政経まとめ14 –違憲法令審査権–

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憲法とは国にとっての最高法規であり、それに反する法律などがあってはならない。そのチェックや審査をする権限が「裁判所」にある。この権限を「違憲法令法審査権」といい、下級裁判所も含めたすべての裁判所に権限がある。ただし、最終的には「最高裁判所」が判断を下すので、最高裁判所は「憲法の番人」とも呼ばれる。

最高裁が「違憲」と判断する事例はまれであり、戦後は10件しか存在しない(2020年4月現在)。中にはすでに過去の記事で紹介した判例も多いので、新たに出現した判例のみ詳しく紹介する。この10件は簡単にでいいので頭にいれておこう。

過去の違憲判例

①尊属殺人重罰規定→〈政経まとめ07 –平等権/社会権–〉

②薬事法⑤共有林→〈政経まとめ06 –自由権–〉

衆議院議員定数不均衡

日本では普通選挙・平等選挙の原則に則り、だれでも一人一票の選挙権が与えられる。しかし、選挙区域や人口、当選人数(=定数)のバランスが完璧に取れているとは言えず、一票の価値に大きな開きが出ることが問題となった。(=一票の格差)

過去の例を挙げると、同じ選挙において、東京では10万票で当選したのに対し、宮城では6万5000票で当選したという例がある。両者が得た票数は全く違うのに、同じ国会議員として活動することになるのである。このように、1票の価値が歪められることが問題となり、訴訟が起こった。

結果、一票の格差が4倍以上に開いた2度の選挙で違憲判決が出ている。ここで注意してほしいのが、違憲だからと言ってその選挙が無効になったわけではないということ。小さい選挙区を合併したり、大きな選挙区を分割するなどの策を講じ、違憲状態にならないよう改革を進めている。

⑦在外邦人選挙権→〈政経まとめ07 –平等権/社会権–〉

書留郵便免責規定

この判例はあまり問われることのない判例であるが、簡単に紹介しておく。

 この規定は、郵便物の遅配や配達によるの破壊などによって国民が損害を受けた場合に、国に対して損害賠償を請求できるものである。(当時は郵便局は公営だったため、国に賠償を求める規定だった。)しかし、この賠償にはいくつかの条件付きであり、場合によっては郵便局側の責任が免除されるようになっていたため、それおかしいのでは?と訴訟が起きたのである。

 結果、故意又は重過失による場合にも「責任を免除する」という対応は行き過ぎであり違憲であると、最高裁が判断した。のちにこの規定は賠償範囲が拡大されている。

婚外子国籍取得制限規定

 まず婚外子というのは、結婚していない夫婦の間に生まれた子どもを指す。後にある相続差別でも同様だが、婚外子とそうでない子で差をつけている規定が存在していた。しかし、時代の流れで結婚の形も変化する中で、この規定では対応できない事例が増えてきたのであろう。

 国籍取得制限とはどのようなものか。「日本人の父」と「外国人の母」から生まれた子どもで、生後に父親が認知した場合、両親が結婚しないと日本国籍が得られないという規定である。

 そもそも、子どもとしては自分でどうしようもない理由で区別されており、不合理な区別である。違憲判決が出て、この規定は改正された。

⑨婚外子相続差別→〈政経まとめ07 –平等権/社会権–〉

女性再婚禁止期間

 民法では、女性の再婚禁止期間は離婚してから6ヶ月とされていたが、この6ケ月という期間は不必要な長さではないか?と訴訟が起こった。そもそもこの再婚禁止期間というのは、離婚後にすぐ別の男性と結婚した場合、その前後に生まれた子どもがどちらの夫から生まれたかが不透明になることを防止するため。現在の医療技術をもってすれば、100日を超える期間は不要であると判断し、違憲とされた。2016年より再婚禁止期間を100日に短縮した。

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