られてましたという事情があったとしたら、売り上げた量自体は去年と同じということになる。

この「100万→200万」のように、純粋な数字だけを足し合わせたものを名目GDPという。それに対し、物価の上昇分を計算し、物価の影響分を加味した数字を実質GDPという。

▼三面等価の原則

最後に三面等価の原則について。一国で生産された所得は、その生産に関わった人に分配され、支出されることになる。図で表すと以下の通り…

三面等価の原則

と教科書には載っているが、これではちょっとわかりにくい!という人の為に、噛み砕いて解説します。

例えば、あるパン屋さんの経済力を測るとする。GDPのように生産の視点から考えると、「パンをどれだけ売り上げたか」という数字を考える。じゃあその売り上げってどこから来たお金?当然お客さんが支払ってくれた代金になる。つまり、どれだけパン屋に来た人が支出をしたのかという数え方をしてもよい。さらに、売り上げたお金はどこへ行くの?と考えると、バイトの給料や小麦農家への代金、残ったお金はお店の貯蓄に回すことになる。このお金を計算する視点が分配である。

この生産・支出・分配は等しくなるという原則を三面等価の原則という。

三面等価の原則

▼まとめ

GDPやGNPに関する問題は、計算と合わせて出題されることも多い。ただでさえ計算が面倒なところで知識があいまいだと正答にたどり着くにも時間がかかってしまう。知識を定着させたうえで、演習問題に慣れるようトレーニングしていきましょう。

授業プリントはコチラから!→ プリントダウンロード
過去問演習はコチラから!→ 政経演習20国民所得・GDP
一問一答はコチラから!→ 一問一答04 GDP・景気

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました