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政経講義06 日本国憲法の成立をわかりやすく

今回は日本国憲法の基礎についてです。どのような流れで成立したのか、日本国憲法で保障される権利はどのようなものがあるかなど、頻出部分に絞って解説をしていきます。

日本国憲法の成立

日本国憲法が成立したのは戦後すぐのことです。戦争に敗れ崩壊した日本国を、新たに立て直す決意の元、制定されました。しかし、はじめから今の形であったわけではありません。改正を検討する中で、当時の内閣が作成した案(=松本案)が提出されましたが、前憲法と内容が変わらず字句の修正にとどまっており、GHQに拒否されることになります。

その後、象徴天皇制戦争放棄を基軸とした、GHQ草案をベースに政府の最終案が提出され、第90回の帝国議会にて可決されました。この帝国議会は、普通選挙の下で選出された国会議員により構成されており、国民の意思で制定された憲法として民定憲法と呼ばれます。1946年11月3日に公布され、1947年5月3日に施行された新憲法は、70年以上が経った現在(2025年)においても一切修正されていません。

松本案とGHQ案

日本国憲法の権利

日本国憲法は、前文から始まり、全部で103条まで記されています。すべてを覚えるのは大変なので、覚えておくべき権利が記された条文を表でピックアップしました。以下の表にまとめられた番号の条文は、一度目を通してほしいものばかりです。

日本国憲法下の基本的人権

抑えておくべき条文

共通テストにおいて、憲法の条文がそのまま穴埋めで出る可能性は低いです。ただし、知識として持っておくことで大きなヒントになることはあるでしょう。また、私大の政経入試においては、単純な穴埋め問題も出題される傾向にあるため、覚えておいても損は無いです。

日本国憲法 第9条
日本国憲法 第13条
日本国憲法 第14条
日本国憲法 第20条
日本国憲法 第21条
日本国憲法 第25条
日本国憲法 第92条

以上の条文に関わる権利は、具体的な内容や判例まで登場する重要条文ばかりです。それぞれの単元で改めて紹介することになると思われますが、ここでも軽く抑えておいてください。

憲法に規定されていない権利

上に紹介した条文の他にも、私たちが考慮すべき基本的人権はいくつかあります。日本国憲法はこれまで一切の変更がされていませんが、時代の流れとともに保障すべきと考えられるようになったものを、「新しい人権」といいます。これらの権利は、憲法に明記されておらず、条文も存在しません。元々ある憲法の権利を根拠とし、解釈を広げる形で主張されています。新しい人権と呼ばれる権利はいくつかありますが、すべてが確実に保障されている訳ではありません。今後どうしていくべきか、私たちが考えていく必要があります。詳しい内容はあとの記事(政経講義13新しい人権)で触れるとして、今回は主な権利の一覧のみ載せておきます。

新しい人権の主要判例
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keni

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