
まとめ09では、平和主義の流れについて紹介しましたが、まとめ10では「平和主義の判例」をまとめていきます。
平和主義に関連する判例は、パターンが大きく分けて2つある。
1つは「日米安全保障条約」に関する争い。もう1つは「自衛隊」に関する争いである。
とりあえず大まかな内容は図を参考にしてみてください。


ⅰ)日米安保条約に関する判例
憲法9条に関する判例は、主に上の4つが代表的であるが、そのうち1つだけが「日米安全保障条約」に関するものである。その1つが「砂川事件」であり、重要な判例である。
砂川事件
この裁判は、飛行場拡張に反対するデモ隊が柵を破壊した行為に対し、安保条約に基づく法律によって起訴されたことがきっかけとなった。確かにデモ隊は米軍基地の柵を破壊し、悪いことであるのは間違いない。でも、「そもそも安保条約で米軍が日本にいることって憲法9条に違反してない?」というのがデモ隊側の主張である。
これについて、第一審の東京地裁では、「デモ隊無罪」「米軍駐留は違憲」という判決が出た。つまり、9条が「戦力をもたない!」と言っているのに、在日米軍は「最低限度を超える戦力」と判断されたということ。9条に関する司法判断で”違憲”判決がでた事例は過去に2回しかなく、この砂川事件と後の長沼ナイキ基地訴訟だけだ。抑えておくといい。
しかし、日本の裁判は1度では終わらない。再度争われた最高裁では、「デモ隊有罪」「安保条約については統治行為論にて判断回避」という最終判決がでて、裁判は終了した。
POINT 統治行為論とは
高度に政治的な問題は、立法や行政が対処するべきであり、司法審査はなじまないとする考え方。「政治的なレベルが高いものは、国民の代表者である国会とかが判断した方がいいよね」という感じ。具体的には安保条約や自衛隊の問題を指しており、これらの憲法9条に関連する内容に対しては、裁判所が消極的な姿勢を示すことが多い。
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