はじめに
新たな教科として始まった公共。今後入試科目として組み込まれることが決まった以上、入試問題によって授業のあり方も変えていかなければならないとは思っています。しかし、せっかくの新科目なので新たな挑戦ができればとも思っています。
私の意識としては、1時間のうちに作業できる時間を10分~15分(50分授業のうち)確保したいという目標を持ちながら、授業作りを進めています。実践した中で手応えのあったものを、本サイトでも紹介していこうと思います。参考になれば幸いです。
関連 : 授業プリントのページ
作業ネタの設定単元
今回の作業ネタは、人身の自由に関する授業で実施しました。罪刑法定主義を学ぶ際に、実際の刑法に触れてみた方が分かりやすいと思ったのと、自分たちの感覚と刑罰にどの程度ギャップがあるのかを知れるのも面白いと感じました。今回のネタはほとんどが書籍からの受け売りとなっています。熊田亘さんの著書である「おもしろ」授業で法律や経済を学ぶ(清水書院)を参考にさせていただきました。授業に生かせる内容がいくつかあり、面白かったので、興味があれば読んでみてください!広告案件では無いため、買っていただいても私にお金が入ってくるわけではありません(笑)
重視した点・授業の流れ
➀犯罪内容と罪名を考える
世の中の犯罪は、全て刑法に書いてある。どんな行為をすればどの罪名になり、その罪を犯せばどの程度の刑罰を受けるのかがまとめられている。裏を返せば、刑法に記載されない行為は罪に問うことが出来ない。時代によって犯罪の種類も変化しており、その変化に合わせて刑法も変わり続けている。今回は刑法に触れてもらう作業として、以下のような問いかけを行ってみました。
行為の内容(A~F)がどのような罪名(ア~カ)となるか、[ ]の中に書かせます。この問題自体は難しいものではありませんので、あくまで導入として。本題は右の表で、これらの罪の刑罰の重さを、各々考えさせます。
➁並び替えたのち、解答の共有
刑罰の重さで並び替え、周りの人と共有をしてみます。今回は時短のために6つしか例を準備していませんが、それぞれの価値観の違いによって多少の差異はでるはずです。考えるポイントとして、その行為に対する「悪意」や「故意」の有無、起こした行為によってもたらされる「影響」などを意識させると、漠然と考えることは無くなるでしょう。
余裕がありそうなグループには、実際にどのくらいの刑罰を設定するかを考えさせても面白いですね。むしろ時間があるならここまでやらせてもいいかもしれません。懲役や禁錮、拘留については馴染みが無いので補足しておくとよいでしょう。
③授業の展開例
①➁で時間を取って考えさせた上で、答え合わせをしていきます。今回は刑罰の最も重い部分で比較してみました。刑罰の部分だけ抜粋すると、以下の通りです。
(外患誘致)死刑、(脅迫)二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金、(不同意性交等)五年以上の有期拘禁刑、(通貨偽造及び行使等)無期又は三年以上の懲役、(業務上過失致死傷等)五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金、(犯人蔵匿等)三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金
不同意性交の部分だけ、五年以上となっている点に注意してください。基本は量刑にばらつきが出過ぎないよう、「○○以下」となっていることが多いですが、行為の内容によって裁判官の裁量を広く認める場合に「以上」という基準となる場合もあります。有期刑は最大20年なので、5~20年という範囲で刑が確定するということになります。
刑法の詳細などは以下の画像をご覧いただければと思います。
本題に戻りますが、この答え合わせを通して、「この犯罪はもっと厳しくすべきじゃない!?」「こういった文章も入れるべき!」というような、刑罰に関する意見が出たり、加害者側と被害者側の両方の立場からの考えが生まれたりすると、成功です。刑法は決して正解ではなく、時代によっても国によっても変わるものなんです。この活動こそが「立法」の過程でもあり、既存のものの違和感に気づき、新たな価値観を生み出そうとする姿勢が政治参加に繋がっていきます。
まとめ
今回は1コーナーとしての内容だったので、6つの例だけを取り上げましたが、世の中にはいくらでも犯罪はあります。数をさらに増やしていったり、自分たちで刑法を調べる作業を加えるなどすると、1時間まるまる使った授業にすることもできます。
実施した後の反省点
よかったら試してみてください!質問等ありましたら、お気軽にコメント欄へお書きください。
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