政経講義38 日本の社会保障をわかりやすく

政経

本単元のポイント
⑴ 日本の社会保障の柱を抑える
⑵ 医療保険と年金保険の内容を理解

本まとめの用語表記

赤蛍光ペン…共通テスト頻出の最重要単語

黄下線ペン…共テ応用問題や私大入試で抑えるべき

今回は社会保障についての解説。まずは日本における制度について抑えていく。ここでの内容は受験でも超頻出分野なので、ポイントを確実に覚えていきましょう。

▼日本の社会保障制度

社会保障とは?

社会保障と一言で言っても、内容はいくつかに分かれる。そもそも社会保障の定義は、一定の保障を国家が行うことを通して、安定した生活を実現するもの。その実現に向けて、日本では以下の4本柱を社会保障政策として掲げている。

日本の社会保障制度

この中でも特に社会保険が頻出部分であるため、後の単元で詳細を紹介していく。

社会保障制度の歴史

内容に入る前に、日本の社会保障のあゆみを抑えておこう。はじまりは明治時代にまでに遡る。1874年の恤救規則(じゅっきゅうきそく)は、老齢や重病者、こどもなどの労働能力が無いものにコメ代を支給したもので、公的扶助の始まりとされている。そこから健康保険法(1922)や年金制度が整い始め、戦後になるとともに法整備をさらに加速させた。以下の年表に主要な出来事はまとめたが、特に1961年の国民皆保険・皆年金は頻出!すべての国民が何らかの保険や年金に加入することになった。

日本の社会保障年表

▼社会保険とは?

社会保険とは、疾病や出産・老齢・障害・失業・死亡などが原因で収入が得られなくなった場合に、加入者や国の保険料を基金として一定の給付を行う制度。日本における社会保険として、よく出るものを表にまとめました。

日本の社会保険

主にこの5つを理解しておけば問題は無い!同色で書いてある項目は、区別がわかりにくいもの。その分出題されやすいということなので、取りこぼしが無いようにしたい部分です。

▼医療保険のポイント

まず医療保険について。みなさんは病院の受付で保険証を出したことはありませんか?歯医者や接骨院も同様なので、学生の方でも経験があるかもしれません。これがまさに医療保険に加入している証明書であり、これを提出することで医療費の自己負担ががっつり割引されています。だいたい3割負担(年齢により若干変動)となっており、残りの7割は保険が負担していることになります。

スーパーで70%OFFなんて割引を見ることはなかなか無いですよね。それをほとんどの治療で実現しているのが医療保険なわけで、凄さがわかるでしょうか。当然、病院に行ったことがない超健康体な人は、恩恵を受けていないかもしれませんが、いざという時に助けてくれるという安心が得られます。

医療保険の種類

そしてもう一つ抑えておきたいのが、医療保険は職種によって入る保険が異なるということ。大まかに分ければ、サラリーマン・公務員・自営業の3種類で、それぞれ健康保険・共済組合保険・国民健康保険に加入する。人によって持っている保険証が異なるのはこのためである。

▼年金保険のポイント

年金保険とは?

年金保険とは、老齢や障害・死亡などで失った所得を保障し、生活安定を目的とする制度である。年金と聞くと高齢者のための制度というイメージがあるが、遺族年金や障害年金も含まれることを覚えておこう。

年金保険のしくみ

年金のしくみは国民から集めた保険料を財源に、対象者へ支給を行うもの。支給開始年齢が65歳へ引き上げられる点や、職種によって加入の仕方が異なる点がポイントとなる。

年金保険のしくみ
年金保険の支払いと支給

医療保険が職種によって入る保険が全く違ったのに対して、年金保険はまず全員同じ保険に加入する。これが国民年金保険というもので、20~59歳のすべての人が加入する。それに加え、厚生年金は公務員や私立学校の教職員などが加入するものであり、プラスアルファで入るものであることを覚えておきましょう。

医療保険は横並び・年金保険は2階建てのイメージ図を目に焼き付けておくといいです。

年金は誰のお金で成り立っている?

また、年金の給付をどのように実施するかについて、大きく分けて2種類の方式がある。1つは積立方式で、自分の年金を自分の積立金で賄うというもの。自己責任で合理的な方法と思われるが、デメリットが大きいため日本では採用されていない。老後に受け取ることを想定すると、40年以上の期間で積み立てることになるが、お金の価値は一定ではないことがネックになる。もし将来、ラーメン1杯10万円のような世の中になったとしたら…今から数年かけて貯めた100万円がラーメン10杯の価値しかないことになる。こうなると、年金で安定した生活が出来るわけがないですね。

こうしたインフレによる弊害を避けるため、現在の日本では賦課方式という方法が実施されている。簡単に言えば、今の年金給付を今の働き世代が負担するというもの。そうすれば、その時点で一定の生活水準ができるお金を支給することができる。ただし、若者が減り、高齢者が増えると、働き世代の負担がどんどん重くなっていき、現在の日本はまさにその状態。少子高齢化の改善とともに、年金制度改革への着手が求められている。

そうした動きの中で、2階建ての年金(国民年金+厚生年金)に加えて、自己責任型の年金である確定拠出年金も登場(2001年~)しており、企業や個人が運用して給付を受け取ることになる。

▼まとめ

上記でまとめた医療保険と年金保険が最もよく出る部分となるが、他にも介護保険(40歳以上の人が加入し、介護サービスを1割負担で受けられる)や、労災保険、雇用保険なども頻出なので、確認しておきましょう。

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