政経演習16 経済社会の発展

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 資本主義経済に関連する学説を展開したアダム・スミスに関する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 国内に富を蓄積するため保護貿易政策を行うことの必要性を説いた。
② 『経済学および課税の原理』を著し,貿易の自由化を重視した。
③ 財政政策や金融政策によって完全雇用が達成されることを説いた。
④ 『国富論(諸国民の富)』を著し,市場の調整機能を重視した。

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解答④ 【解説】①はリスト、➁はリカード、③はケインズのキーワードが含まれており、消去法で解答可能。

問2 次のA,Bの政策や考え方に関係の深い人物の組合せとして最も適当なものを,下のうちから一つ選べ。

A 第三の道    B 新自由主義(ネオ・リベラリズム)

① A ブレア     B サッチャー 
② A ブレア     B フランクリン・ローズベルト
③ A フルシチョフ  B サッチャー
④ A フルシチョフ  B フランクリン・ローズベルト

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解答➀ 【解説】A:ブレアは90年代のイギリスの首相。サッチャリズムの小さな政府でもなく、ケインズの大きな政府でもない、新たな経済政策を「第三の道」として進めた。B:サッチャーが進めた経済政策はサッチャリズムとも呼ばれ、新自由主義の考えに沿ったものである。他にもアメリカのレーガンや、日本の中曽根などが同様の政策を進めた。

問3 アダム・スミスに関する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 『国富論(諸国民の富)』を著し,市場の調整機能を「見えざる手」と呼んで重視した。
② 国防や司法などに活動を限定している国家を「夜警国家」と呼び,自由主義国家を批判した。
③ 新製品の開発や新たな生産方法の導入などのイノベーション(技術革新)が,経済発展の原動力であるとした。
④ 『経済学および課税の原理』において国際分業に関する比較生産費説を展開し,自由貿易を行うことが各国の利益になると主張した。

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解答➀ 【解説】②ラッサ―ル、③シュンペーター、④リカードのキーワードであり、消去法でも解答可能。

問4 経済の発展について,それぞれの時代における特徴を示す記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 17世紀後半には,国の経済力は国内に存在する貨幣量に規定されるという考え方に基づき,欧州に自由貿易が普及した。
② 18世紀後半に,重化学工業の分野で機械化を進展させたイギリスは,「世界の工場」として工業製品の供給を行った。
③ 19世紀後半になると,欧州の列強は,資源や市場を求めて植民地獲得に乗り出すという帝国主義政策をとった。
④ 20世紀後半には,先進諸国間で財政・金融政策の協調が深まり,先進諸国ではインフレーションが生じなかった。

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解答③ 【解説】①重商主義の考え方であり、貨幣の蓄積のために保護貿易を進めることを説いた。②世界の工場として産業革命を起こしたことは間違っていないが、重化学工業を軽工業に正すとよい。④1970年代は石油危機を原因とするインフレが、各国で発生している。

問5 アダム・スミスの学説とは言えないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 製造業において,生産工程をいくつかに分け,各工程に特化した労働者を配置することで,生産効率の向上ができる。
② 国家が配慮すべき義務は,国防,司法など,必要最小限のものに限定されるべきである。
③ 生産手段の社会的所有と,計画経済を行うことによって,失業や景気循環をなくすことができる。
④ 市場では,多数の売り手と買い手が,それぞれ自己の利益を追求して活動することによって,需給が調整される。

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解答③ 【解説】アダムスミスは自由な経済を基本としており、③の説明は真逆の内容となる。

問6 ケインズは,ケインズ革命と呼ばれる経済理論上の革新をもたらし,その後の経済政策にも大きな影響を与えた。ケインズの学説についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 金融政策による貨幣量の操作を重視することから,その考えはマネタリズムと呼ばれた。
② 労働市場では労働力の需給が円滑に調整されるので,自然に完全雇用が達成されると考えた。
③ 供給されたものは必ず需要されるとする考えを否定し,政府が有効需要を創出する必要性を指摘した。
④ 自生的に望ましい秩序を生み出していく市場の機能を重視し,政府の役割を「市場の失敗」を克服することに限定すべきであると説いた。

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解答③ 【解説】有効需要はケインズの最重要キーワードである。

問7 「小さな政府」をめざす政策についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① イギリスのサッチャー政権やアメリカのレーガン政権が,この政策を採用した。
② この政策を採用する各国は,個人や企業の自助努力を重視した。
③ 日本では,日本国有鉄道,日本電信電話公社,日本専売公社の独立行政法人化が行われた。
④ 日本では,特殊法人の統廃合が行われた。

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解答③ 【解説】①新自由主義と呼ばれるもので、1980年代に採用されている。③この政策を日本の中曽根首相も行い、上記の三公社についても改革を行った。しかし、独立行政法人化ではなく民営化の間違いである。

問8 産業革命に関連する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 新しい生産方式が導入され,それまで生産の重要な担い手であった児童や女性が大量に解雇された。
② 雇用の機会から排除された農民たちは不満を募らせ,機械打ちこわし運動(ラッダイト運動)を展開した。
③ 労働者階級が形成され,やがて労働者たちは政治意識を高めチャーティスト運動のように制限選挙に反対するようになった。
④ 工場での手工業生産は,問屋制に基づく家内での手工業生産に取って代わられた。

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解答③ 【解説】産業革命により、工場や機械をもつ資本家とそれらを持たない労働者という階級格差が生じた。労働者階級は、この状況を打開するために選挙権の獲得を求めた。

問9 社会主義に関連する記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 世界最初の社会主義国家は,ロシアにおいてレーニンに率いられた労働者・農民が起こした革命により成立した。
② 冷戦期に発展途上国の一部は,東側陣営に属して鉱山・工場などの国有化による経済発展をめざした。
③ 議会政治により高福祉を実現する従来の社会民主主義の立場に対し,市場万能主義と高負担を共に回避する「第三の道」という主張も登場した。
④ 市場経済化を進める中国では,経済特区のみに社会主義経済を残す「一国二制度」を採用した。

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解答④ 【解説】④一国二制度という制度はあるが、意味が違う。社会主義を基本とする中国に、植民地から復帰した一部の地域(マカオ・香港)で資本主義を採用して状況を指した言葉。(一つの国に二つの制度が併存する)

問10 古典派経済学に関連するA~Cの経済学者・経済思想と,その主張の内容についての記述ア~エとの組合せとして正しいものを,下の①~⑧のうちから一つ選べ。

A マルクス   B ケインズ   C 重商主義

ア 自由放任(レッセ・フェール)という言葉を初めて用い,その考え方は古典派経済学に引き継がれた。
イ 国の豊かさは貿易黒字によってもたらされると主張し,古典派経済学によって批判された。
ウ 古典派経済学を批判的に発展させて資本主義の構造を分析し,利潤や恐慌のメカニズムを説明した。
エ 古典派経済学を継承し発展させた理論を批判し,有効需要の不足が失業をもたらすと説いた。

① A―ア  B―イ  C―ウ    ② A―ア  B―エ  C―イ
③ A―イ  B―ア  C―エ    ④ A―イ  B―エ  C―ア
⑤ A―ウ  B―イ  C―ア    ⑥ A―ウ  B―エ  C―イ
⑦ A―エ  B―イ  C―ア    ⑧ A―エ  B―ウ  C―イ

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解答⑥ 【解説】A:マルクスは資本主義を分析したうえで否定し、科学的社会主義を主張した人物として有名である。B:ケインズは自由放任主義を批判し、政府の積極的関与と有効需要の創出を説いた。大きな政府の考え方といえる。C:重商主義は、貨幣(金銀)の蓄積のために保護貿易を推進することを説いている。輸出を増やし、輸入を抑制することで、貿易黒字による富を蓄積することを説いた。

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