これまで公民科の教員として教材作成を続けてきた経験の中で、参考になった本やサイト、チラシなどを随時紹介していきます。リンクも貼り付けていきますので、興味があればぜひ試しに購入してみてください!
公共の教材づくりのコツ
公共は新課程で新たにできた科目ですが、内容は「現代社会」を踏襲しています。ほとんど現代社会と変わらない教科書を出版している会社もあるくらいですから、先生によっては授業内容もほとんど変わらないという方もいるかもしれません。私は運が良いことに、学校オリジナル科目として「活動をベースとした授業」を数年間担当した経験があり、それらの活動をうまく組み合わせることで現代社会との差別化を図ることができました。1時間の中で、少しでも生徒が主体的に考えたり、発表したりするような活動ができるよう、教材作りに努めています。
とはいえ、やはり自分のアイデアだけでは限界があり、その都度書籍や関連サイトからネタを探してきました。この投稿では、その中から特に役に立ったものを、紹介させていただきます。
①33の思考実験/北村良子著(彩図社)
「トロッコ問題」や「臓器くじ問題」など、生徒間で議論させると盛り上がるのが思考実験です。教科書・資料集等にもいくつか掲載されていますが、ある程度パターンが決まっていますよね。この本では2冊のシリーズとなっていますが、1冊に33種類の思考実験が紹介されています。トロッコ問題のような超有名実験でも複数パターン紹介されていて深みがありますし、これまで聞いたことが無いような思考実験も数多く紹介されています。純粋に公共の授業に関連付けて使えるものもあれば、「モンティホール問題」のような数学的思考を揺さぶるものもありますので、授業開きなどのアイスブレイクにも活用できるでしょう。書籍自体は学生への授業用では無いので、参考にできるものを自分で選び、アレンジする必要はあります。純粋に読むだけでも面白い1冊なので、是非読んでみてください。
②お金の大学/両@リべ大学長著(朝日新聞出版)
こちらは超ベストセラーとなっている1冊で、どこの書店に行っても置いてありますね。今更紹介するのもおこがましいかもしれませんが、やはり読みやすさ・わかりやすさは素晴らしく、そのまま教材として活用できます。私は電子書籍版を購入し、PowerPointで作成する授業スライドの参考にさせていただきました。
私が作成した「投資教育」や「ライフプラン教育」の内容は、この1冊からの受け売りが多くなっています。金融教育をする立場としてだけでなく、自らの人生設計を見直すうえでも学びが多い1冊だと思います。是非手に取ってみてください。
③「公共」の授業を創る/橋本康弘著(明治図書出版)
こちらの1冊は、タイトルや表紙を見ても分かる通り、やや堅い内容となっています。しかし、中身は非常に実用的で、いくつかの授業実践が「指導案」や「単元計画」などと併せて掲載されています。自治体や学校にもよると思いますが、年に1回は「研究授業」としてある程度かしこまった形の授業をしなければならないですよね。特に、初任者研修や中堅研修などに該当する方や、研究組織に所属している方などはそのような機会が多いと思いますので、この1冊が参考になるのではないかと思います。
④生徒が夢中になる!アクティブラーニング&導入ネタ80/橋本康弘編著(明治図書出版)
こちらは「中学公民」向けの1冊です。タイトルのとおり、ALのネタや導入で使えるネタが全部で80種類紹介されていて、配分としては「AL:導入=4:6」くらいです。ALネタは1時間でできるように簡単な指導案が掲載されているものもありますし、導入ネタは授業への持っていきかたが丁寧にまとめられています。いずれもそのまま授業に持っていけるので、非常に実用的で使いやすい1冊です。中学公民向けと書いてありますが、一工夫すれば十分高校生にも使えるネタが数多くあります。
「授業が平坦で生徒が乗ってこない」「単元に関連した小ネタを挟みたいけど良いアイデアが浮かばない」などの悩みがある方は、是非一度手に取ってみてください。
⑤新・公民プリント/加藤好一著(地歴社)
こちらの書籍は、「新」とありますが出版は2010年です。現在は書店で見ることもほとんどないため、ネットで買うしかないという商品です。現代社会の内容を扱う科目において、15年前の内容ではどうなのか?という声も上がるのを承知の上で、紹介させていただきます。
著者である加藤好一先生は、小・中・高・大での指導経歴があり、その経験から作成した公民科の授業プリントがまとめられています。レベルとしては中学生向けかな…?と思いますが、先ほど紹介したものと同様で工夫次第で高校生でも使えます。全部で60テーマが収録されており、授業ネタが豊富に掲載されています。出版年が2010年であるため、内容自体が古い部分は否めませんが、それでも今の授業に生かせる部分がたくさんある1冊だと思います。
この書籍の最も大きなポイントが、そのまま使えるプリント(ワークシート)が載っている点です。授業ネタとして参考にするだけでなく、プリント作成や展開の仕方に悩んでいる人も参考にもなるはずです。やや高価ではありますが、それだけの価値はありますので、見つけた際には是非手に取ってみてください。
私が授業プリントや授業ネタ投稿で使っているような、「1本の鉛筆から経済活動を捉える」「最低限度の生活で必要なパンツは何枚?」などのネタは、こちらの書籍からの受け売りです。
⑥「おもしろ」授業で法律や経済を学ぶ/熊田亘著(清水書院)
最後に紹介させていただく1冊は、高校教諭として活躍されている熊田先生による、授業実践紹介本です。実際に高校教諭としての実践がまとめられているので、参考にしやすい点がおすすめです。また、配分としては政治分野と経済分野がバランスよく掲載されているので、公共にも使える部分が多いです。
これまで紹介した書籍と異なる点としては、教科の話に限らず「自己紹介ネタ」や「歌う政経」など、アイスブレイクでのやり取りが紹介されている点です。政治経済のネタだけでなく、「授業そのもの」の展開方法やテクニックについても学べる1冊になっていると思います。第2シリーズまでは持っていたのですが、紹介用に調べていたところ第3シリーズまで発売されていたことが判明しました!私も早速購入してみようと思います!
まとめ
今回は6冊を紹介させていただきましたが、また発見したら随時紹介していこうと思います。逆に教員の皆様が普段参考にしているものや、おすすめしたいものがありましたら、ぜひコメント欄にお願いします。私もまだまだ経験不足なので、吸収できるものがあれば嬉しいです。
併せて、教員向け投稿ページに随時載せさせていただいております、私の「公共授業ネタ」シリーズも応援よろしくお願いします。
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