政経演習32 農業の現状と課題

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 日本における農業や食品に関する出来事についての記述として最も適当なものを,次のうちから一つ選べ。

① 第二次世界大戦後,農地法が制定され,寄生地主制が復活した。
② 農業基本法は,兼業化の促進による農業従事者の所得の増大をめざした。
③ 高度経済成長期の後,地域の伝統的な食文化を見直し守っていくために新食糧法が施行された。
④ 食品の偽装表示などの事件をうけて,食の安全を確保するために食品安全基本法が制定された。

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解答④ 【解説】①農地改革によって寄生地主制を自作農中心へ切り替える試みが行われた。➁農業基本法は1961年に制定されているが、農業従事者の地位向上や工業との格差是正が目的であった。③新食糧法は1995年に開始され、米流通の自由化や政府管理の緩和が実施されている。

問2 次のア~ウは,日本の農業政策をめぐる出来事についての記述である。これらの出来事を古いものから順に並べたとき,その順序として正しいものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。 

ア 国外からの輸入自由化の要求が高まったことをうけて,コメの全面関税化が実施された。
イ 食料自給率の向上と国内農家の保護のために,農家に対する戸別所得補償制度が導入された。
ウ コメの価格や流通に関する規制を緩和した新食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律)が施行された。

① ア→イ→ウ  ② ア→ウ→イ  ③ イ→ア→ウ
④ イ→ウ→ア  ⑤ ウ→ア→イ  ⑥ ウ→イ→ア

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解答⑤ 【解説】ア:1995年の新食糧制度で関税化が決定したが、コメに関しては、その後6年間の猶予を経て開始された。つまり、1999年が適当。イ:戸別所得補償制度とは、2010~2017年に実施された。ウ:新食糧法の施行は1995年。

問3  日本の農業についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 地域の農産物をその地域内で消費する動きは,地産地消と呼ばれる。
② 環境保全や景観形成といった農業の機能を,ミニマム・アクセスという。
③ 現在,GDPに占める農業の割合は1割程度である。
④ 農家戸数全体の中で最も割合が高いのは,主業農家である。

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解答➀ 【解説】➁ミニマムアクセスは最低輸入量のこと。自由貿易の促進のために設定される。③農業の占める割合は低下し続けており、1970年頃には10%を割り込み、2020年頃には1%程度となっている。④最も割合が高いのは副業的農家であり、年間60日以上の農業従事者がいない農家を指す。

問4 次の図は,日本,アメリカ,イギリスの食料自給率(カロリーベース)の推移を示したものである。図から読みとれる内容として正しいものを,下の①~④のうちから一つ選べ。

① ウルグアイ・ラウンドの交渉期間中,アメリカの食料自給率は160パーセントを上回っていた。
② ケネディ・ラウンドの交渉期間中,日本の食料自給率はイギリスを下回っていた。
③ 東京ラウンドの交渉期間中,アメリカの食料自給率は160パーセントを上回っていた。
④ ドーハ・ラウンドの交渉期間中,日本の食料自給率はイギリスを下回っていた。

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解答④ 【解説】ラウンドの順番としてはケネディラウンド(1964~67)、東京ラウンド(1973~79)、ウルグアイラウンド(1986~94)、ドーハラウンド(2001~)。あとはグラフの読み取り。

問5 次のA~Cは地域に存在するさまざまな資源を活用して地域経済の発展や農村の再生をめざす多様な活動の名称であり,下のア~ウはその具体例である。次のA~Cと下のア~ウとの組合せとして適当なものを選べ。

A グリーン・ツーリズム      B スローフード     C 六次産業化

ア 都市住民が一定期間,農村に滞在し,農作業などに従事して,農村生活を体験する。
イ 農業者が,農産物の生産にとどまらず,その加工さらには販売を行って,農業と製造業とサービス業とを融合した地域ビジネスを展開する。
ウ 地域の伝統的な食文化を見直し,良質な食材を提供する生産者を支えて,食生活を改善し,持続可能な食文化を育てる。

① A―ア  B―イ  C―ウ   ② A―ア  B―ウ  C―イ  
③ A―イ  B―ア  C―ウ   ④ A―イ  B―ウ  C―ア 
⑤ A―ウ  B―ア  C―イ   ⑥ A―ウ  B―イ  C―ア

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解答② 【解説】A:グリーン・ツーリズムとは、自然や農村の生活に触れる旅行のこと。B:スローフードとは、ファストフードに対する言葉として使われる。ファストフードは食材の加工方法が不透明だったり、大量生産によるコスト削減を最優先している面があるのに対し、スローフードは地元の生産者によって丁寧に育てられた食材を使った食事をするという考え方。伝統的な食文化を見直し、食への関心を高める運動。C:六次産業とは、1次産業(生産)と2次産業(加工)、3次産業(流通販売)を一体的に行う仕組み。

問6 新農業基本法(食料・農業・農村基本法)についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 農産物の関税撤廃を規定した。
② 農作物の選択的拡大を規定した。
③ 食料の安定供給の確保を定めた。
④ 農家の所得補償制度の廃止を定めた。

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解答③ 【解説】この法律は1999年に制定されており、食料の安定や農業の多面的機能の発揮を施策としている。

問7 食の安全について,日本における状況の記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 新農業基本法(食料・農業・農村基本法)は,農業を食料生産機能に特化させて農産物の安全性を確保することなどを目的として制定された。
② 新食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律)は,食の安全確保のために流通規制を強化することなどを目的として制定された。
③ ダイオキシンに汚染された食品が健康の重大な悪化を引き起こした例として,イタイイタイ病がある。
④ 有機水銀に汚染された食品が健康の重大な悪化を引き起こした例として,水俣病がある。

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解答④ 【解説】①農業を多面的機能を発揮させる狙いもあり、「食料生産機能に特化」という部分が不適当。➁新食糧法は1995年から施行されているが、政府の規制緩和や流通ルートの拡大を定めた。③イタイイタイ病は鉱山廃水に含まれるカドミウムの体内蓄積によって引き起こされるもの。

問8 1990年代以降の日本の農業についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① WTO(世界貿易機関)の農業協定に基づいて,日本政府は減反政策によるコメの生産調整を開始した。
② 食料・農業・農村基本法が制定され,農地の所有,賃貸借,売買に対する厳しい制限が設けられた。
③ GATT(関税及び貿易に関する一般協定)のウルグアイ・ラウンドで,日本政府はコメの市場の部分開放に踏み切った。
④ 食糧管理法に代わる新たな法律として新食糧法が制定され,政府による食糧価格のコントロールが強化された。

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解答③ 【解説】①減反政策による生産調整は、1970年頃より実施されている。国主導で実施されており、WTOは関係ない。➁新農業基本法とも言われるこの法律は、食料の安定確保や農業の多面的機能の発揮を目的とした。④コントロールが強化されたという部分が誤り。むしろ管理が緩和され、自由化を進めたのが新食糧制度。

問9 国土や環境の保全を重視する農業や農業政策のあり方として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 都市近郊の農地を住宅地や商業地へ転用することを奨励する。
② 家畜の糞尿や食品くずを堆肥として再利用させる。
③ 農薬や化学肥料の使用量を減らす栽培技術を普及させる。
④ 棚田(傾斜地にある小規模・不整形な水田)での耕作放棄を防止する。

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解答➀ 【解説】①都市近郊の農地を転用してしまった場合、貴重な農業用地が失われてしまう。食料確保の面でも、環境保全の面でも、奨励すべきでない。

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