問1 ムハンマドについてのイスラームの考え方として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① ムハンマドは,自らに言葉を伝えた神(アッラー)を唯一にして並ぶものなき存在とし,ユダヤ教やキリスト教で信仰される神の上位に置いた。
② ムハンマドは,ユダヤ教のモーセらやキリスト教のイエスに続く預言者であるが,特に最終的な啓示を受けた最後の預言者である。
③ ムハンマドは,自らが神から受けた啓示に従って,ユダヤ教やキリスト教といった一神教の排他性を批判し,多神教との融和を図った。
④ ムハンマドは,キリスト教におけるイエスと同様に神の子としてその御業(みわざ)を代行したが,その一つがシャリーア(イスラーム法)の制定である。
問2 AとBは,授業で配付された次の資料を読み,後の会話を交わした。会話中の[ a ]・[ b ]に入る記述の組合せとして最も適当なものを,後の①~④のうちから一つ選べ。
(資料 クルアーンより )おお,信ずる者たちよ,どの民にも他の民を嘲笑させてはならない。これら(嘲笑される民)はそれら(嘲笑する民)よりもすぐれているかもしれないのだから。……おまえたち,互いに悪口を言うものではない。悪いあだなをつけあってはならない。信仰にはいったあとで邪悪な呼称をつけることは悪いことだ。……おお,信ずる者たちよ,憶測をできるだけ避けよ。ある種の憶測は罪である。互いにさぐりあったり,陰口をたたいたりするではない。……神を畏れよ。まことに神はよく憐れむお方,慈愛あつきお方である。
A:人間相互の関係に着目してみるっていう話だけど,この資料には,[ a ]と書いてあるね。
B:そう,授業でも,イスラームでは自らの共同体を大事にし,ムスリム同士は[ b ]によって強く結び付いているって教わったよね。
① a 相手の方がすぐれているかもしれないから,人を嘲笑してはいけない
b 仲間として貧者を救済すること
② a 不確かな根拠に基づいて,人の悪口を言ってはいけない
b 1日に5回,エルサレムに向かって祈ること
③ a 限られた情報を頼りに想像力を駆使して,人を総合的に評価すべきだ
b 仲間として相互扶助を行うこと
④ a 憐れみ深く,愛に満ち溢れたアッラーを崇敬しなければならない
b 1日に5回,ムハンマドの肖像画を拝むこと
問3 次の文章は,イスラーム教における旅についての説明である。文章中の[ A ]・[ B ]に入れる語句の組合せとして正しいものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。
イスラーム教では、巡礼月に行われるハッジと呼ばれるメッカ巡礼が重要であり、[ A ]とされる。さらに、メッカ以外の聖地への参詣も行われるほか、交易や学問のための旅も神の意志にかなう行為として奨励された。このように旅に出ることが推奨されるイスラーム教では、旅人についての規定がクルアーン(コーラン)に含まれている。例えば、旅人は,五行の一つである[ B ]を延期することが許されている。
① A メッカを聖地として信じることが六信の一つ B 瞑想
② A メッカを聖地として信じることが六信の一つ B 断食
③ A メッカを聖地として信じることが六信の一つ B ジハード
④ A 一生に一度はハッジを行うことが五行の一つ B 瞑想
⑤ A 一生に一度はハッジを行うことが五行の一つ B 断食
⑥ A 一生に一度はハッジを行うことが五行の一つ B ジハード
問4 イスラーム教についての説明として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 来世は六信の一つとされ,終末の日,アッラーは,死んだ人間を復活させ,どのような人であっても天国に迎え入れるとされる。
② イスラーム世界では,ギリシアの学問が研究され,ギリシア神話の神々もイスラーム教に盛んに取り入れられた。
③ 全知全能で,あらゆる事物を超越したアッラーは,いかなる偶像によっても表してはならないとされる。
④ 一日に5回,メッカの方角を向いて礼拝を行うことは,義務ではなく推奨される行為とされる。
問5 様々な思想における死生観についての説明として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 古代インドでは,ブッダをはじめとして,バラモン教の伝統に囚われない自由思想家たちはいずれも,輪廻からの解脱という考えを否定した。
② パウロは,イエスの死が神に背いたアダムヘの罰としてもたらされたものだと考え,アダムを祖とする人間も皆,死を免れないと説いた。
③ イスラーム教では,信徒は生活全般を規定するシャリーア(イスラーム法)に従って現世を生き,最後の審判にそなえなければならないとされる。
④ 墨家は,生者の生活に関しては倹約を旨としたが,中国の祖先祭祀の伝統に基づき,死者に関してはできる限り手厚く葬るべきだと主張した。
問6 イスラーム教の説明として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① クルアーン(コーラン)は,ムハンマドと彼を取り巻く人々に下された神の啓示を,集録し,編纂したものとされる。
② イエスを救世主とみなすキリスト教の教えを継承し,ムハンマドを救世主として信じることは,六信の一つに数えられる。
③ 五行などの実践によって神への信仰を体現することだけでなく,天使の存在を信じることも信徒の義務であるとされる。
④ イスラーム教は,中東,東南アジアなどを中心に世界各地で信仰されており,少数派のスンナ派と多数派のシーア派に大別される。
問7 次のア~ウは,イスラーム教についての記述である。その正誤の組合せとして正しいものを,下の①~⑧のうちから一つ選べ。
ア イスラーム教世界の最高指導者であるカリフは,神から啓示を授かる預言者であると同時に,ムハンマドの後継者とみなされた。
イ 預言者ムハンマドによって率いられたウンマは,宗教的ウンマと政治的ウンマに分かれていた。
ウ 預言者ムハンマドも人間であるとされ,イエスもまたムハンマドに先行する預言者であって,神の子ではないとされた。
① ア 正 イ 正 ウ 正
② ア 正 イ 正 ウ 誤
③ ア 正 イ 誤 ウ 正
④ ア 正 イ 誤 ウ 誤
⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正
⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤
⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正
⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤
問8 次のア~ウは,シャリーアについての説明である。その正誤の組合せとして正しいものを,下の①~⑧のうちから一つ選べ。
ア シャリーアは,クルアーン(コーラン)などに基づき,豚肉を食べることや酒を飲むことを禁じるなど,食生活に様々な制限を設けている。
イ シャリーアは,結婚や相続など,ムスリムの生活全般の規則を定めており,シャリーアを守って生きることが神への信仰の体現であるとされる。
ウ シャリーアは,神と人との関係と人間同士の関係の両方を規定しており,神に対して果たす義務である五行には,礼拝,瞑想などが含まれる。
① ア 正 イ 正 ウ 正
② ア 正 イ 正 ウ 誤
③ ア 正 イ 誤 ウ 正
④ ア 正 イ 誤 ウ 誤
⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正
⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤
⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正
⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤
問9 イスラーム教の説明として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 来世は六信の一つとされ,終末の日に死者はよみがえり,神による最後の審判を経て,天国または地獄にいくとされる。
② 「アッラーのほかに神はない,ムハンマドは神の使徒(使者)である」と唱える信仰告白は,五行の一つとされる。
③ クルアーン(コーラン)は,歴代の預言者たちに下された神の啓示を,ムハンマドが集録し,編纂したものとされる。
④ ムハンマドはエルサレムで昇天したと伝えられており,エルサレムは,メッカ,メディナに次ぐイスラーム教の聖地とされる。
問10 知ることと社会的実践との関係についての記述として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① ムスリムは,ジハードを義務づけられている。ジハードとは,聖典を通して知られる神の意志に基づいて,神の定めた正義を世界に広めるよう奮闘することである。
② 王陽明は,朱子学を知性偏重であると批判して,知ることは行いの始めであり,行いにより知ることが完成する,と説いた。この考え方は居敬窮理と呼ばれ,社会を導く知識人が実践すべきものとされる。
③ ガンディーは,自らの政治運動において「真理把持」を意味するサティヤーグラハの理念を掲げた。そこで重視されたのが,仏教やジャイナ教でも共通して説かれたアヒンサー(不殺生)の実践である。
④ プラトンは,『国家』において,知恵の徳をそなえた哲学者が,防衛者階級・生産者階級を治めることを理想の統治のあり方とした。この体制は哲人政治と呼ばれる。
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