問1 次のア~ウは,儒教およびそれに関連する思想についての説明である。ア~ウから適当なものを全て選んだとき,その組合せとして正しいものを,後の①~⑦のうちから一つ選べ。
ア 孔子は周公旦(周公)が行ったとされる礼による政治を理想としつつ,仁と礼を関連付けて,克己復礼の思想を説いた。
イ 孟子は孔子の教えの中でも特に礼を重視し,礼による社会秩序を理想としつつ,その礼を人は生まれつき備えているという性善説を説いた。
ウ 荀子の下で学んだ韓非子は,内面の道徳性ではなく法律を重視し,褒賞と刑罰で人々を統御する政治を説いて,法家思想を大成した。
① ア ② イ ③ ウ ④ アとイ
⑤ アとウ ⑥ イとウ ⑦ アとイとウ
問2 諸子百家についての説明として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 墨子は,侵略戦争を有利に進めるために,自集団の中で習得した知識や技術を積極的に利用しようとして,各地を奔走した。
② 墨子は,道を重んずる立場から,無為自然の理想社会を目指し,自給自足の生活を送る小さな共同体の実現を説いて,各地を奔走した。
③ 孟子は各国を遊説して,人間は美醜や善悪といった区別や対立にこだわるが,本来,万物は平等であるという万物斉同の思想を説いた。
④ 孟子は各国を遊説して,君主は仁義に基づいた政治を行うべきであり,民衆に支持されない君主は,天命を失ったものとして追放されると説いた。
問3 次の文章は,儒家の思想に対する他の思想家からの批判についての記述である。[ a ]・[ b ]に入れる人名の組合せとして正しいものを,次の①~⑥のうちから一つ選べ。
[ a ]は,儒家の礼や仁を人為的なものとして批判し,それらが必要ない社会こそ理想であると説いた。一方,[ b ]は,儒家の仁政という考え方を批判し,法による信賞必罰の仕組みでなければ統治はできないと説いた。
① a 韓非子 b 墨 子 ② a 韓非子 b 老 子
③ a 墨 子 b 韓非子 ④ a 墨 子 b 老 子
⑤ a 老 子 b 韓非子 ⑥ a 老 子 b 墨 子
問4 中国では時間の運行も含め,自然の秩序や政治的秩序が天と結び付けられていた。その天についての記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 周の王たちは,万物はすべて天の支配のもとにあるという信仰を背景として,自らを天と同一視し,自身の下す命令がとりもなおさず天命であると考え,王の権威を神聖化した。
② 孔子は,「怪力乱神」を語らず,神秘的な存在について積極的に言及することを避ける一方で,「五十にして天命を知る」と述べ,天から与えられた使命を果たそうとした。
③ 孟子は,天命を受けた者が天子となって天下を治めるという考え方を逆転させ,実力本位で王の位についた者を,天命を受けた者として事後的に承認すべきだという易姓革命の考えを説いた。
④ 荘子は,気質の性ではなく,本然の性こそが天によって与えられた理であるとし,天の理に従って自らを律することが人間の正しい生き方であると主張した。
問5 儒家の家族観についての記述として適当でないものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 孔子は,祖先に対する祭祀儀礼を批判し,生存している自分の父母や家族を最優先に考えるべきだと説いた。
② 『論語』では,父母に対する孝や兄に対する悌といった徳目が重視され,それらが仁の根幹であると説かれている。
③ 孟子は,基本的な人間関係を五倫としてまとめ,「父子」の間には「親」という関係が成立すると説いた。
④ 朱子学では,個人の修養や国家の安定などとともに,家族・親族の人間関係をうまく取り仕切る「斉家」の実践が要請された。
問6 次のア~ウは,仁や義について論じた古代中国の思想家の説明である。その正誤の組合せとして正しいものを,下の①~⑧のうちから一つ選べ。
ア 孔子は,肉親に対して自然に発する親愛の情を仁の根本においた。彼は,これを様々な人間関係に広げることのできる優れた人が為政者となれば,人民は為政者に感化され,国家がよく統治されると考えた。
イ 董仲舒は,他者を思いやる心と正義の実現を根本においた,仁義による王道政治を重視した。彼は,気質の性に起因する欲望を抑え,本然の性に回帰することが仁義を達成するために必要だと主張した。
ウ 老子は,儒家の説く仁や義などの徳は,人間が作為した相対的なものにすぎないと批判した。彼は,人々が,絶対的な道のはたらきに身をゆだね,あるがままに生きる小国寡民の政治を理想とした。
① ア 正 イ 正 ウ 正 ② ア 正 イ 正 ウ 誤
③ ア 正 イ 誤 ウ 正 ④ ア 正 イ 誤 ウ 誤
⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正 ⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤
⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正 ⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤
問7 次の文章は,孔子の礼についての説明である。文章中の[ a ]~[ c ]に入れる語句の組合せとして正しいものを,下の①~⑧のうちから一つ選べ。
孔子は,社会を支える規範として礼を重んじたが,それは,単に外形的なものではなく,内面性に裏打ちされるべきであると考えた。つまり,他者を愛する心持ちである[ a ]が,立ち居振る舞いや表情・態度として外に現れ出たものが礼であるとしたのである。その実現には,私利私欲を抑えるとともに,他人も自分も欺くことなく,他人を自分のことのように思いやることが重要とされた。このうち,自分を欺かないことは,[ b ]と呼ばれる。このようにして礼を体得した[ c ]によって,秩序ある社会の実現も可能であると孔子は考えた。
① a 恕 b 忠 c 真 人
② a 恕 b 忠 c 君 子
③ a 恕 b 信 c 真 人
④ a 恕 b 信 c 君 子
⑤ a 仁 b 忠 c 真 人
⑥ a 仁 b 忠 c 君 子
⑦ a 仁 b 信 c 真 人
⑧ a 仁 b 信 c 君 子
問8 儒教の「仁」と墨家の「兼愛」の相違を述べる文として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 儒教の仁は惻隠の心に基づき,自他の区別を一切たてないが,墨家の兼愛は自分を捨て,他者のために利することを第一とする。
② 儒教の仁は弱者に対するものであり,まず女性や子どもに向かうが,墨家の兼愛はまず貧しい者に対するものであり,「憐れみ」と呼ぶべきである。
③ 儒教の仁は近きより始まるもので,まず近親に対するものであるが,墨家の兼愛は無差別の愛であり,親疎の関係に基づくものではない。
④ 儒教の仁は「忍びざるの心」と言われ,見過ごしにはできないという単なる気持ちだけだが,墨家の兼愛は行動的な博愛主義である。
問9 孔子が説いた,礼を重視する生き方の記述として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 仁と義を原則とした秩序を尊重するとともに,法に基づく礼を実践することによって,家族の絆を強固にしようとする生き方。
② 親よりも社会のことを第一に考え,いにしえの聖人が定めた礼楽刑政を自ら実践し,他者にもそれを促していく生き方。
③ 平等な社会を実現するために差別なき愛に基づき,自らの利益よりも常に他者のことを考え,万人に対して礼を実践していく生き方。
④ 上下の序列に基づいた秩序を尊重し,その秩序を礼の実践によって維持するとともに,他者に対する思いやりを重視する生き方。
問10 孔子が説いた仁の実践として最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
① 人間の道徳性を現実化しようとする,根源的な気力を養い育てていく。
② 柔和でへりくだった態度をとり,周囲の人と極力争わないように努める。
③ 名称とそれが示す具体的な事柄とを一致させて,社会秩序を強固にする。
④ 自分勝手な欲望に打ち勝ち,古の理想的な行動基準に自分を従わせる。
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