問1 近代国家のあり方を支えるさまざまな考え方を唱えた書物A~Cと,その主張内容ア~ウとの組合せとして正しいものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。
A 『社会契約論』 B 『国富論』(『諸国民の富』) C 『リバイアサン』
ア 利己心に基づいて私的利益を追求する各個人の行動が,「見えざる手」の作用によって,社会全体の利益の調和をもたらす。
イ 自然状態は万人の万人に対する闘争状態であり,平和を確立するには,契約を結び,絶対的支配権をもつ国家を形成する必要がある。
ウ 人間は社会では鎖につながれており,それを克服するには,自由で平和な自然状態から契約を結び,人民主権の国家を形成する必要がある。
① A―ア B―イ C―ウ ② A―ア B―ウ C―イ ③ A―イ B―ア C―ウ
④ A―イ B―ウ C―ア ⑤ A―ウ B―ア C―イ ⑥ A―ウ B―イ C―ア
問2 近代民主政治の理論的な基礎に関連する記述として最も適当なものを,次の①~④から一つ選べ。
① ホッブズは,君主は外交権を握るべきであるが,国内においては,国民の信託を得た代表が国政を担当すべきであると説いた。
② ロックによれば,政府が国民の生命や財産を侵害した場合,国民は政府に抵抗する権利をもっている。
③ アメリカ独立革命を目撃したモンテスキューは,一般人民を主権者とする社会契約論を唱えて、フランス革命に影響を与えた。
④ 「人民の人民による人民のための政治」というリンカーンの言葉は,ルソーの説く一般意思と同じように,間接民主制を否定している。
問3 ジョン・ロックの自然権思想についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 自然状態においては,各人の有する自然権は相互に衝突し,「万人の万人に対する闘争」が生じる。
② 自然界において,強者が弱者を支配することが神の摂理にかなうように,君主は臣民を絶対的に支配する自然権を有する。
③ 人間はその本性からして,孤立して生きることができないため,政治的共同体に所属し,政治に参加する権利をもつ。
④ 自然状態において,各人は自らの生命・自由・財産に対して自然権を有しており,この権利を保全するために政府が設立される。
問4 それぞれの条約に対する日本の取組みに関する記述として誤っているものを,次の①~④から一つ選べ。
① 二つの国際人権規約を批准する際に,それらの権利をすべて認めたのではなく,いくつかの条項について留保している。
② 女性差別撤廃条約を批准するに先立って,男女雇用機会均等法の制定など,国内法の整備を行った。
③ 子どもの権利条約を批准したが,未成年者保護の観点から,成人と異なった取扱いを行うことは認められている。
④ 死刑廃止条約(自由権規約第2選択議定書)の批准により,長年にわたって維持してきた死刑制度を廃止した。
問5 国際的な人権保障を定めた文書についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 世界人権宣言は,個人の具体的な権利を規定し,国家を法的に拘束する文書である。
② 国際人権規約は,西欧諸国の意向を反映し,社会権の規定を除外した文書である。
③ 子どもの権利条約は,子どもの福祉と発達のための社会・生活条件の改善を主な目的として採択された。
④ 人種差別撤廃条約は,ジェノサイド(集団殺害)の禁止を主な目的として採択された。
問6 法の支配に関連する記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① コーク(クック)は,コモン・ローの伝統を重視し,国王といえども法に従わなくてはならないと主張した。
② ボーダンは,国王の絶対的支配を否定し,権力分立に基づく国家権力の抑制の必要を説いた。
③ マグナ・カルタは,国民の平等な権利を認め,統治者が法に拘束される法の支配の思想を示した。
④ 英米における法の支配は,ドイツで発達した法治主義と比べ,成文法重視の思想であった。
問7 民主主義の歴史の上で重要な憲法・宣言A~Cと,その文言ア~ウとの組合せとして正しいものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。
A アメリカ独立宣言 B フランス人権宣言 C ワイマール憲法
ア 「経済生活の秩序は,すべての人に,人たるに値する生存を保障することを目ざす,正義の諸原則に適合するものでなければならない。」
イ 「すべての人は平等に造られ,造物主によって一定の奪うことのできない権利を与えられ,その中には生命,自由および幸福の追求が含まれる。」
ウ 「権利の保障が確保されず,権力の分立が定められていないすべての社会は,憲法をもたない。」
① A―ア B―イ C―ウ ② A―ア B―ウ C―イ ③ A―イ B―ア C―ウ
④ A―イ B―ウ C―ア ⑤ A―ウ B―ア C―イ ⑥ A―ウ B―イ C―ア
問8 差別が政治権力を通じてなされることを防ぐためには,「法の支配」を確立する必要がある。「法の支配」の実現を図る手法として有効であるとは言えないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 違憲立法審査制度の導入によって,議会が制定した法律を裁判所が無効と判断できるようにする。
② 議会の委任によって,ある思想や行動が合法か違法かを法務大臣が判断できるようにする。
③ 人権条約に加入し,国が新たな人権保障の義務を負うことにする。
④ 憲法改正の手続を,通常の法律を改正する手続よりも厳格にする。
問9 憲法についての記述として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 国民主権の下で国民により制定された憲法を,欽定憲法という。
② イギリスは,多数の法律や慣例が憲法の役割を果たしているため,成文憲法をもつ国である。
③ ドイツのワイマール憲法は,世界で初めて社会権を規定した憲法である。
④ 特別の改正手続を必要とせず,一般の法律と同じ手続で改正できる憲法を,硬性憲法という。
問10 次の文章は,国家の権力のあり方について書かれたものからの抜粋である。この著書の名称として正しいものを,下の①~④のうちから一つ選べ。
同一人,または同一の執政官団体の掌中に立法権と執行権が結合されているときには,自由はない。なぜなら,同じ君主あるいは同じ元老院が暴政的な法律を定め,それを暴政的に執行するおそれがありうるからである。
裁判権が,立法権と執行権から分離されていないときにもまた,自由はない。もしそれが,立法権に結合されていれば,市民の生命と自由を支配する権力は恣意的であろう。なぜならば,裁判官が立法者なのだから。もしそれが執行権に結合されていれば,裁判官は圧制者の力をもちうることになろう。(資料) 井上幸治責任編集『世界の名著 28』
① 『統治二論』 ② 『国家論』 ③ 『法の精神』 ④ 『戦争と平和の法』
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