共通テスト政経過去問48 国際経済の課題

政経

共通テストの過去問を中心に演習問題を掲載しています。
解答・解説も含めて、参考になれば幸いです。

問1 国際的な資本移動に関連する財政危機や金融危機についての事例の記述として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 第二次石油危機後のメキシコでは,累積債務問題が表面化した。
② 住宅バブルが崩壊したアメリカでは,サブプライムローン問題が表面化した。
③ ギリシャ財政危機では,財政状況が悪化したギリシャの国債利回りが高騰した。
④ アジア通貨危機では,資本流出に見舞われたタイの自国通貨が高騰した。

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解答④ 【解説】④アジア通貨危機では、タイで発生したバブル崩壊によりタイ通貨のバーツが下落したことが発端。その後、瞬く間にアジア全域を中心に世界へ影響した。

問2 一国の経済活動や社会の状況は,国によって多様である。次の記述A~Cは,日本,インド,オランダにおける経済や社会の特徴を説明したものである。記述A~Cと,国名ア~ウとの組合せとして適当なものを,一つ選べ。


A 国外の企業からソフトウェア開発の業務委託が増加するなど,サービス産業が経済成長を牽引している。しかし,一人当たり所得は世界的にみて低い水準にある。
B 生産年齢人口が減少する一方で,企業の利益のうち労働者の賃金に分配される割合を示す労働分配率は低下傾向にある。また,政府債務残高の対GDP(国内総生産)比は世界的にみて高い水準にある。
C 同一労働同一賃金の原則に基づき正規労働者と非正規労働者の間で労働条件の均等化が図られ,一人当たりの労働時間を短縮して仕事を分かちあう制度が普及している。なお,失業率は世界的にみて低い水準にある。

ア 日 本   イ インド   ウ オランダ

① A-ア  B-イ  C-ウ 
② A-ア  B-ウ  C-イ 
③ A-イ  B-ア  C-ウ
④ A-イ  B-ウ  C-ア 
⑤ A-ウ  B-ア  C-イ 
⑥ A-ウ  B-イ  C-ア

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解答③ 【解説】A:ソフトウェアがキーワードで、IT関係で急成長しているインドかな…と目星をつける。一方で一人あたりの所得が低い水準という点から、人口が世界で1・2を争うインドだろうと推察する。B:生産年齢人口が減少しているのは日本の特徴。政府債務が高い水準というのも、日本の特徴に当てはまる。C:正規労働と非正規労働の均等化というキーワードから、日本ではないことは分かる。ワークシェアリングの導入国としてオランダは有名であり、ここで確信できれば。

問3 企業活動のグローバル化についての記述として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 企業が海外展開を進めることにより,その企業の本国では産業の空洞化が生じる場合がある。
② 企業の海外進出によって技術が伝わり,進出先の国で生産力や所得が増大する場合がある。
③ 多国籍企業の中には,その売上高が日本のGDPを上回る企業がみられるようになった。
④ 多国籍企業による発展途上国の資源に対する支配は,資源ナショナリズムが高まるきっかけの一つとなった。

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解答③ 【解説】世界一の売上高でも5000億ドル程度。日本のGDPは4兆ドル程度あるため、桁が違う。とはいえ、これを知っている人は少ないと思うので、➀➁④が正しいと確信を持つことが重要となる。

問4 次の図は日本,韓国,中国,ブラジルのGDP(国内総生産)の実質成長率の推移を表したものである。図中のA~Dのうち,ブラジルのGDPの実質成長率を示すものとして正しいものを,下のうちから一つ選べ。

① A  ② B  ③ C  ④ D

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解答② 【解説】ブラジルと中国はBRICSの一員とされているように、近年成長が著しい。特に中国の成長は顕著であり、Aが中国だと判断できる。一方、日本は90年代以降の成長率が安定して低い水準であり、Dと判断できる。韓国とブラジルはいずれもIT関係で成長している国であり、近年はよく似た成長曲線を描いているが、ヒントとなるのは1998年の急落。これはアジア通貨危機(1997)によるものであり、強い影響を受けているCが韓国と推察できる。

問5 北京オリンピックが開催された2008年に起こった出来事として正しいものを,次のうちから一つ選べ。

① TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に日本が参加した。
② サブプライムローン問題をきっかけに,世界的な金融危機が発生した。
③ EU(欧州連合)で,ユーロ紙幣・硬貨の流通が始まった。
④ 中国がWTO(世界貿易機関)に加盟した。

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解答② 【解説】①TPPが発効したのは2006年だが、交渉に日本が参加したのは2013年から。③ユーロの導入が1999年、流通は2002年から。④中国がWTOに参加したのは2001年。ここから中国はさらに成長を加速させ、世界2位の経済大国となった。

問6 経済のグローバル化を特徴づける現象の説明として正しいものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 製造業企業が,複数の国に子会社や系列会社を設置するという,世界的規模での間接投資を展開している。
② ヘッジファンドが世界的規模で大口資金を集め,投機的な性格の強い投資を展開している。
③ 海外で事業展開するため,自社と同じ事業範囲の海外企業を買収する,企業のコングロマリット化が進行している。
④ 貿易の自由化を世界中で推進するための国際機関として,WTO(世界貿易機関)とともにGATT(関税及び貿易に関する一般協定)が設立されている。

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解答② 【解説】➁ヘッジファンドとは、多様な金融商品を分散して収益を目指す投資。市場が下落する場合も空売りという手法で利益を狙い、どんな市場でも大きなリターンを目指す代わりに、リスクや高い手数料が設定されている。市場が揺れ動く方がリターンを得られるチャンスなため、あえて急激な資金流動を引き起こすこともある。

問7 日米貿易摩擦についての協議である日米構造協議でアメリカが日本に要求した内容として誤っているものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 系列取引の見直し 
② 財政赤字の縮小 
③ 国内需要の拡大 
④ 独占禁止法の改正

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解答② 【解説】日米構造協議では、アメリカが日本の閉鎖的な市場を開放するよう求めている。①③④はいずれもその目的に該当するものである。構造的な障壁を解明し、貿易市場の開放を求めた。

問8 産業構造の転換に関連する現象として,製造業を中心とする産業の空洞化がある。他の条件を一定とした場合に,ある国における産業の空洞化を促進する要因であるとは言えないものを,次のうちから一つ選べ。

① 国内における労働力人口の減少
② 対外直接投資の対象となる国における賃金水準の上昇
③ 対外直接投資の対象となる国における法人税率の引下げ
④ 外国為替市場における自国通貨の価値の上昇

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解答② 【解説】産業の空洞化とは、自国企業が海外へ進出し、自国産業が弱体化することを指す。②対象国の賃金水準が上昇した場合、人件費が上がるため海外進出するメリットがなくなる。産業の空洞化を抑制する要因である。

問9 経済の国際化についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。

① 貿易や資本移動の自由化とともに多国籍企業の活動も拡大し,近年では,年間の売上高が日本のGDP(国内総生産)を上回る企業も存在する。
② 2011年末から12年初めにかけて,タイでは大洪水が発生したが,日本における生産活動は影響を受けなかった。
③ 1980年代末に行われた日米構造協議の結果として,大規模小売店舗法の改正が行われ,大型店の立地が促進された。
④ 日本では,外国人労働者の増大に伴い,不法就労者に対しても雇用保険が適用されるようになった。

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解答③ 【解説】①世界一の売上高でも5000億ドル程度。日本のGDPは4兆ドル程度あるため、桁が違う。②タイは日本にとって上位10国に入る貿易相手国。影響を受けなかった訳ではない。④不法労働者に雇用保険は適用されない。

問10 1990年代以降に発生した経済危機に関する記述として誤っているものを,次のうちから一つ選べ。

① アメリカではリーマン・ショックをうけて,銀行の高リスク投資などを制限する法律が成立した。
② アジア通貨危機が契機となって,国際連合はUNDP(国連開発計画)を設立した。
③ 日本ではバブル経済の崩壊が契機となって,金融機関の監督・検査を行う金融監督庁(後に金融庁に改組)が発足した。
④ 国際金融市場で行われる短期的に利益を追求する投資活動が,経済危機を引き起こす一因となった。

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解答② 【解説】②アジア通貨危機は1997年に発生したが、UNDPは1966年に発足している。UNDPは発展途上国への開発援助の中心的機関。

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