
今回は「円高円安」について。中学時代から少しずつ学ぶ単元ではあるが、理解が難しく挫折する人が多発するところでもある。大学入試においても、毎年1問は出題される頻出単元であるので、2回に分けて解説記事を書いていきます。今回は円高円安の基礎について学び、次回は演習問題を使って実践力を付けていきます。頑張っていきましょう!
円高円安とは
そもそも、円高円安とは何か?という話から。円の価値が上がる・下がるという考え方そのものでつまづく子も多い。世界各国では異なる通貨が使われているが、その交換比率のことを外国為替という。1ドルは何円と交換できるのか?1円は何ユーロと交換できるのか?というレートが、日々変動している。
では、なぜ価値が変動するのか?
それは需要と供給のバランスによるもの。お店の商品と同じと考えるとイメージしやすい。人気が急上昇すると、その商品の価値は上がる。逆に人気が無く売れ残りが発生すると、商品の価値は下がる。それと同じで、世界中で「アメリカのお金(ドル)に交換したい!」という人が増えれば、ドルの価値は上がるし(=ドル高)、「日本のお金(円)を手放したい…」という人が増えれば、円の価値は下がる(=円安)。
つまり、各国の経済状況や社会情勢により、この価値は常に変動し続ける。例えば、ウクライナ侵攻を進めたロシアは、世界中から経済制裁をくらい、ロシア経済の今後が不安視された。「ロシア経済が不安⇒ロシアのお金(ルーブル)を別の国のお金に換えよう⇒ルーブルの価格急降下」という流れが生じている。
円高円安の基礎
では、大学入試レベルに対応できる知識を付けていきましょう。まず下の図を見て、どちらの矢印が円高か?円安か?を考えてみましょう。1ドル100円を基本にして、左右どちらが円高でしょうか。

円の価値を考えるので、100円を基準にイラストで表現してみる。

1ドル100円のときは、100円で1ドルのリンゴを買うことができる。しかし、左側の1ドル50円の場合は、100円で2個のリンゴを買うことができる。「同じ100円なのに買えるリンゴが多い」ということは、円の価値が上がった(=円高)と考える。逆に右側のレートだと、100円でリンゴは買えず、円の価値が下がった(=円安)と考える。
この関係を改めてまとめると、以下の図のようになる。

是非とも、この図だけは覚えて欲しい。円高円安の問題が出たときに頭が混乱してしまう人は、この図を空いているところに書き込もう。30秒くらい時間が取られるが、問題は非常に解きやすくなる。次回の実践編で、どのようにこの図を使うかは改めて紹介する。
この関係性については、最も基礎的な部分なので、確実に抑えておきましょう。
円高円安の出題対策
では、どのように出題がなされるか。出題パターンは2つに分けられる。

➀は要因を問うもの。例えば、「日本の貿易収支が大幅に黒字になった」「海外からの投資額が増加した」という事項が、円高・円安どちらに作用するのかを考える問題が主流となる。②は影響を問うもので、「円高になった場合、国内への旅行客はどうなるか」「円安になった場合、輸入品の値段はどうなるか」という問題が主流となる。まずはこれがどちらのパターンなのかを見分けよう。
➀②のそれぞれのパターンで解き方が異なるので、詳細は次のまとめで更新していきます!
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