政経講義26 会社のしくみをわかりやすく

政経

本単元のポイント
⑴会社の分類を整理する
⑵会社法についての理解

⑶持株会社とは

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…共通テスト頻出の最重要単語

黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

▼会社の分類

日本企業は、民間資本からなる私企業と、公共資本からなる公企業、両方の資本からなる公私合同企業に分類される。このうち私企業が大多数を占め、さらにその中の会社企業が最も多い。頻出ポイントである「会社企業の分類」を整理しよう。

会社企業の分類

まず、株式を発行する形で資金を集める会社を株式会社と呼び、これが最も多い種類となる。多くの人を対象に資金を集められるのが株式会社のメリットであり、大企業に適している。その他の会社は、社員の責任の負い方によって分類できる。

有限責任・無限責任とは?

ここで登場する「有限責任」「無限責任」という言葉がいまいちよくわからない。社員はみんな会社で責任を負うものでは?と思うよね。まずは言葉の意味から説明する。

有限責任…出資額を限度に責任を負うこと。例えば、倒産して借金を抱えた会社に対して100万円の出資をしていた社長がいたとする。この時、負債額が1億あろうが社長は100万円を失うだけで済むということ。責任に限りがあるので、有限責任という。

無限責任…経営上の損失について出資額を超えて責任を負うこと。先ほどの社長の例で考えると、彼は100万円しか出資していないとしても、社長として全財産をかけて負債を処理する必要がある。

この関係がどのように影響を与えるのか↓

有限責任と無限責任の違い

以上のように、有限責任の良さは責任を負うリスクが低いこと。つまり株式会社のように多くの出資者を集めたり、ベンチャー企業のような挑戦的な起業に向いている。

一方で、無限責任の良さは「最後まで責任取ります!」という覚悟から得られる信頼度。取引相手からしてみると安心感があり、少ない取引先を相手にする家族経営などの小規模会社に向いている。

以上のように、どちらの責任で会社を経営するかについては、会社の特性によって変化させるものである。有限責任社員で形成される合同会社は、ベンチャー企業に適していると言われている。無限責任社員で形成される合名会社は、家族経営などの小規模会社が多い。

▼会社法についての理解

会社の単元において頻出なのが、新しくなった会社法。2006年5月に施行された法で、これまでの会社に関する法律の再編が行われた。グローバル化やIT化に伴う変化に柔軟に対応したり、起業のハードルを下げることによる経済の活性化を狙ったものである。ポイントを以下にまとめる。

会社法(2006年5月施行)のポイント

➀有限会社の廃止:有限会社が廃止され、株式会社に統合された。しかし、それまでに設立されていたものが存続することは可能であり、現在でも残っている有限会社はある。”新設”ができないと覚えておこう。

➁最低資本金制度の廃止:株式会社の設立には、これまで最低1000万円の資本金が必要であった。これが撤廃されて、起業のハードルがぐっと低くなった。手続き上0円での起業はできないため、最低でも1円の資本金が必要になる。

③合同会社の新設:経営のルールを社員の総意で決定できる形であり、企業と研究者の共同研究やベンチャー・ビジネスの設立がしやすい点が強みとなる。

▼持株会社とは

持株会社とは、株式を保有することによって他企業を支配する会社のこと。戦後、財閥の支配力を復活させないため、独占禁止法によって禁止されてきたが、バブル崩壊後の国際競争強化を目的に1997年に持株会社の設立が解禁された。

この解禁により、企業によるM&A(合併吸収)が加速し、多くの持株会社(ホールディングス)が誕生した。日本における例としては、セブン&アイホールディングスがある。

また、日本の株式会社の株をどのように所有しているかという点についても、グラフ問題が出題される。抑えるべきポイントとしては、個人の比率が減少した代わりに、外国人株主の比率が増加してきている。近年の経済のグローバル化が背景にある。

▼まとめ

以上の内容以外にも、会社の専門用語(コンプライアンス、メセナなど)はカタカナばかりで覚えにくく、入試でも問われることがある。株式会社のしくみについても頻出であり、株主総会の議決方法や、取締役と株主の関係などを抑えておきましょう。

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