公共授業ネタ10 貿易ゲームに挑戦!

教員向け投稿

はじめに

新たな教科として始まった公共。今後入試科目として組み込まれることが決まった以上、入試問題に対応できる授業を考えていかなければならないとは思っています。しかし、せっかくの新科目なのでできるだけ新たな挑戦を組み込んでいきたいとも思っています。

私の意識としては、1時間のうちに作業できる時間を10分~15分(50分授業のうち)確保したいという目標を持ちながら、授業作りを進めています。実践した中で手応えのあったものを、本サイトでも紹介していこうと思います。参考になれば幸いです。

作業ネタの設定単元

今回の作業ネタは、「貿易」「南北問題」「国際協力」などの学習をまとめる目的で実施しました。公民科の先生方であれば知っている人も多いゲームかと思いますが、具体的なルール設定や、ゲーム後の振り返り方法などを詳しくまとめていきたいと思います。

貿易ゲームは、ゲーム自体も非常に盛り上がりますし、振り返りで1時間使うこともできるほど、内容も濃いものとなっています。年度終わりで授業以外のことをしたい先生方や、まとまった時間が取れて作業を通した学習がしたい時などに最適です。ぜひ参考にしてください。

作業の流れ

(ⅰ)貿易ゲームとは何か?

貿易ゲームとは、与えられた素材から製品を作り出し、お金を稼ぐゲームです。しかし、各国に与えられた道具や資源には格差があるため、それらを克服するために「貿易」を行います。自由に動き回り、道具の貸し借りや労働力の提供、同盟や排除などの作戦を行っていきます。

道具を使って○や△、□などの生産物を作り、世界銀行に売ってお金を儲けることができます。作る商品の例は以下のようなものです。

各国の道具や資金は左のように分けてみました。実際にやりながら、ゲームバランスを調整するといいと思います。6班に対してはさみが4本しかないため、途中で販売したり、最初から1本増やしたりなど、してあげてもよかったかも…と思います。

※鉛筆は各班に1本ずつあるため省略しています。

まだよくわからない人もいると思いますが、実際にどのような流れでゲームを進めるか紹介していきますね。

(ⅱ)ゲームの流れ

1グループ4~5人程度が理想ですが、グループが多すぎると準備する道具も多くなってしまうので、注意が必要です。私はクラスの人数が少なく6班編成でやることが多かったので、今回はそれを例に挙げますが、8班編成くらいまでなら増やしてもいいかもしれません。

生徒への説明はし過ぎないことが大切です。「お金を増やした国が勝ち」ということ、「自由に動き交渉してよい」ということ、「暴力・高圧的な対応は禁止」という3点だけ伝えて、よーいスタート!でもいいくらいです。どうしたらいいか?を自分たちでまず考えさせることが大切です。今回私が示したルールは以下のものだけです。

製品をお金を交換する銀行役を生徒の誰かにやってもらうと助かりますが、最悪教員が銀行役と国連役(ゲームマスター)を兼任することもできます。

基本は1時間かけた方がいいゲームです。ある程度長くないと交渉に迫られる機会が減ってしまうため、少なくとも30分以上は確保することをおすすめします。

初めはどうしたらいいかわからず戸惑う生徒も多いですが、動き回るようになると自分の置かれている状況や、生産に必要なものが理解できます。そこから交渉が白熱してくれれば、自然とゲームは盛り上がっていきます。少々マンネリ化が見られた場合は、以下のような隠しルールを導入してみましょう。時間経過とともにルールを増やしていっても面白いです。

(ⅲ)ゲームの振り返り

ゲームの終了後、記憶があるうちに振り返りをしましょう。

今回のゲーム設定は、A・Bが発展途上国、C・Dが新興国(特にCは資源豊富な産油国を想定)、E・Fが先進国というイメージで作りました。このまま格差を見せつけても学習としてはいいのですが、あまりに酷なためA・B国にも希少資源という一筋の光を与えてみました。普通にやると、発展途上国を想定するグループが快勝することは不可能です。

ゲーム上で起きたことが現実にリンクすることが沢山あるため、生徒に振り返りをさせながら教員が補足していくといいと思います。実際に振り返りの際に使ったPowerPointのスライドも、授業プリントのページに掲載していますので、参考にしてください。

・A国とF国での資金格差 → 経済格差・南北問題
・ゲーム中に商品価値の変動 → モノカルチャー経済への打撃
・裕福な国に何が出来る? → 国際協力の重要性
・与えられた紙の格差 → 資源の偏在性
・紙が無い国 → 資源を自給できない国
・労働力を提供する → 出稼ぎの外国人労働者
・終了後の紙くず → 廃棄物と環境破壊
・ものさしで円を書いたり、手でカット → 技術革新の必要性
・誰も助けてくれなかった → 援助の必要性
・資源国と先進国の協力 → 経済統合

今考えられるだけでも、以上のような関連性があります。富の集中(GDPの偏在)やモノカルチャー経済の具体例、資源の偏在などの資料を提示しながら、現実とゲームを紐づけて説明してみてください。

実施した後の反省点

かかった時間

ゲーム自体は35~45分。振り返りに10~20分程度。ゲームの時間を短くしてしまうと面白さが失われるため、まとまった時間が確保できる時に実施してみてください。

反省点・よかった点

集団によってゲームへの取組が変わります。理解に乏しい場合は、全く交渉をせずに、黙々と作業をするだけの班が出ることもあります。まずは交渉をさせることが大切なので、場合によっては途中で止めてゲームの趣旨を改めて伝えることも必要です。

よかったら試してみてください!

今回の作業は、本サイトの「授業プリントのページ」にて掲載されている「特別授業05貿易ゲームに挑戦」にワークシートをアップロードしていますよかったら参考にしてください。質問等ありましたら、お気軽にコメント欄へお書きください。

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