▼需要供給グラフの超基礎
まず、中学でも学習する基本的な部分を紹介しておく。理解が済んでいるという人は、次の単元から見てください。そもそも需要と供給のグラフとは、買い手が欲しい量を需要(demand)、売り手が売りたい量を供給(supply)として表したもの。ゆえに、需要はD、供給はSと表される。
この需要と供給が交わった部分で、価格や数量が決定する。
▼需要供給問題は2パターン
それでは本題に入ります。大学入試でも需要供給のグラフ問題は良く出る部分ですが、出題パターンは大きく分けて2つ。1つはグラフを動かす(もしくは動いているグラフをみて要因を問う)問題で、慣れてしまえば比較的簡単なパターン。もう一つは、グラフ上の点を読み取り、関係性を問うパターン。こちらの方が難易度は高くなる。それでは順に攻略法を紹介します。
ⅰ)グラフを動かす問題
このパターンの例題を紹介します。
まずは、交わる点を示す点Eが、点E´に移動したということは、グラフがどのような動きをしたのかを考える。交点がE´になるためには、需要曲線(赤)が右に動いたということである。
需要曲線が右に動くということは、需要量が増加したということ。あとは選択肢から需要量が増加する選択肢を選べばよい。➀の消費者所得の減少は「需要の減少」、➁の生産コスト低下は「供給の増加」、③の消費税増税は「需要の減少」、④の商品の流行は「需要の増加」へ繋がる要因である。つまり、正答は④となる。
需給グラフが動く要因を表にまとめたので、確認しておこう。
ⅱ)点を読み取るパターン
続いてグラフ上の点を読み取るパターンの問題。このパターンでは、グラフを動かすことはなく、点の関係を読み解くことが求められる。例題はこちら↓
上のグラフの関係を順に読み取っていく問題になる。QやPと書いてあることで複雑に感じられるが、言っていることとしては「安い輸入品が入ってきて、商品全体も値下がりしたよ」ということ。問題にP2まで下落したと書いてあるため、P2の関係性に注目しよう。
価格P2の部分を横に見ていくと、供給のグラフがQ1で交わり、需要のグラフがQ2で交わる。右に行けば行くほど数量が多くなるので、供給よりも需要の方が多いという関係が読み取れる。この状態を「超過需要」という。
元々国内だけで売っていた商品だったが、価格が低下→その安さだと国内の供給は少なくなってしまい(安値で売りたくない!!)、安くなった分、買いたい人は増加する→バランスが崩れ、国内市場だけだと売り切れ状態になってしまう…。といった流れ。
その結果、国内の市場だけでは欲しい人が買えない状態となってしまうので、足りない分を輸入でカバーすることになる。不足分を表す選択肢を答えると、③が正解となる。
▼労働市場の問題
基本は上に示した2パターンを抑えておけば、需要供給の問題は網羅できるが、イレギュラーなパターンが無いわけではない。その一例として、労働市場の例題を紹介する。
まず、労働市場とは、労働者の働く人の量と賃金の関係を示したもの。労働者=商品という見方をすると理解しやすい。つまり、需要は「商品が欲しい」=「労働者が欲しい(雇いたい)」という考え方で雇う側が労働者を欲しがる量を示す。逆に供給は「商品を売りたい」=「労働力を提供したい(働きたい)」という考え方で、雇われる側が働きたいと思う量を示す。何となく「需要だから労働者が働きたい量」と勘違いしてしまう人が多いので注意しよう。
これを踏まえて、例題を解いてみよう。
まず、基本的な問題パターンとしては、パターンⅱの点を読み取るパターン。P0がP1に上がったことにより、需要よりも供給の方が多くなる。これを超過供給という。➀④は選択肢から除外される。
供給の方が多いということは、働きたいと思う人の量が多くなるということなので、➁③で働きたい人を減らすための施策を選べばよい。答えは➁となる。
▼まとめ
以上の内容を理解できれば、大方の問題は解くことができる。あとは実践慣れすることが大事なので、過去問演習のページからチャレンジしてみてください。
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