政経まとめ08 –新しい人権–

政治分野

 さて、今回が判例学習の最終回。取り扱うのは「新しい人権」だ。新しい人権というのは、その名の通り時代の変化によって新しく主張され始めた人権のこと。いくつか種類があるので、これも表にまとめてみた。(以下参照)

 これらの権利は、例えば「第100条 プライバシーの権利 すべて国民はプライバシーが守られなければならない」というように憲法に明記されている訳ではない。時代の変化で必要になってきた人権を、元々ある権利から解釈を広げて主張されるようになった。「環境権」を例にすると、第13条 幸福追求権 を根拠 → 幸せな暮らしのためには良好な環境が必要 →「環境権」という流れだ。

 上の表で★マークがついている判例を以下で紹介していく。訴訟の内容を通して、新しい人権の理解を深めていこう。

環境権

 環境権とは、「幸福追求権」と「生存権」を根拠として、国民がより良い環境を享受するという権利である。細かく見ると、日照権(日当たりの確保)・嫌煙権(非喫煙者がたばこの煙から身を守る)・景観権(良好な景観の確保)といった種類がある。この権利は、公害問題が深刻化した高度経済成長期から、主張されるようになった。

環境権の判例 

 大阪空港の判例は有名である。写真でどこまで伝わるか微妙だが、この空港は市街地に近く、民家の真上に離着ルートが存在した。住民たちはこの騒音や振動に悩まされ、せめて夜間飛行だけでも差し止めを望み、訴訟を起こした。

住宅地のすれすれを飛ぶ飛行機

 結果、この裁判では損害賠償のみで、飛行差し止めは認められず、住民側の環境権は認められなかった。経済成長や行政が絡み合う中で、必ずしも優先されるという権利とはいえないのが、現状である。

プライバシー権

 プライバシー権とは、一般的には「私生活をみだりに公開されない権利」とされているが、近年では「自己の情報をコントロールする権利」という意味合いも考えられるようになっている。ネット社会が浸透し、個人情報がいたる場所にあふれる時代になったからこそ、自分の情報がどのように利用されているのかを知ること、利用されたくなければ拒否することなどを、自分自身でコントロールできることが重要視されている。

プライバシー権の判例 

その他の新しい人権 

知る権利

 「知る権利」とは、行政の持っている情報を国民が知る権利である。1999年の情報公開法(行政が所有する情報を、国民の請求により開示できるようにした法律)などが、関連する法にあたる。以下の外務省公電漏洩事件は、密約が過度な報道により漏えいしてしまった事件に対し、「国民の知る権利には貢献しているのではないか?」という議論が生じた。

アクセス権

 「アクセス権」とは、紙面や番組出演をすることで、マスメディアの報道に対して反論を行う権利である。しかし、これを容易に受け入れてしまうと、新聞やテレビを利用して、好き放題に持論を主張できるようになってしまうため、広く認められていない。

自己決定権

 「自己決定権」とは、特に自分の生命についての自己決定権のことを指す。以下にまとめた事件は、「エホバの証人」の信者が宗教上の理由で輸血を拒否したにも関わらず、医師が輸血を行って手術をしたというもの。これは医師も責められないな…と個人的には思うのだけれど、裁判の結果は国・医師への賠償を命じている。

 近年は、臓器提供意思表示カードで自分の臓器提供に対する意思を示すことや、手術や治療の内容を十分に説明し、理解したうえで方針を決定するインフォームドコンセントなどが必要視されている。

新しい人権判例

 以上が環境権をはじめとする新しい人権の判例である。このような人権問題は、現代の社会情勢に敏感に反応するもの。普段から世の中の動きに目を向け、自分たちが生きる新たな社会について考えてみよう。

 判例に関しては、模試や入試過去問を見てきた中での独断ではあるけれど重要度を分類してみました…。★3つの判例は確実に抑えましょう!

 ★★★ 宴のあと/大阪空港公害
  ★★ 外務省公電漏洩
   ★ 石に泳ぐ魚/輸血拒否/国立マンション

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