問1 日本における生存権訴訟についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 堀木訴訟は,国の定める生活保護基準が低額にすぎることが,生存権保障に反するとして争われた事件である。
② 最高裁判所は,朝日訴訟において生存権をプログラム規定と解釈したが,堀木訴訟ではそれは具体的な権利を保障するものであると見解を変更した。
③ 最高裁判所は,憲法の生存権保障にこたえて具体的にどのような立法措置をとるかについて,立法府の裁量の余地は小さいと判断している。
④ 朝日訴訟において原告の主張は認められなかったが,この訴訟は社会保障制度を改善する一つの契機となった。
問2 日本における外国人の地位や権利をめぐる状況についての記述として正しいものを,次から一つ選べ。
① 憲法は居住・移転の自由を保障しているので,公共の福祉に反しない限り,外国人が日本に移住する権利が広く認められている。
② 地方自治体の一部では,条例により,自治体に居住し永住資格をもつ外国人にも,市町村合併などの是非を問う住民投票における投票を認めている。
③ 国際化の流れを受け,国家公務員採用についての国籍条項が撤廃され,外交官などを除けば,外国人の公務就任が認められるようになった。
④ 労働力不足を補うため,国籍法の改正により,日本で外国人を両親として生まれた子が日本国籍を選択する権利が認められるようになった。
問3 福祉国家としての日本の現状の記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 健康で文化的な最低限度の生活を営むことのできない者は,法律の根拠がなくても,直接憲法に基づいて国に生活保護を請求することができる。
② 義務教育においては,国民に,授業料を徴収しない教育の機会が保障されているだけでなく,教科書もまた無償で配布される。
③ 勤労は,権利であるとともに義務でもあるので,国が必要と認める場合には,国民を強制的に徴用することができる。
④ 公務員も勤労者であるから,労働基本権の保障を受け,その一つである争議権もしばしば合法的に行使される。
問4 日本国憲法が保障する社会権についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 最高裁判所は,朝日訴訟において,生存権を定めた規定は直接個々の国民に対して具体的な権利を与えたものではないとした。
② 最高裁判所は,堀木訴訟において,障害福祉年金と児童扶養手当との併給禁止を違憲ではないとした。
③ 勤労の権利とは,働く意思のある者が,希望の職業に就くことを国家に請求する権利のことである。
④ 労働三権とは,団結権,団体交渉権および団体行動権を総称したものである。
問5 社会保障制度を支える理念として,日本国憲法25条が定める生存権がある。生存権をめぐる学説・判例についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 法的権利説の立場では,国の施策が最低限度の生活を保障していなくても国民が裁判で憲法25条に基づき争うことはできないと理解されている。
② 朝日訴訟最高裁判決は,当時の生活保護の基準が憲法25条に違反していると判断した。
③ 堀木訴訟最高裁判決は,障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止が憲法25条に違反していないと判断した。
④ プログラム規定説の立場では,憲法25条は国に生存権を実現する法的な義務を課していると理解されている。
問6 生存権は人権の分類としては社会権に該当する。日本における社会権の保障についての記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 生存権は,新しい人権として環境権が主張される際に,その根拠の一つとなっている。
② 教育を受ける権利は,児童・生徒が公立学校において,自らの信仰する宗教の教義の教育を受ける権利を含む。
③ 勤労権は,職業安定法,雇用対策法などの法律によって,実質的な保障が図られている。
④ 団体交渉権は,国家公務員および地方公務員については,民間企業の労働者よりも制限されている。
問7 国民が政治や行政に関して意見を表明したり伝達したりするための手段や制度,経路にはさまざまなものがある。日本の場合に当てはまる記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 日本国憲法では,法律の制定・廃止に関する請願権が定められている。
② 利益集団(圧力団体)とは,国民の多様な意見や利害を集約して政策案を策定し,その実現のため,政権の獲得をめざして活動する組織のことを指す。
③ 地方自治体で,市町村合併に関する住民投票が行われた例は存在しない。
④ 政治献金は,政治家や政党の政治活動を国民が支えるための重要な手段の一つであるため,政治献金に対する規制は,行われていない。
問8 教育について,日本の制度に関する記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 国は,特定の宗教のための宗教教育を行うことができる。
② 義務教育は,無償とすることが憲法に定められている。
③ 都道府県の議会は,教育委員会の委員を任命する権限を有する。
④ 教科書の検定制度は,最高裁判所において違憲だと判断されている。
問9 日本国憲法の下での教育や学問をめぐる権利や義務についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 憲法が保障する教育を受ける権利の基礎には,人が学習し成長する学習権の理念があるとされている。
② 憲法上,国民がその子どもに普通教育を受けさせる義務はない。
③ 憲法が保障する学問の自由には,大学の自治は含まれない。
④ 憲法上,国が小中学校での教育とともに高校での教育を無償で提供することとされている。
問10 日本における,国民生活と国の施策との関係をめぐる最高裁判所の判断についての次の記述アとイの正誤の組合せとして正しいものを,下の①~④のうちから一つ選べ。
ア 最高裁判所は,薬局開設の許可基準として距離制限を設けることは,合理的な規制とは認められず,違憲であると判断した。
イ 最高裁判所は,児童扶養手当と公的年金の併給を禁止する児童扶養手当法の規定は,国会の立法裁量の範囲を超え,違憲であると判断した。
① ア 正 イ 正 ② ア 正 イ 誤
③ ア 誤 イ 正 ④ ア 誤 イ 誤
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