はじめに
新たな教科として始まった公共。今後入試科目として組み込まれることが決まった以上、入試問題に対応できる授業を考えていかなければならないとは思っています。しかし、せっかくの新科目なのでできるだけ新たな挑戦を組み込んでいきたいとも思っています。
私の意識としては、1時間のうちに作業できる時間を10分~15分(50分授業のうち)確保したいという目標を持ちながら、授業作りを進めています。実践した中で手応えのあったものを、本サイトでも紹介していこうと思います。参考になれば幸いです。
関連 : 授業プリントのページ
作業ネタの設定単元
今回の作業ネタは、裁判員裁判の授業で実施しました。授業プリントは別ページで公開しているので、そちらを参考にしてください。(「公共19私たちと裁判」というプリントに掲載)
裁判員裁判の開始に伴い、授業でもよく実施されるようになった模擬裁判。しかし、事例の選択によっては、裁判の内容が難しく思考停止したり、意見がどちらか一方に偏ってしまい議論の余地がなかったりします。今回紹介する法務省作成の教材は、そのバランスが非常によく、議論も活発に行いながら裁判の流れを捉えられる教材となっています。小中高それぞれの教材が提供されていますが、今回は中学生版の教材を紹介します。
【映像URL】(97) 中学生向け「もぎさい」法教育教材(事件の審理等)【字幕付き】 – YouTube
今回の作業は特段変わったものではなく、いわゆる王道な授業展開かもしれませんが、初めて模擬裁判に挑戦したい先生方にとって使いやすい教材だと思います。
作業の流れ
(ⅰ)裁判の様子を視聴し、事例を整理する
映像はYouTubeにて視聴可能です。((97) 中学生向け「もぎさい」法教育教材(事件の審理等)【字幕付き】 – YouTube) 冒頭から5分程度は刑事裁判の流れを紹介するため、復習に使う場合は効果的です。不要であれば冒頭手続からスタートでもいいのではないでしょうか。ここから検察側の主張・弁護側の主張・証拠の説明が順に行われていきます。それぞれの主張を整理しながら、裁判の様子を視聴させます。
被告人の最終陳述が終わった後、検討のポイントが流れますが、生徒たちにヒントを与え過ぎると考え私は省略しました。冒頭手続き(6:02)~最終陳述(23:02)までにすると、約15分の映像となりますので、比較的授業内で使いやすいものになります。
ポイントとしては、中立の立場で主張の整理をすること。後のディベートでは弁護側と検察側に無作為に分ける形を取るため、意見が偏らないように気を付けさせましょう。
また、証拠主義や推定無罪の原則の知識が、この裁判には重要な意味をもつため、しっかりと復習したうえで動画を視聴させるといいと思います。動画内の冒頭5分程度でも紹介されているため、必要であればそこから見させるべきだと思います。
(ⅱ)検討のポイント
事件の内容や、証拠説明が終わった段階で、検察官と弁護人に仕分けを行います。自分の思う立場で討論を行う場合、人数に偏りが出る恐れがあるため、無作為に有罪派(検察側)と無罪派(弁護側)に分けました。感情論や憶測で主張するのではなく、証拠に基づいた主張を心がけさせましょう。裁判における証拠の重要性や推定無罪の原則に気づくことができるはずです。
事件の内容からすると被告人がかなり怪しい状況で、一見検察側に偏りそうな事件です。しかし、決定的な証拠が無いことに気づくと意外と有罪と断言できないものであり、意外と半々の結果になることもありました。
(ⅲ)模擬裁判の進め方
6人程度の班を2チームに分けます。自由に議論させても構いませんし、時間で区切ってもいいと思います。私はメリハリをつけるために、検察側の主張(4分)→弁護側の主張(4分)→自由に質疑応答(4分)というような形で実施しました。
時間を設定して議論させた後は、裁判官役に有罪無罪を判決させたり、ディベートした班で多数決を取るなどして、勝者を決めるといいと思います。最後に振り返りを行い、1コマ終了といったところでしょうか。動画の残りの部分を振り返りとして見せるのもいいと思います。
実施した後の反省点
よかったら試してみてください!
授業プリントについては、本サイトの「授業プリントのページ」にて掲載されています。公共プリント19「私たちと裁判」に載っていますので、よかったら参考にしてください。質問等ありましたら、お気軽にコメント欄へお書きください。
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