はじめに
新たな教科として始まった公共。今後入試科目として組み込まれることが決まった以上、入試問題によって授業のあり方も変えていかなければならないとは思っています。しかし、せっかくの新科目なので新たな挑戦ができればとも思っています。
私の意識としては、1時間のうちに作業できる時間を10分~15分(50分授業のうち)確保したいという目標を持ちながら、授業作りを進めています。実践した中で手応えのあったものを、本サイトでも紹介していこうと思います。参考になれば幸いです。
関連 : 授業プリントのページ
作業ネタの設定単元
今回の作業ネタは、信教の自由に関する授業で実施しました。これまでの紹介に比べるとだいぶ軽めの内容で、時間としても5~10分目安のものです。これまでの授業では、津地鎮祭訴訟や愛媛玉ぐし料訴訟などの重要判例を用いて展開してきましたが、地鎮祭や靖国神社がいまいち高校生の感覚にヒットしないな…という懸念点がありました。もう少し身近な話題から導入を図ってみようということで、今回の作業を考えました。
重視した点・授業の流れ
➀政教分離の導入
政治と宗教が癒着してはいけないという内容は、何となく理解できますが、「どこまでがNGなのか?」という具体的な線引きを考えると意外と難しいものです。今回は以下のような例を挙げて、生徒たちに考えさせてみました。
やりやすさを重視して、今回は3択で解答させることにしました。花火大会は元々死者の魂を鎮めるために開催されたもので、地域によっては戦争の死者を弔う目的で実施されているものもあります。(隅田川花火大会や長岡まつり花火大会が有名)鎮魂や霊というワードが出てくると、宗教的な意味合いも感じさせますが、「ではこのような花火大会に地方自治体が協力することは、政教分離に反するのかな?」と問いかけてみましょう。
例2は癒着のイメージがより強いため、×を選択する生徒が多くなりますが、「では例1とは何が違う?」と追質問してみると、意外と説明が難しいものです。
例3は唯一はっきりと明確な答えが出せる問ですが、「公」と「私」の区別を実感させる意味で設定しました。公立の宗教教育は禁じられている点も併せて説明すると、受験の頻出内容にも繋がっていきます。
➁周りの人と解答の共有
時間があれば、教員がまとめる前に生徒間での共有をしても面白いです。若干意見のばらつきは出るはずなので、その違いに着目して議論をさせてみましょう。
③判例学習への展開
①➁をある程度考えさせた上で、最後に判例学習へと展開していきます。例1・例2の違いをしっかり考えられると、津地鎮祭訴訟と愛媛玉ぐし料訴訟の結果が違うことも納得できるのではないかと思います。
まとめ
今回は3つの例だけを取り上げましたが、時事的な内容も含みながらより多くの例を考えさせてもいいと思います。宗教が身近に感じられない生徒が多いからこそ、できるだけ考えやすい事例を設定できるといいですね。
実施した後の反省点
よかったら試してみてください!質問等ありましたら、お気軽にコメント欄へお書きください。
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