倫理演習01 自然哲学

倫理

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 次のア~ウは,万物の変化について考えた古代ギリシアの自然哲学者たちの説明であるが,それぞれ誰のものか。その組合せとして正しいものを,下の①~⑧のうちから一つ選べ。

ア 生成変化し流動する万物には,根源(アルケー)があり,生命の源となる水がその根源であると考えた。
イ 万物はそれ以上に分割することのできない原子(アトム)から成り,原子は空虚のなかを運動すると考えた。
ウ 火・空気・水・土という四つの元素が愛・憎によって結合・分離することで,万物は変転すると考えた。

① ア ヘラクレイトス  イ デモクリトス  ウ エンペドクレス
② ア ヘラクレイトス  イ デモクリトス  ウ アナクシマンドロス
③ ア ヘラクレイトス  イ ピュタゴラス  ウ エンペドクレス
④ ア ヘラクレイトス  イ ピュタゴラス  ウ アナクシマンドロス
⑤ ア タレス  イ デモクリトス  ウ エンペドクレス
⑥ ア タレス  イ デモクリトス  ウ アナクシマンドロス
⑦ ア タレス  イ ピュタゴラス  ウ エンペドクレス
⑧ ア タレス  イ ピュタゴラス  ウ アナクシマンドロス

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解答⑤ 【解説】自然哲学の分野では、様々なアルケーを主張する思想家たちが全部で8名ほど登場する。主張の内容と思想家を一致できるようにしておきましょう。ア.水をアルケーとしたのはタレス。ヘラクレイトスは火。イ.原子といえばデモクリトス。ピュタゴラスは数字。ウ.4元素を主張したのはエンペドクレス。アナクシマンドロスは無限なものをアルケーと考えた。

問2 タレスに関する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 世界は生成変化のうちにあり,静止しているものはないと考えた。
② 世界は根本的原理によって説明ができ,それは水であると考えた。
③ 世界は不死なる魂と美しい数的秩序の調和のうちにあると考えた。
④ 世界は土・水・火・空気の離合集散から成り立っていると考えた。

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解答② 【解説】①は万物は絶え間なく運動・変化すると考えたヘラクレイトス。「万物は流転する」という言葉が有名。③数といえばピュタゴラス。④4元素を主張したのはエンペドクレス。

問3 初期ギリシアの自然哲学者たちの思想についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 事物は神である「一者」を根源として,そこから流出によって派生的に生成したのであり,人間は実在界と感覚世界との中間に位置する。
② 事物は普遍的な理(ことわり)(ロゴス)に基づいて生成し,人間はこの理に従うことで情念に支配されない,理想の生き方を実現することができる。
③ 事物は質料に内在する固有の形相が現実化していくことによって生成するが,この世界それ自体は生成も消滅もせず,永遠に存続する。
④ 事物は多様な仕方で生成するが,その根源には「空気」「水」といった構成元素が,本質において変わることのない原理として存在する。

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解答④ 【解説】①プロティノスによる新プラトン主義の考え方。②情念、ロゴスなどのキーワードから、ストア学派のゼノンと推測する。③形相・質料といえばアリストテレス。①~③はいずれも問題文にある自然哲学者とは異なるため、正解は④となる。

問4 自然現象の観察が進む中で,自然界を構成する原理が探究されるようになった。古代ギリシャにおいて,「万物は流転する」ということばを残した思想家はだれ誰か。次の①~④のうちから一つ選べ。

① ヘラクレイトス   ② ピタゴラス
③ プロタゴラス    ④ ストア派のゼノン

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解答➀ 【解説】①火をアルケーと考え、万物が絶え間なく運動・変化することを「万物は流転する」という言葉で表現した。②数をアルケーとして主張。③相対主義者として、「人間は万物の尺度である」という言葉を残した。④情念に動かされない不動心の境地=アパテイアと説いた。有名な言葉としては「自然に従って生きよ」。

問5 原子(アトム)と空虚(ケノン)という概念を用いた原子論を説明した文として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 陰気と陽気であるアトムが,空間としてのケノンにおいて運動する。
② 木火土金水の五種のアトムが,空間としてのケノンの内で万物を構成する。
③ 全体としてのアトムが,空間としてのケノンの中で分離し万物を構成する。
④ 分割できないアトムが,空間としてのケノンにおいて運動し集合離散する。

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解答④ 【解説】デモクリトスが説いた原子(アトム)は、それ以上分割できない小さな粒で、結合や離散を繰り返しながら万物のもととなるとしている。新しく生成することも、消滅することもないため、数は常に一定であると考えた。物質同士の相互作用であらゆる存在を説明しており、神の意思のような非物質的な存在を否定した。

問6 生成変化と不生不滅を両立させる自然哲学についての記述として最も適当なものを,次の①~⑤のうちから一つ選んで記号で答えなさい。

① エンペドクレスは,土・水・空気・火という不変の四元素から世界は成り立っているとした。
② デモクリトスは,生成生滅という変化や運動は,人間の感覚による思いこみにすぎないとした。
③ タレスは,「万物は流転する」と考え,その根源を「永遠に生きる火」であるとした。
④ ヘラクレイトスは,万物の根源をそれ以上分割することのできない微小な物体的存在である「原子」に求めた。

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解答➀ 【解説】デモクリトスは原子をアルケーと捉え、④の文章が一致する。ヘラクレイトスは火をアルケーと捉え、③の内容が一致する。タレスは水をアルケーと捉え、すべてのものは水から生じ、水へと滅びていくと主張した。②の内容はエレア学派のパルメニデスによるもの。

問7 次の文章の空欄に入る適語の組み合わせとして最も適当なものを,次の①~⑥のうちから一つ選んで記号で答えなさい。

哲学が誕生した頃の社会的背景は、都市国家が成立して市民と奴隷が居住する社会であった。労働は全て奴隷が行ってくれるため、市民には思索や議論に没頭する閑暇(=[ A ])が生まれた。これが哲学のはじまりのきっかけである。紀元前6世紀ごろからは、万物の根源(=[ B ])となるものは何か?という自然哲学が流行した。

① A:ミュトス  B:アレテー  ② A:ミュトス  B:アルケー
③ A:ロゴス   B:アレテー  ④ A:ロゴス   B:アルケー
⑤ A:スコレー  B:アレテー  ⑥ A:スコレー  B:アルケー

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解答⑥ 【解説】ミュトスは「神話」、ロゴスは「理性」、アレテーはソクラテスが説いた「徳」をギリシア語で言ったもの。

問8 万物の根源を空気と捉え、呼吸が生命を作るように、空気が世界を創ると考えた思想家は誰か。

➀ アナクシマンドロス  ② アナクシメネス
③ エンペドクレス    ④ タレス

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解答② 【解説】マニアックな人選であるが、消去法で正答にたどり着きたい。①のアナクシマンドロスは、無限なるものをアルケーと捉えた。③④は何度も出てきているので割愛します。

問9 「アキレスと亀」という話を利用して、「変化や運動は単なる見せかけに過ぎない」とするパルメニデスの立場を擁護した思想家は誰か。

➀ ストア派のゼノン  ② プロタゴラス
③ エレア派のゼノン  ④ デモクリトス

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解答③ 【解説】ゼノンという思想家は2人出てくるため、禁欲主義を説いた「ストア派の」ゼノンと、今回正答となった「エレア派」のゼノンというように区別される。「アキレスと亀」は、どんなに足が速い者でも、追いつこうとその地点に向かう間に先行する亀は少し進むため、一生追いつくことはできないという話。運動はあらゆる矛盾を含み、見せかけの現象であることを説いた。

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