政経講義28 景気変動をわかりやすく

政経

本単元のポイント
⑴景気の4つの局面を理解
⑵景気変動の波を説いた4人は頻出

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…共通テスト頻出の最重要単語

黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

2023年現在、日本の景気はいいのだろうか。何を基準に置くかによっても変わってくるが、GDPの増加率や株価の上昇を見ると、上昇傾向にあると言えるかもしれない。一方で物価上昇が起きていたり、賃金の上昇が不十分であったり、庶民の目線からでは景気がいいとは言えない面もある。このように、経済というのは複雑に絡み合うもので、はっきりとした答えが出るものではないが、一般論としてどのように景気が変動するのか、どんな要因でその変動が起きるのかなどを、高校経済で学ぶことになる。入試頻出のポイントを絞って紹介するので、丁寧に理解していきましょう。

▼景気変動の波

下のグラフのように、景気は波を形成しながら徐々に上向いていく。ピークとなる部分を「景気の山」、最も底になる部分を「景気の谷」と呼ぶ。それぞれの局面に名前が付いており、頻出ポイントとなる。

景気の4局面

好況期:中央から景気の山に向けて上昇する局面。生産・消費が増大し、賃金や物価も上がっていく。それぞれが最高値を記録していく局面。インフレや景気過熱を抑えるため、金利を上げたり、増税を実施したりする。

後退期:景気の山から中央にかけて下降する局面。生産過剰になった在庫や、景気過熱を抑える政策により、生産・消費・物価・賃金などが減少傾向に入る。生産が落ち込み過ぎないように、金利や財政支出を操作したり、減税を行ったりしていく

不況期:中央から景気の谷にかけて落ち込む局面。生産・消費・物価・賃金などがそれぞれ最低水準に落ち込んでいく。後退期に実施した政策をさらに進めていく。

回復期:政策の実施や需要供給が調整されることにより、景気の谷から中央へ上昇していく局面。生産や消費に関しても上昇していくことになる。

景気変動の波

上のような4局面に分けることが多いが、2局面に分ける場合は谷から山にかけて上昇する部分を拡張期、山から谷へ下降する部分を後退期と呼ぶ。

▼景気変動の周期

上に述べたように、景気は波を形成しながら変動していくが、一つの波がどの程度の期間で周期を終えるのかについては要因によって異なる。どんな要因があってどの程度の周期が発生するのかを発見した人物が4名登場するので、名前+要因+周期の長さをセットで覚えるようにしましょう。まずは表にまとめたものを示します。

景気変動の周期

キチンの波

アメリカのキチンによって提唱されたのは、在庫投資を要因とした景気循環。周期は約40か月で、問題集によっては3~4年と表記されるものもあるかもしれない。ある商品の人気があがれば消費も増大し、在庫も増加させるが、どこかでピークが来る。その後は在庫が余ってしまい、在庫処分のために値下げをしたり雇用の調整を行い、回復していく。この周期が約40か月で起こるというのが、キチンの説である。これが最もイメージしやすい波。

ジュグラーの波

フランスのジュグラーによって提唱されたのが、設備投資を要因とした景気循環。周期は約10年。機械設備の平均耐用年数を考えると、新しい設備で効率よく生産できていた時から劣化が進み、メンテナンスをしたり新しい設備に交換して生産が回復するという流れが、約10年の周期で訪れると説いた。

クズネッツの波

アメリカのクズネッツによって提唱されたのが、建築投資を要因とした景気循環。周期は約20年。イメージはジュグラーの波と似ていて、機械設備が建造物に変わったと思えばよい。建造物の平均耐用年数を考え、新しい工場で効率よく生産できていた時から劣化が進み、メンテナンスをしたり建て替えを行い生産が回復するという流れが、約20年の周期で訪れると説いた。

コンドラチェフの波

ソ連のコンドラチェフによって提唱されたのが、技術革新を要因とした景気循環。周期は約50年。これまでの概念を覆すような新たな技術革新(イノベーション)が起こることによって、新たな好景気を生み出すと説き、これが約50年の周期で訪れると説いた。近年の事例で言えば、インターネットの普及やスマートフォンの開発などがイメージしやすい。

以上の4つの波は頻出であるが、覚える量としては決して多くない。察しのいい人は気づいたかもしれないが、4人の名前の長さと周期の長さが比例している。覚えやすいので是非参考にしてください。

景気の波の覚え方

▼まとめ

経済分野では珍しく、覚えていればできるような問題。確実な得点源にできるようポイントを確実に抑えましょう!問題演習を通して知識の定着を確認すること。

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一問一答はコチラから!→ 一問一答04 GDP・景気

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